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もろマネ 〜とうもろこしLOVEのお嬢様は金の亡者とタッグを組みました〜  作者: 瑞柿けろ
第一章後半 目指せ! とうもろこしのお姫様!
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36/40

第36話 頭のおかしいカオスな劇――そして完結へ――

◆




「シークシクシク……シクシク? あーーシクシクですわねぇーー」


 おかしいですわ……もうシーンの切り替えのはずですのに、わたくし、もしや台本を勘違いしていたのでしょうか?


 いえ、そんなわけありませんわ! 何回読んだか分からないくらいには、丸暗記してますもの! 間違えたなんてまさかのまさかですわ!!

 ならば、なにかアクシデントがあったのやもしれませんわね!!


 わたくしに出来ることは、劇の成功のためにここを保たせるだけ!!


「あーーシクシクシクーー!! 涙が止まりませんわねぇーー!!」


 って、もうアドリブも限界ですわよ!? 誰か助けてくださいまし!?


 これ以上はもう無理ですわ、そう考えた時、舞台に現れた役者様。

 助かりましたわ! 全くヒヤヒヤものですわよ!?


「待たせたなひな――ピョン子姫!!」

「えぇ、本当に待ちまし――こ、小鉄様!?」


 ピンチに現れたお方。

 本来であれば、王子様役の二年生の先輩――だったのですが……?


 見覚えのあるくせっ毛と、吊り目の……わたくしの頼りになる相棒。


 何故小鉄様がここにいらっしゃいますの!?


「小鉄? 誰のことだか……」


 こ、小鉄様? いったい何を?


「俺はむんランドの王子!! “ゼニゲバー王子”だぞ!! ちょっとさっき、城の階段に落ちてた硝子の靴を売ってたら遅れてしまったよ! はは! マジごめんピョン子姫!?」


 あ、なるほど! 理解しましたわ!!

 このまま劇を進めていきますのね!! さすがは我が相棒ですわね!!


●


 む、無理矢理すぎたか?


 雛子が頑張って場を繋いでくれていたとはいえ、いきなりの登場は無理があったか……?


 まぁ、雛子は既に舞台に上がっているから、相談することはできない。このままなんとなくで繋ぐしかない! 伝わってくれ雛子!?


「まぁ、ゼニゲバー王子! 待っておりましたのよ!! 女性を待たせるなんて罪な殿方ですわね!!」


 乗ってくれた! さすが相棒だぜ!

 よし、このまま上手く話を進めて――


「それで、その硝子の靴はいくらで売れたんですの?」

「え、あ、そこ掘り下げるの?」


 やべ……思わず言葉が出ちまったよ。んーー……そうだなぁ。


「百万……くらい……かな? なかなかだったぞ?」

「あら、百万“むんバブエドル”ですのね! むんらんどの通貨単価! 日本円で一万分の一ですわね!!」

「それただの百円じゃねぇか!!」

「さすがゼニゲバー王子! 計算が早いですわ!!」


 シンデレラの靴を百円なんて、悲しいこと言ってんじゃねぇよ!?


「精密な合成樹脂だった可能性が高いですわね。最近このような手口が増えているそうですわよ?」

「シンデレラ詐欺とかやめてくんない? 訴えられろマジで」

「手口は悪質化しておりますわ!! この世は、王子様の玉の輿を狙った猛獣たちばかりですわよ!」


 玉の輿とか猛獣とか、そんな表現やめてくんない!? 純粋な気持ちで物語が見えなくなんだろ!?


 ……

 …………

 ………………


「じゃなくてね!!?」


 ていうか、脱線しすぎだぞおい!? 劇を進めないと観客置いてけぼりだろうがっ!!


「さて、本題に入りましょうゼニゲバー王子様! わたくし、貴方にお見せしたい物がありましてよ!?」

「お、おう。いきなりスイッチ入るな……う、うむ。申してみろピョン子」


 はいですわ! と元気な返事をした後、雛子……もといピョン子はバッグに手を入れ、中の物を出し始めた。


 なんだ? なにを見せてくれるんだ? もしかして現き――


「こちら、揃えたらなんでも願いが叶うボールですわ」

「アウトーー!!?」

「これが魔法学校にあった最強の杖で……」

「元あった場所に返してらっしゃい!!?」

「火鼠の衣も持ってきましたわ!」

「ひねずみ……え、なんて??」


 バッグからドンドン変な物出してきてるぞ!? なに持ってきてんだお前!? モザイクだらけじゃねぇか!? 怒られるからやめなさい!? 

 いや、なんでお前はこんなもの持ってきたんだよ!?


「王子様が、この珍しい物を持ってきたら結婚すると言っておりましたので、集めてきましたわぁ!!」

「俺はかぐや姫かなんかなの??」


 なに無理難題言ってんだよ王子様。

 そして、なにお前はそれを持ってきてんだよ。


 ん? もしかして、カオスなタイトルになってるけど、これって最終的な内容は実質――


 かぐや姫なんじゃね??


「じゃあ、これは……あれか? ……オメェ結婚すっか?」

「んだ! ですわ!」


 しくじった!! ドラ○ンボ○ルの結婚ネタみたいなことを言っちまった!! ノリで!


 こうして、なぜか抱きしめ合う俺たち、観客はスタンディングオベーション……ドユコト?? もうわけ分からん。


 でもこれでハッピーエンドってことか、あれ、殆ど俺いらないじゃねぇか。


「この力で世界を征服して、わたくしたちが魔王になるんですわね!!!」

「あ、そんな感じなのこれ!?」

「勇者が来たら世界の半分を差し上げる取引をいたしましょう!! わたくし憧れておりましたの!!!」

「主人公と思いきやラスボスエンドとかそんなオチ……いや、割と最近あるか」

「おほほほほですわーーーー!!!」

 

 最強の杖と刀、願いを叶えるボールを持ち、とりあえず火鼠の衣に身を包んだピョン子が、高笑いをあげる。


 そして、最後にナレーション。


『こうして、トウモロコシ ピョン子は大魔王となり、いつまでも幸せに暮らしましたとさ――チャンチャン』


 舞台の幕が降りる……あれ!? 本当に俺が代わりに出た意味ないじゃんか!?

 なんのために出たんだよ!?


「ツッコミ役ですわよ? 台本を読んでおりませんの? 小鉄様?」

「王子様兼ツッコミ役ってこと!? 嘘だろマジか!!?」


 うざけんなよ!? ただ恥ずかしい思いしただけじゃねぇーーか!!?




 かくして、演劇部の劇は謎の大成功を収めた。





        ~おまけ~


「硝子の靴なんて駄目駄目ですわ!! わたくしなんて、とうもろこしで作った特製の“コーン靴”ですわよ!! 見てくださいまし! これを!!」

「食べ物を粗末にすんじゃねぇーー!!」


 炎上するだろふざけんな!! 今時ネットはおデリケートなんだぞ!!


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