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もろマネ 〜とうもろこしお嬢様は常識を知らない〜  作者: 瑞柿けろ
第一章前半 とうもろこしと銭ゲバと
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第7話 初日の結果とこれからも


 ハンバーガー屋の初日を終え、俺たちは売上金の確認をしていた。


「三、四、五……うん、間違いないな。ダブルチェックならぬ、トリプルチェックは完璧だ」

「私も無料券数え終わったよ!」


 俺は金を、柊は客が持ってきたドリンク無料券を、どちらも大事な確認だ。

 手伝ってくれたとはいえ、柊に関しては、自身の新聞を見て来てくれた人が無料券の数で分かる。


 怠るわけにはいかない。大事な工程なのだ。


 そして結果がこれ――


「クーポン券はなんと! 四十二枚ありましたーー!」

「「おぉぉ!」」


 目で見てかなりの枚数があることは分かっていたが、実際に数で言われると実感が湧いてくる。


「かなりの量ですわね。柊様の新聞を見て来てくれた純粋な数と考えますと、初日ではかなり凄いですわ」

「いやさすがに驚いたぞ。クーポンを使ってドリンクだけ貰うやつがいなかったから、こっちの売上にかなり繋がったからな。凄いな“ひいらぎ新聞”」

「いやーー!! まーそれほどだよね!! 私の新聞はさ!!」


 テンションが喧しいけど、今回は素直に褒めることにしよう。さすがだぞ柊。

 

「よし、じゃあ俺の番だな」

「「ご……ごくり……」」


 緊張が走る。事前準備を含め、みんなでやって来たことが結果として数字になるのだ。


 なんと……雛子のコーンセットメニューも込みで――


「売上金は“八万四千円”でしたーー!!」

「「おぉぉぉぉぉ!!!」」


 俺が高らかに告げた金額を聞き、雛子と柊はお互いに抱き着き声を上げた。


「八万!? 素晴らしいですわよ小鉄様!! こんなに売れるなんて予想外過ぎますわ!!」

「私もびっくりだよ!! 凄いよさすがコテツ!! ブレインだねぇ!!!」

「いやーー!! まぁそんなことはあるけどな!!!?」


 みんなのテンションが頂点まで上がっていく。

 八万四千円とは、ほぼ純利益でもあるのだ。

 場所代は学園のルールで事前に払っているし、材料代は一番安い物や、商品にならない物を提供して貰った。

 黄金院印のとうもろこしは、雛子からの寄付で作っている。


「あれ? でもハンバーガーを作る時に使ったガスとかは? 燃料とかあるじゃない? え、コテツのポケットマネーから出たの?」

「んなわけねぇだろ。全部雛子の力さ」

「え……女の子に払わせたの? 甲斐性がないねコテツ……」

「人聞き悪くね!!?」


 違うし、ちゃんと人の話を聞け!


「黄金院家が開発している“とうもろこし由来のバイオ燃料”を使っていただきましたわ。試作品なので試しで使って欲しかったんですの」

「ほら、見たことか」

「結局頼ってるじゃんよ」


 うるせぇ!! 使えるものなら親でも、祖父でも、祖母でも、犬猫でも使え、っていうだろうが!!


「言わないよ!!?」

「だから、これが純粋な利益と言っても間違いはないんだよ」

「なるほどねぇ」


 実際はもっと他にも売れた理由はあるだろう。

 まずはイケメンの真波が来たこと、柊の犬というかペットのような愛くるしさ、そして人気者の雛子の凄さ。

 雛子のコーンのサイドメニューがかなり売れている。

 この全てが良いように作用した結果といえるだろう。


 なんか恥ずかしいから、こいつらには言わないけど。


「このまましばらく続けて行こう!! 単純計算でも十日以上やれば百万いけるぞ!!!」

「いえーーい! さすがコテツーー!! ヒューヒュー!!」

「商品のリアルな声も聴けて、わたくし個人といたしましても、もっと続けてみたいですわぁーー!」


 三人の考えが重なる。

 実験的だった初日だったが、これは流れに乗るしかない。ならやることは多いぞ。


「柊!」

「分かってるよ! 食べてくれた人に話を聞いたり、アンケートを貰ってくるよ! もっとリサーチしとく!」

「分かってんじゃねーか! さすが柊!」

「いえーーい! ぴーすぴーす!」


 さすが情報屋だ。こういったことに関してはコイツの右に出るものはいない。


 今回は初日ということでドリンク無料券を配ったが、ずっとそのままでは駄目だ。


「人ってやつは“無料だから”、“お得だから”って、それじゃないと買わない。なんて考えに行き着くからな」

「なるほど、一理ありますわね。“目新しさや無料”ではなく、“継続的なリピーターの確保”……小鉄様は聡明ですわね」

「褒めるな褒めるな、俺が聡明なのは純然たる事実だ」

「素晴らしいですわね! まるで天に伸び続けようとするとうもろこしの如く! とても高い傲慢さですわ!!」


 褒めてなくないそれ? ま、まあそうだな……。


「柊は情報収集を頼む。俺と雛子は新商品の開発だ。初日だからと調子には乗らないぞ」

「かしこまりました。二日目以降からが大切ですものね」

「じゃあ私は聞き込みをしてくるね!! 後のことは任せたよーー!!」


 柊がメモ帳とペンを持って走り去る。

 あっちのことはアイツに全て任せて大丈夫だろう。それほどの信用が柊にはある。


 さて、


「手間は増やさず、もちろん人手を増やさないでやるぞ雛子。サイドメニューは最初と変わらずお前に一任する。頼んだ」

「お任せくださいませ! わたくし、アイデアがポップコーンのように頭の中で大爆発しておりますわよ! おほほほほ!!」


 お、ポップコーンとは新しい例えが聞けたとは、地味にレア感があって良いな。


 ん?


「地味なレア感……!? そうかこんな物もありか!!」

「良い案でも浮かびましたの? 小鉄様?」


 あぁ、雛子。

 お前は俺の思考を研ぎ澄まさせてくれる最高の相棒だぜ。


「さて新メニューを作ろうか!!」

「おーー! ですわーー!」


 このままもっとボロ儲けしてやるぜっ!!


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