第8話 新商品!転職するのかシェイク屋に!?
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翌日、俺たちの作戦は上手くいっていた。
「新商品の“チーズバーガー”一つ!」
「あいよ!!」
「こっちは“コーンスープ”を頂戴!」
「はいお待ち!」
「私は“セット”で頼む! このクーポンを使わせてくれ!」
「ありがとうございます! ご一緒にコーンはいかがですかァァ!!?」
普通のバーガーだけじゃなく、チーズバーガーとコーンスープ、さらにはセットメニューも追加して正規店顔負けのラインナップだ。
だが、これだけでは終わらない。
「あのぅ……あたくしベジタリアンでして……食べれる物はないでしょうか……」
「お! それなら――雛子! 接客を頼む!」
「はいはいただいま!! お客様どうぞこちらに!」
申し訳なさそうにしているお客様を丁寧に案内し、雛子が優しく案内をする。
「お客様そんな畏まらないでくださいまし、様々な要望にお答えする。それがわたくし黄金院 雛子ですわ」
「すいません……なんか……」
「謝らないでくださいませ……さぁ、こちらをご覧ください!」
雛子は保温機能のついたケースを開け、その中身を客へと見せて告げた。
「こちらは百%とうもろこしで作った“コーンバーガー”ですわ! これならベジタリアンのお客様でもいただくことができますわぁぁ!!」
「え、すてき!!」
「そして、とうもろこしなのに何故かお肉の味がしますわ!!」
「え、なんで!?」
なんか漫才みたいなことをしているが、客は満足そうに買っていく。
遠目から見ると、幸せそうに食べている様子が伺えた。満足してくれてよかった。
「コテツ! 上手くいったね!」
「そうだな! それもこれも柊の宣伝のおかげだぞ!」
「えへへ〜〜! それほどでもある!!」
満面の笑みで喜ぶ柊は相変わらず犬感があるというか、わしゃわしゃに撫でたくなるが我慢だ。飲食店だしな。
ひいらぎ新聞でこのハンバーガー店の宣伝、メニューのイラストが描かれたチラシを入れること、さらに初日の客たちの口コミで倍以上の人が集まってくれた。
「チラシに“セット五十円引きクーポン”を付けるなんて、さすがコテツだよ!」
「柊がアンケートをしてくれたおかげだぞ」
アンケートで分かったが、客はドリンク無料よりも“単純にメニューを増やして欲しい”ということが分かった。
もとから増やすつもりではいたが、それでしっかり認識できたのがデカい。
これも、金に貪欲な俺と、情報に貪欲な柊が成せる力だ。
「おかげでボロ儲けだ!! ウヒャヒャヒャ!!」
「私も新聞部で今一番! 部数が売れてるよ!! にゃはははは!!」
「柊屋、お主相当の悪よのう」
「いやいや! コテツ程じゃないよ〜!」
笑いが止まらない。
忙しいのに笑みが浮かぶ、忙しい悲鳴とはこのことだろう。
しかも、今回の新メニューたちを見て分かる通り、俺の追加の労働はチーズバーガーを作ることのみ。
そう、今回の新メニューのほとんどは、雛子担当のとうもろこしメニューなのだ。
「黄金院さんは大丈夫なの? 過剰に労働させてない? コテツと違ってみんな人間なんだよ?」
「聞き捨てならないんだが、俺が人間じゃないと思ってたのか?」
「え……お金のためならなんでもする。過労死だって辞さない……それがコテツでしょ……?」
そんなクソじゃねぇわ!!! ……全くお前は……。
「雛子が望んだんだよ。とうもろこしメニュー増やしたいってな」
「なるほどそうだったんだね。んでんで? 売り上げはどうなの?」
「……とうもろこしメニューの方が売れ行き良い」
「え……まじ?」
「マジ」
「ハンバーガー店なのに?」
言いたいことは分かるけど、やめてくれ。
これはあくまで協力プレイだから。
「企画立案は俺だ!! マネジメント料は俺のもんだ!!」
「おぉーー! さすがコテツーー!! 情けないほど汚いーー!!」
ん? それ褒めてないよね? どう考えても褒めてないよねそれ。
そのテンションで言われたら褒められてるみたいに錯覚するだろう。
ったく、
「ちなみに小腹空いたからお給料……というか現物支給の前借りしても良い? お願いコテツぅ〜」
「ん? あ〜まぁ良いぞ。報酬渡しても仕事サボるやつとは思ってないし」
「うわ、抜け目ないねコテツ」
当たり前だ、これでもこの店の代表なんだぞ。金儲けが関わってる以上、半端なのは許せん。
代表といっても、学園への提出書類に俺の名前を書いただけなんだが、まぁそこは言わないでいいだろう。
「それで? なに食べるよ?」
「一番売れてるおすすめメニューが良い!!」
お、マジで?
「うん!! なんだろ〜やっぱり昨日から始めてるから安定のハンバーガー? それとも新メニューのチーズバーガーかなぁ? 楽しみーー!」
「おぉーー新メニュー! いやーーさすが柊だ。勘が良いな」
「ほんと!? さすが私だね!! チーズバーガー好きなんだよねーー!」
いやーー凄い。本当に勘の良い柊だな。
「よっ、柊天才」
「にゃはははは! それほどでもあるぅーーー!!!」
「はい、“とうもろこしシェイク”」
「あれぇぇーーー!!? バーガーは!? 新メニューのチーズバーガーは!!?」
あはは、なに言っているんだ柊は。
「こちら、当店一番人気の“黄金院印のとうもろこしシェイク”でございます」
「ハンバーガー店なのに一番人気がハンバーガーじゃないなんて、恥ずかしくないのかーー!! コテツのアホーー!!」
「気づけ、俺はさっきからシェイクを作る機械と化しているだろう」
「本当だ!!?」
雛子が作った新メニューの“とうもろこしシェイク”は飛ぶように売れている。
元々、雛子には知名度や人気があったが、もはやそれだけじゃない。
砂糖控えめでとうもろこしの自然な甘味を生かし、謎の中毒性があるようで、既に二、三回同じ注文を買いに戻る客を見かけている。
「飲んでみたんだけど、無茶苦茶美味いんだよこれ……」
「またまた〜〜! 言っても、ただのとうもろこしなんでしょぉ〜〜? どれどれ……美味!!? なにこれ!!?」
だろ!? 美味すぎるだろ!?
「おほほほほっ! これがとうもろこしパワーですわぁぁぁ!!!」
「「商売の化け物かよ、アイツ」」
俺たちが雛子の凄さに驚いていたが、忙しさは収まらない。
結果として、初日より多い十一万の売り上げを記録した。
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「なんだよこれ!!?」
この時はまだ知らなかった。
俺たちの商売を脅かす奴らが、現れるだなんて……
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