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第56話 相談者

(2018年4月9日追記)

この度、色んな諸事情が(些細な事)ありまして、名前を「ライトニング」から「月城 日向」(つきしろ ひゅうが)に変えさせていただきました。


 俺が旅に出掛けてからちょうど1週間。ようやくやることが終わったので今寮の自室に帰ってきた。日付が変わるほどの深夜なので部屋に戻るとユカリは寝ていた。


「ふぅ…疲れたな。ユカリも寝てるみたいだけど俺が帰ってきたことを伝えたいから久々にマニュアルでも読んで夜を越えるか」


 ユカリに帰ってきたことを伝えなければならないし、そのためにわざわざ起こすのもユカリが可哀想なのでまだ全然読めていないマニュアルを読んで時間を潰した。


「予定通りだと今日はソーマ様が帰ってくる期日の最終日なのですが、いつ帰ってくるんですかねー」


 ユカリが起きて、ベッドから降りてきた。だが、なぜか椅子に座ってマニュアルを読む俺に気づいていないらしい。


 それどころか既に朝ごはんを食べるためだろうか、部屋から出ていってしまった。


「あれ?何で気づかれなかったんだ?というか完全にこっちの方を向いてたのに気づいてなかったよな。まるで俺の姿が見えていないかのよう……あっ」


 ユカリが俺に気がつかない理由を必死に探っていると、1つの原因が思い浮かんだ。とりあえずそれかどうかを確かめるためにユカリが朝ごはんを食べて帰ってくるのを待つことにした。


 しばらくしてお腹いっぱいになったのか、幸せそうな顔をしてユカリが帰ってきた。相変わらず俺には気がついていない。

 

 そこで気が付いてもらうために1つ魔法を唱える。


「わっ!ソ、ソーマ様?」

「ん、ようやく見えるようになったか。ただい…ぐぇ!?」


 ユカリは俺の見て最初は驚いていたが、俺だとわかるとすぐに抱きついてきた。しばらくぶりのタックルに等しい抱きつきにバランスを崩して床に倒れる。


「おかえりなさいソーマ様!ずっと待っていたんですよ!いったいどこに行っていたんですか!?そして「ようやく見えるようになった」ってどういう事ですか!?」

「落ち着け!そう何個も1度に質問するな!」


 この1週間で伝えたかったことが爆発したかのように俺に質問してくる。すべて1度に聞いて答えられるアレクサンダーさんほど俺のスペックは高くないのでとりあえず落ち着かせる。


「まず最初の質問だが…」


 どこに行っていたという質問に答えるために、俺は1週間何をしていたかを話すことにした。



「…っていう訳だが、分かったか?」

「いえ、まったく。というより、なぜソーマ様が魔獣界に行かなければならなかったのですか!?」


 ユカリの言った通り、俺はこの1週間で魔獣界に行ってきた。理由としては竜の島と同じ感じで4神がいなくなった今、暴走したりしていないかどうかの確認をするため。


 結果から言えば、4神がいなくなっても他の偉い奴らがいい感じで纏め上げていた。特に内乱が起きるわけでもなく平和そうだったので、4神がどこに行っただとか俺の事について話してややこしくするのは止めた。


 魔獣界はここと簡単に連絡が取れるわけではないので竜の島のように統一しようと最初は思っていたのだが、予想以上に向こうの環境が俺に合わなかった。


 まず向こうではここの数倍の重力が働いているらしく、普通に行動する分には特に問題は無いものの、戦うとなった場合不利になる程度は動きにくかった。


 「動きにくかったから」という簡単な動機だが、今のところ治安は安全そうなので1週間様子を見ながらぶらぶらと観光していた。魔獣界には建物はあまりなかった分自然がとても豊かで、以前戦ったことがあるケンタウロスなど様々な魔獣がいた。


 オニマルが前に魔獣界には人型は俺らしかいない、的なことを言っていたかどうかは忘れたが、人型は確認できず、人のように見えて体の一部が動物や魔物の体という魔獣がほとんどだった。


 ユカリが騒いでいるのは、多分環境がここと違う事を俺に言っていないから先に言ってほしかったのだろう。確かにあの環境に何も知らないで一般人が飛び込んだら即死はしないが、どこかの骨が折れるだろう。


「いやー、別に断ってから行くほどの大ごとでもないし?その前に言ったら言ったで故郷だから私も行きたいです!みたいになるだろ?」

「うぅ…」


 どうやら図星だったようで、黙りこんでしまった。ユカリの行きたくなる気持ちもわかるし、行かせてあげたかったのは山々だったのだが、4神として魔獣界を統治していた物の1神としての行動を取ってもらわなければならなかったし、そうなると常に俺と行動を共にできないなどの不便さがあったので断念した。それい俺は学校を休んでも出席日数さえ確保できれば何とかなるけどユカリは教師として簡単に休むわけにはいかない。


「まあ、暇になったら4神全員で久しぶりに魔獣界に行ってきたらいいさ。さて…俺がしばらく休んでた間に何か変わった事とか起こったこととかある?」


 1週間程度では特に大きな変化などないだろうが、あったらあったで対応や適応していかなければならない。それに今日から1週間分の授業にも出席するつもりだ。


「変わったことですか?そうですね…あっ!そういえば、つい数日前に学校の生徒会?とかいう生徒の代表を決める選挙があったんです。それで、何故かソーマ様の名前が生徒会長候補の場所に合って、失礼ながらまだ入学して数日なので当選しないとは思ってしまったんですが…2位と圧倒的な差をつけて当選していました」

「……は!?なんじゃそりゃ!」


 ユカリの言った言葉を理解するのに時間がかかってしまった。俺が…生徒会長になった?なんでだ?


 頭の中のファイルを全力で探すが生徒会長に立候補した記憶どころかまず生徒会があったことすら記憶になかった。


「生徒会とか…絶対面倒じゃん。それって辞退出来ないの?」

「と言われると思ってあらかじめ聞いておきました。今回は自分で立候補したわけではないので特に問題ないとの事らしいです」


 それを聞いて安心した。ただでさえそういう誰かの中心になって活動することが苦手なのに、更に性格だとか口調を変えてやるなんてこの低スペックな俺に出来るわけがない。


 辞退するなら早めに言った方が良さそうなのですぐに学園長の部屋に向かい、断ってきた。ユカリは授業があるので途中で別れた。


 辞退はすぐに終わった。元々俺が立候補して受かっての事態ではなく、誰かが勝手に俺を推薦して当選した感じなので簡単に辞退出来た。学園長の方もまさか俺にこんなに票が集中すると思っていなかったらしく、俺が本気でやるつもりだったらどうしようかと困っていたところらしい。


 学園長室から出る時に学園長にこの数日でどうやったらこんなに票が集まるほどの人気者になったのか?と聞かれたが、特に思い当たる節がないので「普通に過ごしていただけです」と受け流した。学園長はなぜか苦笑いしていたが、俺には分からん。


 無事に生徒会長を辞退出来たので、そのままの足で授業を受けた。今日はユカリの授業を入れていないので、ほとんど他の教師の授業を見てユカリの授業内容の改善に繋がる収穫は無いかどうか確認のために受けている。


 屋外訓練場を使っての魔法の訓練の時に、たまに実践として俺が当てられたりするが、俺は1年生なので簡単な魔法を使うように言われる。だが、俺は全力どころか普通にその魔法を使うだけで軽く屋外訓練場に張ってある結界を破壊してしまうので、ものすごーく弱くした魔法を放つことでどうにか乗り越えている。


 普通の人は魔法を強力にして放つのは魔力消費量の関係上難しく、逆に弱めることは意外と簡単なのらしいが、魔力の消費量が分からない(というか無限)俺には魔法を強くして放つことは簡単だが、その逆に弱くすることが苦手だ。感覚的には前に打った時これぐらいの威力だったから今度はこれぐらいかな?ぐらいでしか調整出来ないのだ。無限に魔法が打てるのは非常に便利だと思うかもしれないが、うまい話には裏があるものだ。


昼食なのだが、この学校は弁当制らしく大体の生徒が朝に寮の食堂で弁当を買って、各自の教室で食べるという感じだ。中には自分で作ってくる生徒もいるが、極少数だ。


 そして俺はその極少数の中に入っている。毎朝ユカリが男子寮の食堂の一部を借りて、俺の分も含めた弁当を作ってくれるのだ。ユカリ自信がかなり食う方のため料理もかなり出来る。いくらユカリが食べるとはいえ、彼女も制限できるので弁当は両方それほど多くは無い。きちんと栄養素も偏りなく詰められているから本当に助かっている。


 午前中と午後に授業を受け、昼にはユカリお手製の弁当を食べ、夜はマニュアルを少しずつ読んで寝るという何気ない学生生活を少し送ると、気になることが出てきた。


 それは授業中に女子生徒からちらちらとこちらを見られるようになったという事。そして逆に男子生徒と目が合うと全員ではなく、どちらかと言えば半分よりもかなり少ない少数ではあるが、まるでゴミを見るような冷たい視線を浴びることがある。どちらも何が原因かは分からないのだ。男子生徒の冷たい視線は多分俺が生徒会長を辞退したことではないかと思う。俺に集まっていた票の9割以上が女子生徒からの投票だったらしいし。


 でもそれなら俺に投票して、せっかく当選したのに辞退されたという点で女子生徒の方がゴミを見るような視線を浴びせてくるはずなのだ。その辺がよく分からないから中々女子生徒とは距離を縮め辛い。まあその前に男子生徒とすらこの口調と性格のせいで誰1人として親しい人はいないんだけどな!…悲しい。


 俺は5日ある1週間のうち、3日を授業の時間にあて、1日は学校自体が休み、もう1日に休みを取って自由にぶらぶらする日々を送っている。ぶらぶらと言っても大体は図書館的な場所で本を読んだりしているだけだが。


 今日も休みを取って、図書館でマニュアルを読みながら疲れたら他の本を読むというあまり効率の良くない時間つぶしをしていた。


 大体俺は図書館の隅っこの誰も来なさそうな場所で本を読んでいるのだ。図書館自体が高い棚がたくさんあって人目の付きにくい場所などいくらでもあるから誰も来なさそうな場所を探すのは簡単だった。


「あの…すみません」


 いつものように人をダメにするようなソファで本を読んでいると、1人の女子生徒が声をかけてきた。


「何かようか?」

「えっと…あの…わ、私は…あなたと同じクラス何ですけど…知ってますか?」


 確かにこの女子生徒は俺と同じクラスの生徒だ。魔法使いらしいローブに、まん丸の黒縁メガネをかけたどちらかというと大人しそうな話し方からも分かる少し気の弱めの女子。


「ああ、よく俺の方をちらちらと見ては顔を背けてたな。まあ他のやつもおんなじ行動を取ってたから特に気には留めてないがな」

「ええっと…その…迷惑でしたか?」

「ちらちらとこっちを見ていたことか?」


 コクコクと頷いている。ここまで話して何をしに来たのかまったく分からないが、とりあえず会話を止めるのもあれなのでもう少し様子を見るか。


「別に迷惑ではないな。ただ、何故あんな行動を取っているのかせっかくの機会だから聞かせてもらえないか?理由を聞いて怒ったりはしないと思うぞ?…多分だが」

「り、理由ですか?えーっとー…理由は特にないんですけど…その…あなたが他の人と違うからですかね?」

「他の人と違う?」

「はい。他のほとんどの男子は女子に気軽に話しかけてきてくれてくれるんですけど…あなただけはどこか他の人と距離をおいているので、気になるんです。えっと、ユカリ先生から以前あなたの事を聞いているので深くは詮索するつもりは無いんですが…もしよければ私と友達になってもらえませんか?」


 まるで告白でもするかのように顔を真っ赤にしながら頭を下げている。確かにこんなに絡み辛そうにしている俺と友達になってほしいと言うのは勇気がいるだろう。


「友達?俺と友達になってどうするつもりだ?言っておくが俺はお前の言う男子のように気軽に話すことなど出来んぞ?別に友達になるのは嫌ではないが」

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます。えっと…私はこういう性格なので、あまり友達がいなくて…あっ、知っているかもしれませんが私の名前は“ハンナ”と言います」

「…ソーマだ」


 友達が少ないと言うハンナだが、俺からすれば友達が1人でもいる時点で良いことだと思う。相談事などは大体親か親しい友達にするからな。親と中々会う機会が作れないこの学校では何よりも友達に頼ることが多くなるだろう。


「えっと、友達になって早速ですが…私のお願いを聞いてもらえませんか?」


 おっと…そういうタイプか?あれか、友達になってそうそう頼みごとをして、友達だからと言ってお金を貸してくれない?的な事を聞いてくるのか?


「なんだ?」

「実は私…いじめられているんです。それも男子に」


 違った。彼女はお金を巻き上げる方ではなく、巻き上げられる方らしい。どうやら彼女の友達を作りづらい原因であるその気の弱い性格に付け込んだ男子生徒が色々といじめているみたいだ。内容としては金を巻き上げるだとか、水を頭からかけるだとかそういう酷い内容ではないが、それでも複数人でやられたら彼女の精神ではかなり傷つく内容だ。


「…ほう。大体の事情は理解した。それで?俺はどうすればいい?」

「何もしてもらわなくても大丈夫です。ただ…ソーマ君はユカリ先生と親戚だと聞いたので、ユカリ先生にこの事を話してもらえればいいな…と」

「それ自体は構わないが、なぜお前から言わない?」

「私から言おうと思ったんですけど、ソーマ君に言ってもいいのかな?えっと、ほとんどの男子はユカリ先生の事が好きみたいで、私がユカリ先生に話しかけるのを私をいじめる男子が止めるんです。なので話しかけたくても話せないんです」


 ユカリが男子生徒から好かれているというのは何となく分かっていた。ただ一応教師と生徒という関係上のため、誰も中々手を出せずにいるというもの。さらに言うと、俺とユカリが親戚という関係が関わっていることもあるだろう。


「分かった。ユカリ先生に俺の方から色々と話してみよう。俺の方でもなるべくいじめが起きないように行動を起こすとしよう」

「ありがとうございます。では、お願いしますね」


 ハンナが図書館から出て行く前に、1つだけ伝言をして行かせた。そして、もしかしたら生徒会長をやるよりも面倒な事に首を突っ込んだのではないか?と思ってが既に遅かった。

大変長らくお待たせしました。今日より毎週金曜日(もしくは隔週金曜日になるかもしれません。その時は月の初めに後書きにてお伝えできればと思います)午後6時より再び投稿を開始します!


金曜日にした理由は単純に1週間学校生活や仕事をしてきて、その次の日が土曜日で休み、という方が多いと思ったので1週間お疲れ様でした、という思いを込めての金曜日です。


これから頑張っていきたいのですが、自分自身のリアルな事情もあったりして今後隔週金曜日投稿の方が多くなってしまうかもしれませんが、その辺はご了承いただければと思います。


それでは、今回も盛大に鈍感主人公感をさらけ出したソーマが主人公の『異世界生活~魔王になったから好き勝手やってみる~』をよろしくお願いいたします!

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