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もろマネ 〜とうもろこしLOVEのお嬢様は金の亡者とタッグを組みました〜  作者: 瑞柿けろ
第一章後半 目指せ! とうもろこしのお姫様!
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第32話 文化部の方が運動量えぐい時ない???




◆




「おら雛子ーー! キリキリ走れーー!」

「ヒィー! ヒィー! し、死にそう!! ぐっ、苦しいですわぁーー!!?」

「へばるのは早いぞーー!! あと五周ーー!!」

「ヒィーー!? 鬼コーチですわぁーー!?」


 レッスンニ(ツゥー)! お次は体力増強メニュー! これが地味にしんどいんだ! 

 その名も――


「地獄“走り込み”だ!!」

「お、こんなところにいたんだね。銭原」

「ん? あれ? 自分こんなところでなにしてん?」


 雛子のレッスンのためにグラウンドに来たが、少し興奮して声を上げ過ぎたわ。

 嫌に目立っちまったか。誰だいきなり?


「お、真波と──あ、あれだ。競泳水着を愛する“変態”の光鳴先輩じゃないか」

「柊さんに聞いてきたよ」

「あれ? 今自分、変態って言うてへんかった? え、こんな滑らかに貶されることあるか普通?」

「良い意味で、な。良い意味で」

「それ言ったらなんでも許される思うとるやろ!?」


 思ってない思ってない。ほら、よく言うじゃんか?


「ベーシストとか、やばい奴らには“変態”って、褒め言葉らしいぞ?」

「そんな特殊性癖の奴らと一緒にすんなや!!?」


 アンタ特殊性癖だろうが、なにを言ってんだよ。自分を見失うな。

 変態はどこまで行っても変態なんだよ。一度なったら進化はしても退化はできない暗黒進化だろうが。


「心外すぎやわ。ここまで侮辱されたの人生初」

「じゃあ光鳴先輩はここでなにしてんだよ」

「自分? 自分は――教えてる水泳部の連中を、競泳水着姿で走り込みさせる計画練り中ぅーー」

「あ、もしもし? ゴリ先?? 女子生徒にセクハラを計画してる変態を捕まえて欲しくてぇ」

「あぁぁぁ!? 待ってぇ!? ほんまに待っ――ゲフッ……」


 お、凄え。神速のゴリラがやってきて光鳴先生を攫っていきやがった。

 さすがだぜゴリ先。味方ならこんなに頼もしいことはない。


 さてと、で、だ。


「真波はなんでこんなところにいるんだよ?」


 暇なのか? と付け足す。


「部活だよ部活、基礎練の走り込みだね」

「お、なら雛子と一緒だな。一緒に走ってこいよ」

「そうだねーー……よっこいしょ」

「おい、平然と隣に座んなよ。サボり魔」

「ちょうど水分補給休憩なんだよね」


 なるほど、それなら仕方ないな。

 偶然俺の横で水分を補給するだけなら止める権利はないな。


「君の楽しい話でも聞いて潤うとするよ」

「物理的に水分摂ってこい!!」


 面白いものでも見るように、ニヤニヤ気分の悪い笑い方しやがって! こっちは本気でやってんだぞ!?

 てか、水分補給はしないといけだろ。今の時代は暑いんだから――


 さらに言葉を続けようとした時、一人の女子生徒が真波のそばに近づいてくると、


「行人君!! これ! 受け取ってください!」

「ん? あ、丁度喉乾いてたんだよね。麦茶だぁ、ありがとう」

「は、はい! 光栄です!!」


 女子生徒は真波にドリンクを渡し終わると、顔を真っ赤にして走り去っていった。

 もしや、あれが真波ファンクラブの奴か? 遠くで他の女子生徒たちとはしゃいでるから、おそらく間違いないだろう。


 モテるイケメンはすげぇな。


「ねね銭原、君さ、これいる?」

「はぁ!? お前さすがにそれは失礼過ぎるだろ!? お前への好感度下がるわ!!」


 ファンから貰ったものをそんな扱いって、それは相手が可哀想過ぎるだろ!?


「銭原さ、よくこの麦茶を見てよ」

「あ? いったい何を言って――」


 真波の言動に呆れながら、ペットボトルの麦茶に目を向けると……何故か大量のワカメのような物が沈んで――って!?


「うぎゃぁぁぁ!? なんだそれ!? か、髪の毛ぇ!!?」


 なんでそんなもんが麦茶の中にあんだよ!?


「これがファンがいる側のリアルだよ……」

「警察に届けてこいアホ!!!」


 そんな呪物みたいなやつ人様に見せるんじゃねぇ!! リアルな現実を見せるな!


 ……ん? いや待て?


「現役女子高生の髪の毛入り麦茶? ……金の匂いがする!!!」

「字面汚くないよ? それ」


 真波は後で処分すると、ポケットに閉まってしまった。

 あぁ……俺の金が……、高額オークション品が……。


「銭原……君さ、そんな露骨に凹まないでよ。それで? 君はここで何してるのかな?」

「ん? あーーあれだよ。雛子の演技指導」

「なるほどね、演劇とかも走ったりするからね。なんなら運動部よりハードな所あるからね」


 分かる。演劇に限らず、吹奏楽部とか恐ろしく過酷なパターンあるよな。割とマジで。

 

 文化部で楽しようって、不純な動機で入った人は絶望するだろうな。

 ……まぁ、過去に似た経験をしたことあるから、よく分かるんだが……。


「それで? 黄金院さんと、一緒に走ってる柊さんはどうなの? だいぶ疲れてるみたいだけど? 体力無い感じだったのかな?」

「残り五周だな」


 いや、今目の前を通っていったから、あと四周か。

 ん? 走り始めてまだそんなもんなのかって? いや……あのな?


「百周まで……あと四周だな……」

「あ、あれ!? 二人とも!? そんなに走れたんだね!? 俺より体力あるんじゃないかな!?」

「片方は“帰宅部”、片方は“新聞部”だぜ? アイツらオリンピックを狙えるだろうよ」


 冷静に考えてみろよ? 

 アホみたいに広い面積の畑仕事したり、新聞のネタ集めに学園内を走り回ってるやつだぞ?

 そんな奴らがさ、体力無いなんてありえねえよ……。


「やる意味あったのかい? これ」

「やめろよ。そんなこと言うな」


 もう授業料は貰ったんだよ。

 やる意味なかったなんて、口が裂けても言えないわ。


「あと三周ですわぁぁぁぁ!!!!」

「うりゃぁーー!! 負けるかぁーー!!」


 アイツら凄くね? 無茶苦茶元気じゃん。






        ~おまけ~


「そもそもなんで柊も走っているか、だって?」


 おら、答えてやれよ。柊。


「なんか走ってる雛子ちゃんを見てたらさ!! なんか走りたくなっちゃって!!」

「な? さすが犬っころだろ?」

「誰が犬だってぇ!!」


 ほら、撫でてやろうか? よしよし。


「うにゃーー」

「小鉄様!? なにやってますの!!? ムキィーー!!!」


 なに叫んでんだよ……ムキィーーって、そんな漫画的表現を言うなって……。




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