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もろマネ 〜とうもろこしお嬢様は常識を知らない〜  作者: 瑞柿けろ
第一章前半 とうもろこしと銭ゲバと
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第6話 小鉄の作戦!?ハンバーガー屋開店!!?




 あれから数日、俺の行動力で成したことを報告しよう。


 まずは商売申込書を提出して、販売場所の申請、そして食品科と話して材料の確保など、他にもやることはあるが、一番大切なことは――


「どうしたのコテツ! この私に頼みたいことってなにかな!」

「うるさい柊、近い近い圧が強い」


 落ち着け、と柊を頭を抑え、距離感のバグった犬のようなやつを適切な距離へと離す。


「実は商売をしようと思ってたな」

「お!! ついにコテツが動き出すんだ!! なにするの!? 私も混ぜてよ!!」


 ノリが良くテンションが高いことが柊の個性だが、ここまで来ると落ち着きがなくてうるさいまである。

 だが、どんなことでも協力的な柊が一番重要なんだ。


「お前は新聞部に入ったんだろ? そのお前の力で宣伝をして欲しくてさ」

「おぉー! 良いねぇ! 私はまだ一年だからさ、大きい仕事貰えなくて! コテツの手伝いもして、私の知名度も上がる! これがフィンフィンってやつだね!」

「それを言うなら“win-win”な」


 でも言いたいことは分かる。

 お互いに入学して知名度がない今、協力して人に知ってもらう。これが一番効率が良い未来に向けてのアピールでもある。


 柊と俺、二人同時にゲスい笑みが浮かぶ。


「それでぇ? なにやんのさ?」


 ん? それはだな――







「へいらっしゃーーい! 本日よりハンバーガー屋オープンだよーー!」


 数々の準備を済ませ、始めたのは庶民に優しいハンバーガー屋だった。

 場所は学食の外のテラススペースの一角を借り、頼もしい助っ人もいる。


「いらっしゃいませですわーー! わたくし、黄金院雛子も協力させていただいておりますの! ぜひ食べていただきたいですわーー!」


 頼もしい助っ人A、お嬢様たちから意外にも人気のとうもろこし狂人こと、黄金院雛子、そしてもう一人。


「お手伝いの柊夏希でーーす!! 美味しいハンバーガーですよ!! なんと! “ひいらぎ新聞”に付いたクーポンをお持ちの方はドリンクサービスでーーす!!」


 知名度上げに協力してくれている柊。

 考えた結果、お互いの知名度上げに繋がるからと、新聞に無料券を付けた。


 これにより、俺の店では柊の新聞を、柊の新聞では俺の店を、お互いの宣伝をするという手段に至ったわけだ。


「我ながら天才だな俺」

「ズル賢いの間違いじゃないの?」

「お、真波か。いらっしゃい」


 店舗に現れたのは友達の真波だった。

 お前やめろよ。お前外見が良いんだから目立つんだよ。ま、客が増えるのは嬉しいけど。


 あとズル賢いを俺には褒め言葉だから、その程度じゃ動じないぞ。


「真波のやつだけ二倍にしとくな、金額」

「動じてるじゃんよ」

「うるさい! 俺は忙しいんだ! 冷やかしなら散れ散れ!」

「ちゃんと客だから接客してよ」


 んだとーー? 客ーー? ほんとかーー?

 他の客なら良いが、知り合いには優しくせんぞ。


「部活のメンバーの分も買うから、大量注文だけど大丈夫かな?」

「お客様いらっしゃいませ!!! さあ、なににいたしますか!!? サービスしますぜダンナ!!」

「現金だなーー」

「コテツ! 贔屓はダメだよ! 商売だよ商売!」


 あ? 分かってるわそんなん! でも大量買いしてくれる客は神様だろうが!


 真波から二十個以上の注文が入り、紙袋へと入れていく。

 ちなみに、助っ人はいるが働いているのは実質俺だけだ。もちろんそれは人件費を削るため。

 そして、今回は俺の取り分優先だ。


 実験も兼ねているしな。コストは極力落としておきたい。


 なら、どうやってハンバーガーの生産性を落とさないように販売しているのか。答えは簡単。


「なるほど、もう事前に作って包装しているんだね。だから注文された物を袋に入れるだけと、考えたんだね銭原」


 真波が作業スペースを覗き、俺の行動を眺めている。


「本当は出来立てを提供した方が良いんだがな、まーーそこは無理だ。コストが掛かりすぎる」

「でも回っているみたいだね。柊さんと黄金院さんがドリンクとかをしてるからか」

「真波も手伝ってくれて良いんだぞ? 給料は一時間毎にハンバーガーを一個プレゼントだ」

「現物支給は遠慮するかなーー」


 あの日、雛子の畑仕事の手伝いをした際、現物支給の案を思いついた。

 柊はともかく、雛子は現物支給で了承してくれた。


「あ、このクーポンを使っても良いかな? “ひいらぎ新聞”のやつなんだけど」


 ほいほい、それなら隣のドリンクスペースの――


「はいはーい! それは私の担当だから任せて! お! 君は真波君ではないかな!?」


 食い気味に割り込んできた柊が、真波の顔を見るや否や、距離をすぐに詰める。


「真波君は一年だけじゃなくて、二、三年にも人気沸騰中でインタビューしたいと思ってたんだよ!! 後日連絡しても良いかな!?」

「俺も君のことは知ってるよ柊さんだよね? 銭原から聞いてる」

「コテツから!? なんて? なんで聞いてるの?」

「喧しいやつだって」

「コテツーーーーー!!!!」


 うるさい黙って仕事しろ、お前も自分の新聞の知名度上げの仕事みたいなもんだろ。

 自分の客は自分で掴み取れ。


 と、まあ個人個人が理由があってここで仕事をしている。


 雛子の仕事? それはもちろん。


「サイドメニュー販売しておりますわ!! 黄金院印のとうもろこしを使った“コーンサラダ”や“コーンフライ”をセットで食べていただきたいですわーー!!」


 一つ、また一つと雛子が作ったコーン料理が売れていく。

 外見の良い女子で、尚且つお嬢様というだけで目新しさもあってか、客がどんどん集まり続ける。


「今なら、このとうもろこしで作った化粧水や洗顔料を試供品サイズでプレゼントいたしますわーー!! おほほほほ!! さぁさぁ! 来てくださいましーー!!」

「アイツお嬢様なのにノリノリだな」


 他のお嬢様だけでなく、女子生徒から密かに人気のある雛子がいることは、大きな宣伝効果があった。

 一般生徒のみならず、特権生徒もかなり来てくれたのだ。

 前者には懐かしい味、後者には未知の味と、庶民と金持ちの心を掴むことに成功した結果――


「ウヒャヒャヒャ!!! ボロ儲けだぁぁぁ!!! 見ろ! 千円札を束にしてうちわみたいにできるぞーー!!!」

 

 上手くいった俺の作戦は、初日からかなりの売り上げを記録したのだった。


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