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第19話 とうもろこし泥棒!? 来れ! 最恐の裁き!! 中編


 夜、全ての始まる時間、俺は静かに告げた。


「――来たぞ」


 インカムを通しみんなに伝えた声は、そのインカムを通して返答が帰ってくる。


「「「了解」」」


 ターゲットは今畑へと侵入した。

 昨日の今日だというのに節操のない奴らだ。味を絞めやがって。

 俺よりも遥かにガタイの良い男たち、ラグビー部の奴らは呑気に話していた。


「遅くまで練習キツかったですね、先輩!」

「おかげで腹が減って死にそうだよなぁ!」

「ゼララララ! 見たくだせぇ兄貴! ここのとうもろこし! 昨日採ったのにもう実ってますぜ!」

「アーニアニアニアニ! テメェら根こそぎ奪っちまえ!!」


 なんだろう。なんか某海賊漫画みたいな、あり得ない笑い方してるけど無視しよう。


「人のこと言えないほどコテツも変な笑い方してるよ? え、自覚無し?」

「俺の変な笑い方? あぁーー良く言われるんだよ。上品だなって」

「作戦は良いかな!? みんな行くよ!」

「おい無視すんな」


 本当のことを言ったのに、なんだその露骨な無視は、酷いぞ。

 ……やれやれ、まともなのは俺だけか。


「“四人がそれぞれ罠を用意する”、そんなおふざけをして本当に良いんですの? わたくし……少し罪悪感が……」

「じゃあ雛子はこのまま、とうもろこしを蹂躙されて良いんだな? 聞こえないのか? とうもろこしたちの泣き声が、助けを求める声が!」

「罪悪感なんてございませんでしたわ!! 聞こえますわ!! あの子たちの悲鳴が!!」


 マジで? 大丈夫か? 良い耳鼻科紹介しようか?


 いや、じゃなかった。


「そうだろう雛子! 俺たちがやることは言わば“聖戦”である! これはとうもろこしという“愛する国民”を守る! 雛子王女としての勤めなんだぞ!!」

「なるほど! 民を守るのはわたくしの役目ですものね! わたくし、自分の役目を忘れておりましたわ!!」

「なんか銭原のやつ、楽しんでない? 黄金院さんが純粋なのを良いことに」

「仕方ないよ。コテツは昔から“アレ”だから」


 あれ、ってなんだよ。あれって。

 嘘は言っていないぞ。雛子からしたらとうもろこしは大切な存在だろ?


 だから、


「俺がなにで日頃の鬱憤を発散しても、“雛子のため”という大義名分があるからな」

「「うわ、ゲスい」」

「うるさい黙れ」


 これで雛子も喜ぶなら、Win-Winってやつだ。ちなみに、このノリについて来たお前らも同罪だからな?

 それに、泥棒騒ぎのことはゴリ先にも話は通してあるんだ。つまり――


「俺は雛子とゴリ先のために“仕方なく”! 本当はやりたくないけど! 心を鬼にしているんだ!! クソーー! ホントハコンナコトシタクナイノニーー!!」

「清々しいまでの棒読みだよコテツ!!?」

「銭原とは、この学園で知り合ったけど、銭原ほど分かりやすいやつは会ったことないね」


 褒め言葉として受け取ろう。

 さて、そんなことは良い!! そんなことよりもアイツらを追い払うぞ!!


 最初は柊の作戦だったな。どんな作戦なんだ?


「なんか……コテツのストレス解消って言われると気が進まないなぁ……」

「じゃあ、やめるか?」

「やるけど!!」


 やるんかい、じゃあお前はなにをやるんだ? 


 そんな態度なら、だいぶ緩い作戦なのか?


「私は彼らを殺すよ!!」


 全然緩くねぇぞおい!? ノリノリじゃねぇか!! 最初からクライマックスかよ!!


「ころ……そんな、さすがに悪い気がいたしますわ……」

「まーーまーー、話は最後まで聞いてよ! 私はアイツらを本当に殺すわけじゃないって!」


 じゃあどうするんだ? そう聞いた時、柊は悪魔のように悪い笑みを浮かべて言った。


「私は情報の力で彼らを“殺すんだよ”!」



「兄貴! どこから盗るでやんすか!」

「ジュラララ! まずはあそこから行くか!」

「了解でやんす!」


 ラグビー部……いや、敵が目標を定めて動いた時、柊の罠が起動した。


「な、なんだ!?」

「ま、眩しいでやんす!!」


 突然、畑が無数のライトに照らされ、敵の姿が露わになる。

 いきなりのことに驚いた彼らが、眩しさに怯んでいる間に柊が動いた。


「良いよ良いよーー!! ラグビー部の皆さん!! 素敵な表情だよぉーー!! 次は上目遣いでお願いねーー!! あ、目線くださーーい!!」


 カチャカチャ、とカメラのシャッター音が鳴り響く。

 さすが写真部だ。驚くほど早い写真撮影……俺でも見逃しちゃうね。


 目にも止まらぬ速さで撮影をした後、柊はさらに行動に移す。


「皆さんのお写真! 加工して全裸にしたやつを学園の公式サイトに載せましたよーー!! これで皆さんも有名人(意味深)ですからねーー!!」


 はぁぁぁぁ!!? 俺も含め、驚くラグビー部にさらに追い討ち。


「おまけに男好きのプロレス部の人たちや、男に飢えた女性教師に送っときましたよ!! 貴方たちの連絡先を添えてぇ!!」


 ……

 …………

 ………………


 「「「「テメェは悪魔かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」」」」


 いくらなんでもそこまでする!? 柊さんお前人間の心ないだろ!!?


 殺すって、“社会的な抹殺”じゃねぇか!!?




 奴らを襲う悲劇の夜は、まだ始まったばかり……


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