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もろマネ 〜とうもろこしLOVEのお嬢様は金の亡者とタッグを組みました〜  作者: 瑞柿けろ
第一章後半 目指せ! とうもろこしのお姫様!
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第38話 ムードあるテラスで!? これはデートのお誘いですわね!!

「だいぶ暑くなってきたな……」


 人の多過ぎるパーティー会場――もとい、演劇部部室から少し離れて、やって来たるは大輪学園名物のテラス。

 食堂の外に隣接されたテラスは、近くにある中庭の噴水も見れて有名なスポットだ。

 

 ちなみに、時間は夕方も終わりかけ、薄暗くなって来たテラスは人気も無くなっている。


「うっまいなこれ」


 そんなところでお菓子を貪る俺。


 大皿に並べられていたお菓子はどれも絶品。

 特にマドレーヌが美味い。俺はマドレーヌにはうるさいからな、俺に美味いと言わせるとはなかなかだ。


 と言っても、


「ま、ただ好きでうるさいだけだけどな」

「ふふ、相変わらずですわね? 小鉄様?」

「ん? お、雛子」


 黄昏ていた俺のもとに現れた雛子は、劇の成功報酬で貰った花束を持っていた。

 邪魔じゃないのかそれ?


「そんなことありませんわよ? とても良い香りですし、香水代わりに常にわたくしの周りに撒いておきたいくらいですわね」

「花が舞ってるような演出か? あるよなそれ。漫画とかアニメでお嬢様の登場シーンとかでな」

「そうですわね! アニメのキャラのようになる! 幼い頃からのわたくしの憧れなんですの!!」


 分かるぞ、憧れってあるよな。

 俺も子供の頃は買ってない宝くじが当たらないか、と憧れたものだ。

 ……でも、残念だったな。


「そういう演出はお嬢様にしか似合わないと思うぞ?」

「あら!? 忘れておりまして!? わたくしお嬢様ですのよ!!?」

「あ! そうだったわ!?」


 お前ってお嬢様じゃん!? 庶民な俺と話が合うくらいだから忘れていたぞおい!!


「小鉄様はマドレーヌが好きなんですわね」

「なんだいきなり、話の脈略どうした?」

「マドレーヌで有名な海外のお店を買い取りいたしますわ。小鉄様のためだけのパティシエをご用意いたしますわね」

「思い出したようなお嬢様設定だな。やめとけアホ」


 そんなことしてみろ? 俺はそのパティシエを使った金儲けを考えるぞ?

 オーナーは俺、従業員は無給で一日三十八時間勤務で働かせる。これで決まりだ。


「待ってくださいまし!? 小鉄様の中では一日は何時間ありますの!? 考え方がブラックどころか極悪経営者ですわよ!?」

「寝るまではどこまでいっても“今日”だろ? なに言ってんだ雛子?」


 ちなみに俺は夏休みの時に、コンビニの朝昼夕夜勤バイトを七十二時間勤務でやっていたぞ? 寝てないからこれも一日だな。


「三日間寝ないでお仕事しておりましたの!? 小鉄様は阿呆ですわね……」

「給料ウハウハだぞ」

「そこのバイト先のオーナー様と小鉄様は捕まってくださいまし!! 社会の悪ですわ!!」


 悪ってお前なぁ……。


「わたくしといる限り、そんな不健康なことはさせませんわよ? 分かりまして? 小鉄様?」

「そ、そんな……俺は稼がないといけねぇのに!? 俺に死ねと!?」

「もうすぐ夏でしてよ!? 本当に死んでしまいますわよ!?」

「ぐっ……ぐぬぬ……」


 確かに……それは一理ある……。


「一理どころか、二も三も四理もありますわ!!」

「最近暑いもんな。迂闊に無理したら……さすがの俺もヤバいかもしれない」


 昔と違って今は外で遊ぶとかも危ないもんな? 外で友達と遊ぶとかした日には、気分が乗る前に救急車に乗るレベルまである。


 ……

 …………

 ………………


 あ、そういえばそうか。


「雛子と会って毎日慌ただしいが……いつの間にやら、もうすぐ夏になるのか」

「あっという間でしょう? わたくしも驚きですわ」


 四月に雛子と会って、いろんな変な奴たちとも会った。そして今ではもう六月も終わりに近い。


「通りで暗くなってきたのに暖かいわけだ。嫌だなぁ……俺は夏嫌いなんだよ……」

「わたくしは夏が大好きですわ!! 夏といえばとうもろこしですもの!!」

「あ、おう。それは言わなくても予想できたぞ」

「この夏は畑仕事が捗りますわぁーー!! 小鉄様も手伝っていただきますわよ!!」

「へいへい……お嬢様の仰せのままに」


 本当に、コイツといると暇にならないな。


「……なぁ、雛子」

「ん? どうかなさいまして?」

「……いや、なんでもない」

「むむ! なんですの!? 気になりますわね!?」

「内緒だ」


 真夏の太陽のように、明るく元気なコイツとなら、苦手な夏でも楽しく過ごせそうだ。


 雛子の顔を見つめながら、そんなことを思っていると、雛子が「そうですわ!」と、今まさに思い出したような声を出した。


「“コチラ”をどうぞですわ。小鉄様」

「ん?」


 差し出されたのは謎の封筒、その中身は――


「あ!! 金だ!!!!!」

「成功報酬の残りですわ」

「おーーそれか、びっくりしたぞ。今日一デカい声出たわ」

「今日一? この一ヶ月の小鉄様で一番大きな声でしたわよ?」


 俺は金に関してはオーバーどころか、スーパーハイパーウルトラリアクションなんだよ。

 ここまで一緒にいるんだぞ? 察しろ相棒。


「今回の劇は小鉄様のおかげで大成功いたしました。少し色をつけておきましたわ」

「確かに……分厚い封筒だ……」


 触った感じで中にいくらあるかなんとなく分かる。それが金大好きな俺の特殊能力だ。

 これだけあれば、返済も少し進む。




「……ふむ」




 よし。


「これは返すわ」

「え……えぇぇぇぇぇぇ!!!!?」


 うるせぇよ、驚き過ぎだぞ雛子。


「だ、だだだ、だって!? あの小鉄様ですわよ!? あのお金の亡者の小鉄様が!? さては偽物ですわね!?」

「俺をなんだと思ってんだ? 表だろオラ」


 ――ったくよ。


「今回はな」

「は、はい!」

「……今回は俺も楽しかったしな……? 雛子と過ごせて悪くなかったしぃ?」


 ま、まぁ……だからなぁ?


「今回の依頼料はいらねぇよ」

「良いんですの?」

「いらね。男に二言はない」


 なんならこの前金の五万もいらない。返すわ。


「あ、いえ。それは駄目ですわ」

「なんでだよ」

「それはわたくしがお願いしたんですもの。そこは譲れませんわ」

「チッ! だぁーーもぉーー!」


 なんて頑固なやつなんだ。


「どうしたら良いんだ全く」


 雛子もいらない、俺もいらない。

 なら俺たちが納得できるような使う方をできた方が合理的だ。


 ふむ、どう使うか……。


「あ、じゃあさ、どこか遊びに行こうぜ。親睦を深めるためにさ」

「デートですわね!! 分かりましたわ!! 楽しみですわね!!!」


 え、あれ!? 話聞いてた!!?


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