第33話 これが練習だと!? お前パロディにもやって良いことと、悪いことがあるわ!!
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そして、いよいよ始まるのが――
「始まるぞ雛子!! 演技の練習だ!!」
「いよいよこの時が来ましたわ!! ……なにやら、ここまで長かった気がいたしますわね……?」
「気のせいだろ?」
あれだけ走りまくってたらね?、そりゃ長く感じるだろうな。
ほら、あれだよ。充実した一日は長く感じるだろ? それだよ。
そんなことよりだ。
「始めようぜ。俺が雛子を一流女優にする。報酬の十万に誓って!!」
「十万で一流!? 小鉄様のその商売大丈夫ですの!? リターンがデカ過ぎますわ!?」
「この十万でなに買おうかなーー! ……あ、借金返済に当てないと……」
「あぁ! 小鉄様が現実を見て凹んでおりますわ!!」
うるせぇ!! 色々思い出させるな!!
そんなことより、とっとこ始まるぞ!! 練習をよぉ!!
気持ちを切り替えて練習を始める。
ネタバレをしたくないと言われているからな、どんな演技練習をすれば良いか分からない。
なら、
「今から雛子! お前に全てを叩き込む!! 行くぞ!! 俺についてこい!!」
「や、やってやりますわーー!!」
●
「こんなところにみんなを呼び出して、一体どうしたんだよ」(やさぐれた男役小鉄)
「そうよそうよ!! 私たちも忙しいのよ!?」(女役裏声小鉄)
そこは古びた館。
不満を露わにして、文句を言う男女は、警察の人に呼ばれて集められた。
やさぐれた男、ヒステリックな女、館の主に仕えたメイド、タバコを燻すルポライター。
複数の人が集まる中、探偵は静かに告げた。
「集まっていただいてありがとうございますわ。皆さまに集まってもらったのは他でもありませんわ」
――この中に犯人がおりますわ。
「な、なにを言っているでちゅの!?」(メイド小鉄)
「あ! あっしらの中に犯人がいるですと!?」(ルポライター小鉄)
狼狽える者たちに、探偵は決め台詞を高らかに掲げた。
「謎は全て解けましたわ!! このわたくしが犯人を見つけてみせますわよ!! 名探偵のわたくしの“名”におかけいたしますわーー!!」
●
「ふむふむふむ」
「いかがでしたかしら!? 小鉄様!?」
「いや、悪くない! まるで見えるようだったよ!! 名探偵雛子が!!」
「本当ですの!? 嬉しいですわぁーー!!」
凄いな雛子、お前は演技派女優だな。さすがに引き出しの多さに驚くわ。
「意識したのはやはり名探偵のお孫さんのお話ですわね!! わたくしアレが大好きなんですわ!!」
「あまり細かく言わないようにしような? どんなな些細なことでも怒られる時代だからな?」
さ、さて! 次に行ってみようか!?
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激しい戦闘の余波で、歩くことすらままならない大地。そんな場所で二人の戦士が並び立つ。
異様に肌色が悪過ぎる悪者小鉄が不敵に笑う。
「お前もフルボッコにしてやろうじゃないか。あの銭ゲバのようにな……フーリフリフリ」(悪者肌真っ白小鉄)
某海賊作品のような変な笑い方……だが、戦士……否、彼女にはそんな些細なことはもう届かない。
「……あの銭ゲバ? ――ことか……ですわ……」
特徴的な金髪立髪ロールの戦士……雛子は怒りに震えた。
「小鉄様のことかっ!! ですわぁぁぁ!!」
大地は震え、空が割れる。
今この瞬間、
――伝説のとうもろこしの戦士が目を覚ます。
●
「いかがでしたか小鉄様!? これはなかなかの出来ではありませんか!? わたくし、かなり手応えを覚えましたわ!!」
「え、あ、うん。良かったぞ? ビックリするほどな??」
まるで一瞬だけ、殴り合い大好き作品になったのかと思ったわ。
う、うん。それに震えたよな。
「雛子が書籍化とかアニメ化ってやつをさ、ゴミ箱に丸めて捨てた感じがしたよね。うん」
「どうかなさいました? 小鉄様?」
あ、うん。こっちの話。
「それにしても、わたくし物語に興味が出てきましたわ!! 今まで“名探偵の孫”しか存じてございませんでしたので!!」
「え、本当に知らないのか!? 嘘だろマジか!? 知らねぇやついんの!?」
てか、雛子お前!?
生まれる時代が早ければ人気作家じゃねぇか!!?
●
夜。
周りの家が静まり返り、時間は二十二時になろうとしていた頃。
一つの家の中で、女の子はペットに話しかけていた。
「今日は楽しかったですわ! 聞いてくださいまし! わたくし、今日は好きなお方とお話をすることができたんですわ!」
「それは良かったなのだ。雛子ちゃんが楽しそうでおれ――ぼ、ボクも嬉しいのだ」(ペット小鉄)
あ、それと、その好きな人が女の子ならボクも混ぜてほしいっぴ!!(百合の間に挟まるペット小鉄)
「本当に今日は楽しかったですわ!」
あ、無視されたわ。あ、いや、なのだ……。
「今日は素敵な日でしたわね! 明日はもっと良い日になりますわよね? 小鉄太郎様??」
ここで決め台詞――
「癖ぇぇーー!!! あ、待って?? 小鉄太郎? 語呂悪くね?」
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「いかがでしたか小鉄様!?」
「いやもう雛子の劇の才能は分かったぞ?」
……ただ、あのぅ……その……なんだ……。
「ッ!!?」
「どうかなさいましたか小鉄様? いきなり振り向いて」
「あ、いや、なんか嫌な感じがな?」
え、大丈夫? この学園に著作権団体部とかない? なんでもありの学園ならありそうじゃん? ……大丈夫か。
「雛子? お前本当に知らないのか? このレベルだと似てるとかじゃねぇぞ?」
「他にも青いロボットとポンコツ男の子のお話もありますわ!」
「もうそこまで聞いただけでなにか分かるわ!? てか、その程度のヒントで答えられる作品って凄くね!? 日本を代表する作品よな!!」
あれ!? お前それも見たことないのか!?
逆に、名探偵の孫だけを見てた理由はなんだよ!? そっちの方が気になるわ!!?
疑問を投げかけてみると、雛子は真顔で答える。
「このぐらい教養の一つですわ。本当は全て知っております」
「え」
「純粋に驚く小鉄様の反応が面白くて、意地悪しておりましたわ。お可愛いですわね小鉄様」
「お、お、おまっ! お前ぇぇ!!?」
“パクる”と“パロディ”は紙一重なんだからなぁ!!? 雑にパクってんじゃねぇぞ!!?
パロディはなぁ!! やり過ぎちゃ駄目だし!!
不快に思わせることしちゃいけねぇんだよ!!!!
「小鉄様が熱いですわ!!?」
「ギャグを舐めんじゃねぇぞゴラァァ!!!」
「ヒィィィですわぁ!!?」
練習はまだまだ続く。




