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もろマネ 〜とうもろこしお嬢様は常識を知らない〜  作者: 瑞柿けろ
第一章前半 とうもろこしと銭ゲバと
14/18

第14話 二人は友達! ロボットの特殊能力!?


「ねーねー! コテツぅ〜! 私のことも大好きぃ〜〜? ねぇーー」

「……うるせぇな」

「うわーーコテツが照れてるぅーー! こんなの初めて見たよ!! はいはーい撮るよ――カシャ」

「喧しいわ!! クソ! コイツに聞かれるなんて終わった!! 光の速度で言いふらされる! 俺の学園生活が終わった!」

「私のことなんだと思ってるの!?」


 そんなん、ネタになるならなんでも記事にして、相手の情報を金で売り買いする。


「最低な鬼畜外道だろぅ!?」

「コテツが私のことどう思ってるのかよく分かったよーー! さーて、コテツのことをネットにばら撒いて――」

「ジョークじゃないですやん姉さん!? あ! 柊さん!? 何か食べたい物ありませんか!? なんでも作りますよ!?」

「鯖の押し寿司が食べたいなーー」


 はいよ! 鯖の押し寿司一丁!! さっさと作れよロボット!!


「ヒィーーデスワーー」


 ロボットに材料を放り込み、調理が始まる。

 早くしろよ、柊さんの機嫌が変わらぬうちに作れ。


 焦る俺を他所に、雛子が口を開く。


「あの……柊様……」

「ん? なにかな黄金院さん?」

「えっと……」


 少し言い淀む雛子の助けを求める視線が、俺の目と合う。

 頑張れ雛子、お前ならできるぞ。


 言葉では伝えず、静かに見守る俺の姿を確認した後、雛子は深呼吸とともに声を上げた。


「この記事見ましたわ!!」

「お、コテツに渡した明日の新聞のサンプルだね! どう? よく撮れてるでしょぉ?」

「はい! とても素敵な写真で――ではなくて! 柊様!?」

「ど、どうしたの黄金院さん!?」


 柊もいつもと違う雛子に違和感を覚えたのか、思わず驚いている。

 隣で見てるだけで面白いな、これ。


「柊様……わたくし、お願いがありますの」

「な、なにかな……?」

「「……」」


 緊張のあまり、二人の間に僅かな沈黙が流れ、雛子が手を差し出し言った。


「わたくしと! お友達になっていただきたいですわ!!」


 ……

 …………

 ………………


 「え!? 私はもう友達だと思ってたよ!?」

「あ、あら!? そうだったんですの!?」

 「寧ろ、この三人でここ数日頑張ってたのに、私たちだけ友達でもなんでもなかったの!? え、寂しいかもそれ!!?」

「寂しい!? そんなふうに思わせていたとは、申し訳ございませんわ!?」


 緊張の次は驚き続ける二人。

 駄目だ、もう見てるだけで面白い。つい笑っちゃうわ。


「もーー! 小鉄様!? 笑わないでくださいまし!?」

「悪い悪い、面白くてさ」

「さっきまで照れてたコテツに笑われるなんて、ムカつくなーー!」


 まーまー、その話は良いじゃねぇか。

 な、雛子。俺がなにが言いたいのか分かるか?


 こんなに仲が良くて、息の合った二人が友達じゃないなんてありえないだろうが。


「あ、あの柊様?」

「なにかな? 黄金院さん?」

「もし、嫌でなければ……お名前でお呼びしても良いでしょうか?」

「――ッ!!! もちろん良いよ! じゃあ私も名前で呼んでも良い!?」

「もちろんですわ!!」


 嬉しそうに二人は手を握り、笑顔で言い放つ。


「夏希さん! これからもよろしくお願いいたしますわね!!」

「こちらこそ雛子ちゃん! 最初から友達だからね!! 遠慮しないでね!」

「はい! ありがとうございますわ!」


 良かったな雛子。

 これからも楽しくいられるよう、雛子の学園生活が忘れられない思い出になって欲しい。


 そんなことを思いながら、俺は目尻に溜まった雫を拭う。



「んーー! この押し寿司美味しいね!! 他の食べ物も凄く美味しいよ!! さすが雛子ちゃん!」

「いえいえ、これは黄金院家が開発した物ですし、わたくしは何もしておりませんわ」

「私が雛子ちゃんにお礼を言いたいだけだから良いの!! ありがと雛子ちゃん!」

「夏希さん……」


 ……あのー? 俺がいること忘れてないか? 二人だけの空間を作らないでくれ、疎外感があるだろうが。


 べ、別に寂しくないんだからねっ!


「おらおら! フライドチキンも出来たぞ! 沢山食べろよーー!」

「わーー……って、あれ?」

「あの、小鉄様? 今更なのですがお聞きしても?」


 なんだ? ようやく俺のことを構う気になったのか?


「いえ、そうではなくて――先ほどからこの大量のお料理を何処から出しているんですの?」

「何処から? そんなの決まってんだろ」


 聞かれた問いに答えるため、ロボットの頭部を軽く叩いて言い放った。


「この“ なんでも出来立て創る君”が出したんだよ。凄いだろ」

「おーー確かに凄い!」

「ちょ、ちょっとお待ちください!? そのロボットは材料を入れたら料理ができるロボットですわよ!? 押し寿司やステーキ!? 何処にそれを作れる材料がありますの!?」


 そうだよな、驚くに決まってるわ。

 俺の部屋には冷蔵庫もなければ、そもそも寮の自室には枕も毛布すらない。


 全部売ったしな。


「学園の寮の備品を!!? え、コテツなにしてんの!?」

「それは置いといて、こいつを見てくれ」


 柊の言葉を無視して、前に雛子から貰ったとうもろこしの粒を少しだけロボットに入れる。


 そして、


「良いか? 次はキャビアだぞ? 分かったな?」

「ワ……ワカリマシタワ……」


 出てきて欲しい物を頼む。


 その結果――




「はい、とうもろこしがキャビアに調理されましたーー」

「「えぇぇぇぇ!!?」」


 分かるぞ、俺も初めて見た時驚いたからな。


「ど、どどど!? どういうことですの!? 一体どんな原理で!?」

「何故かは知らないけど、どうやらコイツは“とうもろこしをなんにでも変換する”能力があるみたいなんだよなーー」

「なんですのそれ!? 家の者からはなにも聞いていませんわよ!?」

「や、やばい……き、記事にしたい……!」


 まーまー、二人とも落ち着け? そんなことよりも、だ。


「これで俺たちの店も安泰だな」

「いや、そっちですの!?」

「こんな凄い発明なのに!? コテツって商売のこと以外バカなのかな!?」


 こんな能力があるなら、やることは一つだ。


「これからは高級食材を使ったスペシャルなハンバーガーを作ろうぜ! さらに客がいっぱい来るぞーー!!」

「さすがコテツ……目先の欲しか考えてない……!」


 これでボロ儲けだ!! 俺たちの天下だぁーー!!




 ……

 …………

 ………………


「……エラーの多い試作機のはずなのに、あんなに凄いだなんて……驚きですわね……」



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