第37話 大きな行事の後は、もちろん!! パーティーだよなぁ!!?
劇を無事に終わらせた後、演劇部部室にて。
「それでは――かんぱーーい!!!」
「「「かんぱーーい!!」」」
「か、乾杯?」
「乾杯ですわーー!!」
拍手喝采、劇の大成功を祝い、パーティーが始まった。
パーティーといっても、大皿にお菓子を並べてジュースを飲む。学生らしいシンプルなやつだ。
お金持ちが集まる学園とはいうが、こういう庶民的なのは安心するな。
「部員の中に有名お菓子メーカーの社長の子供がいるらしいよ! ほら見てコテツ! お菓子がダンボールいっぱいに入ってる!」
「あ、間違えた。全然規模が違うわ」
なんだよそれ、やってることは学生っぽいのに、漫画でありがちな金持ちキャラエピソード過ぎるだろ。
「お、このクッキー美味いな。さすがお菓子メーカー」
「それね、学園お抱えのシェフが作ってるやつだよ! 今も学園の調理室で作ってるもん!」
「全然学生らしくないんだが!!?」
誰だよ、学生らしいお菓子パーティーって言ったやつ!? これだから金持ちの思考は分からねぇんだよ!!
ったく、ふざけやがって!
「柊! タッパーを持ってこい!! このクッキーと大量のお菓子を転売するぞ!! 金儲けだ!!」
「そういうクズなコテツ! 嫌いじゃないよ!! でも、いくらなんでも恥ずかしいからやめて!?」
クッ! それもそうかぁ……ならさすがにやめておくか。
タッパーを鞄に静かに戻すと、隣でお菓子とジュースを飲む柊に目を向ける。
美味しそうに食ってるなコイツ。
「どうしたのコテツ? 私の顔になにか付いてるかな? もしかして、私の可愛さに気付いた感じ!? 遅いよコテツ!!」
「あはは。面白いジョークだな柊? 最近で一番面白いぞ? よっ、センスの塊。自意識過剰ーー」
「かっちーーーん!」
過去一面白いかもしれん。……ではなく、
「いや、そうじゃなくてな? これが演劇部の“お疲れさまでした会”って、知ってるか?」
「知ってるよ! だから私がいるんだよ? あ、このお菓子美味しーー!」
「“だから”ってなんだよ。“だから”って? 純粋な部外者じゃねぇかよ。貴女は新聞部さんですよね?」
「これが新聞部のパッシブスキルってやつだよ?」
パッシブスキル? んだよそれ? そんなゲーム風に言うな。
「“取材”だよ! “取材”! これを言えば何処にでも潜入できるからねっ! さすが新聞部!! これだから新聞部は最高だね!! モグモグムシャムシャ!」
「おーーい、コイツを摘み出してくれーー。タダ飯食いがいるぞーー」
「あ、ちょっ! コテツ!? 余計なことしないでよ!? ……え、部外者じゃないよ!? 新聞部の取材――あ!? 離してーー!!? まだお菓子食べたーーい!!!」
演劇部の人に両脇を掴まれ、まるで捕まった宇宙人のように連行される柊。
さらば柊よ……お前の分も俺が食ってやるから、安らかに眠れ。
さてさて、邪魔者は消えたな?
「とりあえず、タッパーに詰めるだけ詰めるか……」
「あら、銭原さん?」
え、な、なにもしてないっすよ!? いやーーこのお菓子美味しいなーー……って、
「あ? アンタは常馬場先ぱ――い?」
突然声を掛けられて、あまりにも動揺してしまったが、よく見たら因縁の常馬場先輩が背後にいた。
……ん? でも、なんか違くね?
「常馬場先輩……なのか?」
「はい、私は常馬場ですが……どうかされました? 銭原さん?」
「いや!? アンタ偽物だろ!? 俺の知ってる先輩はもっと嫌味ったらしい奴だったぞ!?」
「あら、お恥ずかしい。おほほ」
ほらそれ!! そんなキャラじゃないだろ!? 全然ババア感が無いぞ!?
「劇の為のお化粧を落としましたので……そのせいでは?」
「あの嫌な性格も一緒に落ちてんじゃねぇか!!」
せっかく良いキャラ立ちしてたのに、あの嫌味なキャラを拾い直してこいよ。
「私は……演技となると人格が少し変わってしまって……お恥ずかしいです」
「少し? これが? お恥ずかしい? アハン??」
キャラ設定一から書き起こしてんだろ。顔も性格も別キャラじゃねぇか。
いや……、所詮は化粧なのに?? 見た目が違いすぎでは? ここまで変わるものなのか?
ま、まぁ? 女性の化粧は変身と言うからな、こんなこともあり得るのか?
……クソ、これ以上言ってもキリがないか。
「銭原さん? 冷静になりましたか?」
「あ……あぁ、一旦気にしないでおく……」
「おほほ。では改めて――銭原さん、今回の劇は助けていただいて、ありがとうございました」
「あ? 助けた? いや、あれは俺がいなくても成立してただろうが」
ツッコミ役みたいなもんだったしな?
「それでも助かりました。銭原さんがいなかったら劇は成功しませんでした。こればっかりは間違いありません」
「……お、おう」
まぁ、ここは素直に礼を受け取っておこうか。……どもっす。
「部員の脚本担当が考えた独創性のあるお話でしたので、銭原さんの助けがなければ、成功しませんでした」
「独創性? え? いろんな作品から手当たり次第パクってたのに? これを独創性と言うならパクリに寛容な世界になったんだな?」
「とても素晴らしい劇でしたねーー。おほほ」
「おい、無視すんな」
イジくそな態度のババアモードの先輩もめんどくさいが、素の感じがこれなのか?
結局なかなかめんどくさいな、常馬場先輩。
「劇の役に入り過ぎると性格も変わるのか? 厄介な奴だな」
「お褒めの言葉と受け取りますね」
「褒めてねぇよ」
ただ……なんだ?
劇に熱が入りやすいこの先輩には、演劇部は天職? なのかもしれんな。
~おまけ~
「そういえば、銭原さんは黄金院さんとお話をしないんですか?」
「ん? あーーいやな?」
見てみろよあれを、とお菓子パーティーの中、一際人集りが出来てるところを指差す。
「雛子は今回、大人気だからな? あんな人が多いところには行く勇気がないわ」
「あらあらーーおほほ」




