犬笛は誰に聞こえた
元動物園飼育員のペット行動相談員が、動物たちの行動から人間の嘘を見つける。
『けもの係の事件メモ』第八話です。
今回の相談は、夜の河川敷で複数の犬が一斉に騒ぐというもの。
人間には何も聞こえない。
けれど、犬たちは確かに何かに反応している。
鹿野蒼と朝倉実央は、犬たちの視線や反応を追いながら、夜の町に潜んでいた不審な行動へ近づいていきます。
聞こえないから、ないわけではない。
犬たちが聞いていた音を、人間はどう受け止めるのか。
そんな話です。
朝倉実央は、夜の河川敷で、懐中電灯を握りしめていた。
時刻は午後八時を少し過ぎたところだった。
昼間なら、犬の散歩をする人や、ジョギングをする人が行き交う道も、夜になるとずいぶん印象が変わる。
川の水は黒く、土手の草は風に揺れ、街灯の届かない場所には濃い影が落ちている。
実央は、その影を見ないようにした。
見ないようにすると、余計に気になる。
「朝倉さん」
少し前を歩いていた鹿野蒼が振り返った。
「はい」
「懐中電灯、振り回さないでください」
「振り回していません」
「さっきから光が川と空と私の顔を往復してます」
「確認です」
「何の?」
「周囲の」
「怖いんですね」
実央は黙った。
鹿野はそれ以上追及しなかった。
その代わり、足元の草を踏まないように、ゆっくり歩いた。
今回の相談は、夜の河川敷で起きていた。
数日前から、この辺りで犬が一斉に騒ぐという苦情が相次いでいる。
時間は夜八時から九時の間。
場所は、河川敷の遊歩道から住宅街へ上がる階段付近。
不思議なのは、騒ぐ犬が一匹ではないことだった。
近くを散歩していた犬。
家の中にいた犬。
庭にいた犬。
複数の犬が、ほぼ同じタイミングで吠えたり、耳を立てたり、落ち着かなくなったりする。
しかし、人間には特に何も聞こえない。
そのため住民の間では、地震の前触れだの、野生動物だの、幽霊だの、いろいろな噂が広がっていた。
生活環境課としては、幽霊は担当外だった。
野生動物と騒音なら、ぎりぎり担当内だった。
だから実央は、鹿野を呼んだ。
「犬笛の可能性があります」
鹿野は昼間、そう言った。
「犬笛?」
「人間には聞こえにくい高い音を出す笛です。犬には聞こえることがあります」
「誰かが犬笛を吹いているということですか」
「可能性はあります」
「何のために」
「それを見ます」
そして夜、二人は河川敷に来ている。
実央は、もう一度懐中電灯を握り直した。
「鹿野さん」
「はい」
「犬笛って、本当に人間には聞こえないんですか」
「周波数によります。若い人なら聞こえることもあります。聞こえなくても、犬が反応することはあります」
「では、今鳴っていても私にはわからない可能性がある」
「あります」
「怖いですね」
「幽霊よりは説明できます」
「比較対象が嫌です」
鹿野は少しだけ笑った。
そのとき、土手の上から犬の吠える声がした。
一匹。
続いて、少し離れた住宅街のほうから、もう一匹。
さらに、川沿いを歩いていた小型犬が急に立ち止まり、耳を立てた。
実央は息を止めた。
鹿野の表情が変わる。
眠そうだった目が、細く鋭くなる。
「始まりました」
実央は周囲を見る。
何も聞こえない。
風の音と、犬の声だけ。
だが、鹿野は犬たちの反応の向きを見ていた。
「みんな同じ方向を見てます」
「どこですか」
鹿野は河川敷の先を指した。
遊歩道の途中に、小さな橋がある。
その下は暗い。
街灯の光が届きにくく、昼間でも少しひんやりする場所だった。
「橋の下」
実央は喉を鳴らした。
「行くんですか」
「はい」
「ですよね」
「朝倉さんはここで待っても」
「行きます」
実央は即答した。
鹿野が少し意外そうに見る。
「怖いのに?」
「怖いから、一人で待つほうが嫌です」
「なるほど」
鹿野は頷き、橋のほうへ歩き出した。
犬たちは、まだ吠えている。
実央には聞こえない何かを、確かに聞いているようだった。
橋の下には、誰もいなかった。
少なくとも、見える範囲には。
コンクリートの壁。
落書き。
空き缶。
古い自転車のタイヤ。
流木のような枝。
鹿野は足元を照らした。
「ここ、最近人が来てます」
実央はすぐにメモを取る。
「足跡ですか」
「足跡と、これ」
鹿野が指したのは、壁際に落ちていた小さな金属片だった。
銀色の輪のようなもの。
「何ですか」
「キーホルダーの金具か、笛の部品かも」
実央は写真を撮った。
鹿野は壁の近くにしゃがむ。
「犬の毛が落ちています」
「犬がここに?」
「散歩中に通ることもあるので、これだけでは何とも」
鹿野は周囲を見た。
「でも、犬たちはここを見てました」
「誰かがここで犬笛を鳴らした?」
「それなら、人が見つかる前に逃げたかもしれません」
橋の向こうは、細い道で住宅街へつながっている。
その道を使えば、人目を避けて移動できる。
実央は、暗い道の先を見た。
「何のために、犬笛を」
鹿野は答えず、橋の柱の裏へ回った。
そこに、小さな白い粉のようなものが落ちていた。
鹿野は触らずに、ライトで照らす。
「粉?」
実央が言う。
「薬品か、餌か、ただの石灰かもしれません。触らないほうがいいです」
実央は背筋を伸ばした。
「警察に連絡しますか」
「その前に、周囲の犬の反応をもう少し見たいです」
「犬に聞くんですか」
「聞きません。見ます」
鹿野は立ち上がった。
「この辺で、最近犬が体調を崩した話はありますか」
「まだ聞いていません」
「確認してください。あと、犬笛の音がした時間帯に、不審者の目撃がないかも」
「わかりました」
実央はタブレットを取り出し、相談記録を確認した。
犬が騒ぐ。
夜の河川敷。
橋の下。
白い粉。
金属片。
だんだん、ただの騒音相談ではなくなってきている。
そのとき、橋の上から声がした。
「何してるんですか」
実央は肩を跳ねさせた。
鹿野は落ち着いたまま顔を上げる。
橋の上に、若い男性が立っていた。
犬を連れている。
中型の茶色い犬。
犬は橋の上から、じっと鹿野たちを見下ろしていた。
「市役所の者です」
実央が名刺を出そうとすると、男性は怪訝そうに眉を寄せた。
「こんな時間に?」
「犬の反応について相談があり、現地確認をしています」
男性は犬を見る。
「うちのハルも、さっき急に吠えて。いつもこの辺で変になるんですよ」
鹿野が犬を見た。
「名前、ハルですか」
「はい」
「最近、体調は?」
「特には。でも、この橋の近くに来ると嫌がるようになりました」
「いつから」
「一週間くらい前から」
鹿野は橋の上へ上がった。
実央も続く。
ハルは鹿野を警戒していたが、吠えなかった。
鹿野は距離を保ったまま、犬の耳と尻尾を見る。
「怖がってますね」
男性は困ったように言う。
「何があるんですかね。変な音でもするんでしょうか」
「可能性はあります」
「犬笛とか?」
実央が反応する。
「犬笛をご存じなんですか」
「ネットで見ました。近所の散歩仲間で話題になってて」
「散歩仲間」
鹿野が聞く。
「この辺、犬を飼ってる人が多いんです。夜に集まることもあります。最近は、犬が急に吠えるからみんな困ってます」
「誰か、犬笛を持っている人は?」
男性は考えた。
「しつけ用に持ってる人ならいるかもしれません。でも、こんな使い方しないでしょう」
鹿野はハルを見る。
ハルは橋の下ではなく、橋の向こうの細い道を見ていた。
「ハルは、音が橋の下から来たと思っていないかもしれません」
「え?」
鹿野は細い道を指した。
「向こうを気にしています」
実央は、その道を見た。
住宅街へ続く暗い道。
その先には、古い駐車場があった。
翌日、実央は市役所で相談記録を洗い直した。
犬の一斉反応が起きた日。
時間帯。
場所。
苦情を寄せた住民。
散歩コース。
地図に印をつけていくと、少しずつ見えてきたものがあった。
犬たちが反応する地点は、橋の下だけではない。
河川敷から住宅街へ上がる階段。
古い駐車場。
空き家の裏。
夜になると人通りが少なくなる道。
それらが、細い線でつながっていた。
そして、その線の近くに、数日前から別の相談が入っている。
不審なチラシ。
迷子犬の捜索を装った聞き込み。
「この犬を見ませんでしたか」と家の前で声をかける人物。
ただし、その犬の情報は曖昧で、写真もない。
実央は眉を寄せた。
「鹿野さん」
電話をかけると、鹿野はすぐに出た。
「はい」
「犬笛の件、別の相談とつながるかもしれません」
「迷子犬ですか」
実央は少し驚いた。
「なぜわかるんですか」
「昨日、橋の下に犬の毛がありました。でも周囲の犬のものとは少し違う。あと、白い粉。もしかすると、犬を引き寄せるためのものかもしれません」
「犬を引き寄せる?」
「匂いで誘導するもの。フードの粉や、動物性の粉末。まだわかりません」
実央は地図を見た。
「でも、なぜ犬を」
電話の向こうで、鹿野が少し黙る。
「犬を探しているふりをして、犬のいる家を調べている人がいるのかもしれません」
「犬のいる家」
「防犯意識、家族構成、散歩時間、留守の時間。犬を飼っている家は、散歩で生活リズムが見えやすいです」
実央の背筋に冷たいものが走った。
「空き巣の下見?」
「可能性はあります」
実央は、すぐに関係部署と警察へ相談することを決めた。
「鹿野さん、今日の夜も現地へ行けますか」
「行きます」
「危険かもしれません」
「だから警察にも」
「はい」
「朝倉さんも来ますか」
実央は地図を見た。
怖い。
夜の河川敷も、犬笛も、見えない音も、空き巣の下見かもしれない人間も怖い。
けれど、市役所に届いた苦情の先に、それがあるなら見ないわけにはいかない。
「行きます」
鹿野は少し間を置いて言った。
「いい傾向です」
「今それを言う場面ですか」
「たぶん」
「たぶんをやめてください」
それでも、実央は少しだけ笑った。
その夜、河川敷には警察官が二人、少し離れた場所で待機していた。
実央と鹿野は、散歩中の住民に話を聞くふりをしながら、橋の近くを歩いた。
犬を連れた人たちも協力してくれた。
昨夜出会ったハルの飼い主もいた。
ハルは、鹿野を見ると少しだけ尻尾を振った。
実央はそれを見て言った。
「ハルには好かれていますね」
「まあまあです」
「またまあまあ」
「犬なので」
「それ、万能ですね」
鹿野はハルの反応を見ていた。
ハルは落ち着いている。
だが、橋へ近づくと耳を立てた。
同じタイミングで、少し離れた柴犬が吠える。
さらに、住宅街のほうから犬の声。
鹿野の目が動く。
「来ました」
実央には、何も聞こえない。
けれど、犬たちは反応している。
ハルは橋の下ではなく、また細い道のほうを見た。
鹿野が低く言う。
「音はあっち」
実央は無線で警察へ連絡した。
細い道の先。
古い駐車場。
暗い車の陰。
そこに、人影があった。
男だった。
帽子を深くかぶり、片手に小さなものを持っている。
もう片方の手には、袋。
男が口元に何かを当てた。
犬たちが一斉に吠えた。
実央には、やはり音は聞こえなかった。
だが、犬たちには聞こえている。
ハルが低く唸る。
鹿野が言った。
「犬笛です」
警察官が動いた。
男は気づいて逃げようとしたが、駐車場の出口で止められた。
袋の中には、犬用のフードの粉末、古い首輪、偽の迷子犬チラシ、そして小型の犬笛が入っていた。
男は、最初はただ犬を探しているだけだと言った。
だが、スマートフォンには周辺住宅の写真が複数保存されていた。
玄関。
駐車場。
庭。
犬小屋。
散歩から帰ってくる時間をメモしたような記録。
警察官の表情が変わる。
空き巣の下見の可能性が高かった。
犬笛は、犬の反応を見るために使われていた。
どの家に犬がいるか。
どの犬がよく吠えるか。
どの道なら犬が反応して人の目が向くか。
逆に、どの時間なら騒ぎに紛れて動けるか。
男は、犬を使って町を調べていた。
実央は、それを聞いて腹の奥が冷えるのを感じた。
犬が騒ぐから迷惑だ。
最初は、そういう苦情だった。
だが実際には、犬たちは町の異常に反応していた。
犬の声は、邪魔な音ではなかった。
警告だった。
鹿野は、捕まった男を見ていた。
その目は冷たかった。
「犬を試したんですね」
男は視線を逸らした。
「ただ、反応を見ただけだ」
鹿野の声が低くなる。
「犬は、防犯装置じゃありません」
男は黙った。
「怖がる犬もいます。眠れなくなる犬もいます。散歩道を嫌がる犬もいます。人間の下見のために、犬を不安にさせないでください」
実央は、鹿野の横顔を見た。
これまで何度も見た表情だった。
動物を、人間の都合で利用されたときの顔。
怒鳴らない。
でも、許していない。
その静けさが、夜の河川敷に落ちていた。
翌日、市役所には新しい相談が何件も入った。
犬が騒いだ理由がわかって安心したという声。
怖いので防犯について知りたいという声。
犬笛とは何かという質問。
うちの犬が悪いわけではなかったのですね、という声。
実央は、それらを一つずつ整理した。
警察と連携して、町内へ注意喚起を出す。
夜間の不審者情報。
偽の迷子犬チラシへの注意。
犬の反応があった場合も、むやみに外へ出ず、まず周囲を確認して通報すること。
犬笛や高周波音で犬が不安定になることがあること。
そして、鹿野に確認してもらった文章も添えた。
犬が吠えるのには理由があります。
ただし、吠える犬を叱る前に、何に反応したのかを確認してください。
犬が不安を感じている場合は、安心できる場所へ移動させ、無理に外へ連れ出さないでください。
実央は、文章を見ながら少し考えた。
以前なら、こういう文は自分だけでは書けなかった。
犬が何に反応しているか。
その視点がなかった。
犬の声は、騒音。
そう処理していたかもしれない。
もちろん、吠え声が近隣トラブルになることもある。
それは無視できない。
けれど、吠えた理由を見ることと、騒音対策をすることは矛盾しない。
実央はそのことを、少しずつ学んでいた。
夕方、けもの係へ行くと、鹿野は店の前でハルの飼い主と話していた。
ハルは鹿野の足元に座っている。
実央を見ると、ハルは耳を動かした。
吠えない。
ただ、じっと見ている。
実央は少しだけ緊張した。
「こんにちは、ハル」
ハルは尻尾を一度振った。
鹿野が言う。
「かなり好き、くらいです」
実央は鹿野を見た。
「本当ですか」
「たぶん」
「たぶんをやめてください」
ハルの飼い主が笑った。
「ハル、人を見る目はありますよ」
実央は少し困った顔をしながら、ハルに軽く頭を下げた。
「ありがとうございます」
「犬にお礼言うんですね」
鹿野が言う。
「最近、言ったほうがいい気がしてきました」
「いい傾向です」
「それも最近、言われ慣れてきました」
「もっといい傾向です」
「調子に乗らないでください」
鹿野は少しだけ笑った。
夜の騒動から三日後、河川敷はいつもの静けさを取り戻しつつあった。
犬たちは、まだ橋の近くで少し警戒する。
ハルも、橋の手前で一度立ち止まった。
だが、飼い主が落ち着いた声で呼ぶと、ゆっくり歩き出した。
無理に引っ張らない。
急かさない。
犬が確認する時間を少し待つ。
鹿野が飼い主に伝えたことだった。
実央は、その様子を見ながら言った。
「犬たち、覚えているんですね」
「はい」
「嫌な音を」
「場所も、人の気配も」
「忘れるんですか」
「薄くなることはあります。怖いことが起きない時間を重ねれば」
「また、時間ですね」
「だいたい時間です」
実央は川を見た。
水面に夕方の光が揺れている。
あの夜、実央には何も聞こえなかった。
犬笛の音は、届かなかった。
でも、犬たちは聞いていた。
人間には見えないもの。
聞こえないもの。
気づけないもの。
この町には、そういうものがいくつもある。
鹿野は、それを動物の反応から見る。
実央は、それを人間の制度や手続きへつなぐ。
まだうまくできているとは言えない。
でも、少なくとも一人では見落としていたものが、二人なら見えることがある。
「鹿野さん」
「はい」
「犬笛は、私には聞こえませんでした」
「はい」
「でも、聞こえないからない、ではないんですね」
鹿野は少しだけ実央を見た。
「かなり大事です」
「褒めました?」
「褒めました」
「はっきりですね」
「犬笛回なので」
「理由になっていません」
鹿野は笑わなかったが、目元が少しだけ緩んだ。
けもの係へ戻ると、鹿野はいつものノートを開いた。
今回の題名は、もう決まっていた。
犬笛は誰に聞こえた。
実央は椅子に座る。
鹿野はペンを持ち、書き始めた。
人間には聞こえない音がある。
聞こえないからといって、鳴っていないわけではない。
犬たちは聞いていた。
橋の下ではなく、その先の道から来る高い音を。
知らない人間の匂いを。
繰り返される不安を。
犬は防犯装置ではない。
犬は実験道具ではない。
犬は、怖いものを怖いと感じる生き物だ。
吠え声を騒音と呼ぶ前に、何に吠えているのかを見る。
鹿野はそこでペンを止めた。
実央はノートを見ながら言った。
「今回は、少し怖かったです」
「夜でしたから」
「それだけではなく」
「人間が?」
「はい」
鹿野は静かに頷いた。
「動物を利用する人間は、怖いです」
「鹿野さんが一番怒るやつですね」
「はい」
「でも、今回、犬たちがいなかったら気づけなかったかもしれません」
「そうですね」
「犬たちは、町を守ったんでしょうか」
鹿野は少し考えた。
「守ろうとしたわけではないと思います」
「違うんですか」
「怖いものに反応しただけです。でも、その反応を人間がちゃんと見れば、結果的に守られることはあります」
実央は、その言葉をゆっくり受け取った。
動物は、人間のために動いているわけではない。
でも、人間がその行動をちゃんと見れば、そこに助けられることがある。
犬笛は、実央には聞こえなかった。
それでも、聞こえていたものがあった。
鹿野は最後に一行を書き足した。
犬笛は、人間には聞こえなかった。
けれど、聞こえない音に気づけるかどうかは、人間の問題だった。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
第八話では、犬笛と夜の河川敷をめぐる事件を描きました。
犬が吠えると、人間はつい「うるさい」と感じてしまいます。
もちろん、吠え声への対策は必要です。
でもその前に、犬が何に反応しているのかを見ることも大切なのだと思います。
今回、犬たちは町を守ろうとしたわけではありません。
ただ、怖いものや不自然な音に反応していただけです。
それを人間がどう受け止めるか。
そこに、鹿野蒼と朝倉実央の仕事があります。
次回は、鹿野蒼の動物園時代に関わる話です。
彼女がなぜ動物園を辞め、「けもの係」を始めたのか。
その理由に少し近づいていきます。




