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もろマネ 〜とうもろこしLOVEのお嬢様は金の亡者とタッグを組みました〜  作者: 瑞柿けろ
第一章後半 目指せ! とうもろこしのお姫様!
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34/40

第34話 顔熱っ!! なんかラブコメみたいじゃないこれ!!?

●


「凄いな雛子、もう俺が教えられることはないな。免許皆伝だ」

「小鉄様……! ありがとうございますわ!! わたくし自信がつきましたわ!」


 さらに練習を繰り返し、雛子の演技力がより磨かれた。それはもう、今の雛子なら観客全てを魅了するだろう。


「今のお前ならブロードウェイも夢じゃないな。いや、ハリウッドからのスカウトを待つまである」

「お、おお!? 煽ててもなにも出ませんわよ!? とうもろこし茶をお飲みになってくださいまし!!」

「お茶が出て来るじゃないか……あ、美味い……」


 雛子が真っ赤になりながら、水筒からお茶を注いで手渡して来る。

 最近病みつきになってきた、黄金院印のとうもろこし茶を飲み、俺はホッコリとした気持ちで話す。


「やっぱり知ってはいたけれど、雛子は真面目だな」

「な、なんですのいきなり、またお褒めになって!? お茶のおかわりですの!?」


 あ、いや、そうじゃなくてだな?


「前に話したけどさ、雛子は頑張れるすげぇ奴って知ってたぞ! さすが! よっ! 日本一!」

「えへへ! 照れますわね!」


 今回こうして雛子に教える立場になって、よく知れたことがあるんだ。

 畑仕事をしてるからアホみたいな体力があって、センスがあるのか演技も上手い。


 そして、努力する才能に溢れている。


 凄いな雛子は――




「俺の相棒は世界一かっこいいお嬢様だ」

「ッ!? こ、小鉄様……」




 思わず笑みが溢れる。

 皮肉は一切ない、本心から出た言葉だ。……だからこそ思う。


「――あ、いや、なんからしくないな!? 顔熱っ!!」


 急に恥ずかしくなってきた。

 本心なのは事実なんだがな? なんかこうあるだろう? 俺のキャラじゃない感じがさぁ!?


「ふふ、小鉄様? お顔が真っ赤ですわよ?」

「夕陽に照らされてなっ!? あーー眩しいなぁーー!?」

「可愛い小鉄様は初めて見ましたわ」

「可愛くないが!?」


 男子高校生をイジるのはやめてくれないか!? 俺たちはおデリケートな生き物なんだぞ!?


 顔でも洗いに行って、冷静になる為に教室から出ようとした時、俺の手を握りしめ、


「わたくしも、小鉄様に言いたいことがありましたわ」


 雛子は優しく微笑んだ。


「黄金院雛子は、小鉄様と出逢えて毎日が楽しいですわ」

「ひ、雛子? 手を離してくれないか? は、恥ずかしいぞ?」

「今度はわたくしのターンですわよ? 静かに聞いてくださいまし」

「え、えぇ……」

「お返事はしてくれませんの?」


 あ、はい。分かりました、と返すと雛子は嬉しそうに、ゆっくり言葉を呟く。


「小鉄様と一緒にいると退屈なんて訪れませんわね。小鉄様がなにかしら問題を起こしますし」

「え、ひ、雛子さん?」

「寮は壊しますし、お金しか興味ありませんし、言葉遣いは酷いですもの。色々な方に喧嘩腰ですからヒヤヒヤですわよ」

「あれ? このターンは俺が怒られるターンかな?」

 

 でも、と雛子は続ける。


「そんな日々が、そんな小鉄様と一緒にいるのが、わたくしは一番幸せですわ」

「雛子……」

「まだ出逢って数ヶ月、どれだけわたくしを楽しませてくれるんですの? ずるいお人ですわ」


 えっと……どういたしまして? それは褒められてんのかな?


「ふふ、小鉄様は本当に……愛おしいですわね」

「い、愛おしい!?」


 あ、あれか!? 聞き間違いか!? “いとおかし”的な!? 


「小鉄様」

「なん――ぎゃぁーー!? ひ、ひひ、ひひな! 雛子さん!?」

「どうかなさいまして?」


 いや! どうかなさいまして? じゃなくてね!?


 俺は驚きながらも、突然の状況を尋ねる。


「なんで抱きついておられるんですか!?」


 そう、雛子が突然俺に抱きついてきたのだ。

 いきなりのこと過ぎて、いつも冷静な俺でも動揺してしまう。


「感謝の気持ちですわ!!」

「感謝の気持ち!!!?」


 あ、あれかな!? 海外の方はハグするし、そんな感じか!? 俺も抱きしめ返さないと無作法というものとか!?


「ふふ」


 な、なんですか雛子さん!? 耳元で急に笑わないでくれない!? 俺は耳が弱いのよ!?


「いえ、わたくしの相棒は意外と照れ屋なんだと思っただけですわ」

「人をおちょくってお前は楽しんでんのかぁ!!?」

「これからもよろしくお願いいたしますわよ? 小鉄様?」


 そう言うと雛子は、俺から離れ――




 ――――ちゅ。




 ナニかが、頬に触れた。


「お、おおお!? お前なにしてぇ!!?」

「か、海外では頬へのキスは普通ですわよ!? 小鉄様!?」

「海外ではな!!?」


 ここを何処だと思ってやがるテメェ!? ジャパニーズだぞゴラ!?


「さ、さてさて! ラブストーリーの演技も完璧ですわね!! わたくし、自信が付きましたわ!!」

「あ、演技? ならそれも普通だな」

「あれ!? さっきまでの照れてる小鉄様は何処へ行かれましたの!? あのピュアな小鉄様は!?」


 ピュア? 知らないな。奴は俺が世を忍ぶ仮の姿よ。

 散々俺を弄びやがって、許せない……が、今は勘弁してやるか。


「とりあえず、その調子なら大丈夫だな雛子!! 明日の劇は楽しみにしてるからな!!」

「え? あ、はいですわ! 明日の劇を楽しみにしてくださいまし!」

「おうよ!! じゃあ俺はこの後はゴリ先に呼ばれてるから!! またな相棒!!」

「ま、またですわよ相棒!!?」


 謎のハイテンションで挨拶を終え、教室を後にする。


 そして、


「ハァァーー!!!」


 廊下の壁にへたり込み、声を押し殺して叫ぶ。




「「顔熱っっ!!?」」




 遠くの誰かと言葉が被った気がしたが、多分気のせいだろう。




        ~おまけ~




「な、なんだろう!? 今コテツのレアな姿を見逃した気配がする!?」


 柊夏希はなにかと勘が鋭い。


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