表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/73

第29話 対面と特訓

これで王会議は終わり楽になったのだが、俺にはまだまだやらなければいけないことがたくさんある。


 まず初めに解決しなければならないことがすぐ後ろに控えているため後ろを振り返る。


 そこにはジト目で俺を見つめる3人がいた。本当に手間がかかる。いっそのこと転移で逃げてやろうかと思ってけどかわいそうだし誤解を解かないままで逃げるのは3人のどうせロクでもない考えに賛成しているようなもんだからな。


「ソーマさん、昨日のあれって何ですか?」


 3人はバイオレットが言っていた俺からもらった血の事を別の何かだと誤解している。酔いつぶれて聞いていなかっただろうから仕方ないんだけどさ…俺ってそんな女たらしなのかな?どっちかっていったら寄って行くんじゃなくて寄ってくる方だと思うんだけどなー。


「はぁー、3人とも誤解が多くないか?バイオレットが言っていたのは俺の血の事。昨日みんなが散々酒を飲んで酔いつぶれてた時に、ほろ酔い気分だったバイオレットに血を吸われたんだよ。まあ〈吸血鬼化〉だったかな?あれには抵抗したから吸血鬼にはなってないけどさ」

「そんな事があったんですか!?」

「そうだけど。これで分かってもらえた?拒絶できると分かった以上別に拒む理由もないしな」

「じゃがマスター、吸血鬼じゃぞ?怖いとか思わんのか?」

「怖いと思ってたら迷宮の時既に殺してたよ」


 吸血鬼なんて前世でも十字架とにんにくと太陽の光が嫌いで、血を吸う事を除けば普通に人間として暮らせるからな。昔には本当に吸血鬼がいたとかいないとか。魔女とかもいたらしいからな。昔って怖いな。


「…ソーマが言うなら分かった。信じる」


 どうにか3人に納得してもらった。まだあまり血を吸われるのは3人にとって気が乗らないらしいが吸われるのは自分じゃないからいいだろ、とは思った。

 

 次に王会議中ずっと気にしていた4神の所に行かなければならない。でもミラたちも連れて行くわけには行かない。


「さて、王会議も終わったところで王会議の時言ってた内政を担当してもらいたい人を連れてくるから謁見の間で待ってて」

「分かりました」

「承知した」

「…行ってらっしゃい」


 3人が城の中に戻っていったところで〈ワープ〉で4神のいる監視塔に転移する。ん?今回はすんなり納得してくれたな。俺の事だから連れてくるのは普通の人間じゃないって分かってるのか?


「ソーマ様ー!」

「うお!?」


 転移してきた俺を見るや否やユカリが俺めがけて突進してきた。驚きながらも瞬時にユカリを受け止める。放っておくと問題が起きるんじゃないかと冷や汗をかいていたがどうやらずっと待っていてくれたようだ。それにしてもユカリのこの性格は変えなければ。


「待たせてごめん。王会議が終わったからこれから俺の仲間に挨拶をしてもらいたい」

「あいよ」

「分かった」

「わ、分かりました」

「畏まりました、ソーマ様」


 ユカリの返事が何か違和感を感じたがいつか慣れるだろうと思い、〈ワープ〉で謁見の間の玉座へと4神と共に転移する。


 謁見の間には既にミラ達がいた。来るの速いな。俺達の転移に驚いていた。それはオニマルも同様だが。4人とは言ってないからな。ユカリを見た瞬間ジト目になったのは言うまでもない。


 いきなりの登場で混乱を生んでいるが、それ以上広げないように手を打つ。


「みんな、いきなり集めて済まない。ミラ達もオニマル達もお互いに聞きたいことは色々あるだろう。なのでまずは俺の方からお互いの紹介をさせてもらう。

 まずは「カオス」のメンバーから。あそこの赤い髪の女性が剣王ミラだ。うちのムードメーカー的なポジションについている。

 次に白髪の女性がシェンだ。彼女も王の一角で竜王だ。うちの保護者的なポジションで俺の使い魔だ。つまりオニマル達の先輩にあたると思う。

 最後に蒼い髪の女性がシエラ。英雄王で俺と同い年の娘だ。あまりしゃべる方では無いが、やさしい奴なので仲良くしてやってほしい。

 次にオニマル達の紹介をするからミラ達はよく聞いてくれ。

 俺の横にいる4人は魔獣界の4神と呼ばれている存在らしい。

 俺の隣にいる男が闘神オニマルだ。…何か一言挨拶してやってくれ」


 超テンポが速いがそんなものはしらん。後で俺に色々質問すればいいんだ。今はお互いに理解しあうことが優先だからな。


「まあ何だ…よろしくたのむな」


 突然のフリに動じもせずに答えたオニマル。この流れから他の4神も自分たちに挨拶をさせられるのだろうと思ってもらわなければ。特にユウキらへんが。


「次にオニマルより細身の男が剣神マサムネだ」

「よろしく頼む」

「オニマルの隣の小さい子が竜神ユウキだ」

「よ、よろしくお願いします…」

「最後の俺から抱きついて離れない奴が魔神ユカリだ」


 こいつさっきから嫁かってぐらいギュッと抱きついてる。まじでそろそろミラ達から殺気が漏れ始めてるから勘弁してほしいんだけどな。やられるのはお前じゃなくて俺なんだぞ!?


「よろしくね。行っておくけどソーマ様は私のよ!誰にも渡さない」

「あ…」


 ユカリの発言でこの場の空気が凍り付く。それはユカリに向けてミラ達が殺気を放ったからだ。オニマル達も「あーあ」という感じだ。俺は「あーあ」じゃなくて「はぁ…」だけどな。勘弁してくれや。あいつらの嫉妬は素晴らしいんだって。もういいや。

 

「まあユカリはこんな奴だから気にしないでくれ。俺としてはどっちも大切にする。だから殺気を引っ込めてくれ」


 俺の言葉で落ち着きを取り戻したミラ達が殺気を収めていく。本当にちょろい。どっちも大事にすると言っただけで顔を赤らめやがって。


「ソーマさん、いつそんな人たちを集めたんですか?」

「昨日の夜」

「マスター、4神というと魔獣界に君臨するあの4神か?」

「多分」

「…なんで黙ってたの?」

「ディランの爺さんとバイオレットに知られたくなかったから」

「我が先輩とはどういうことじゃ?」

「最初は俺の特訓相手が欲しかったんだ。それで召喚魔法で呼んだら4神が来て、契約を結んだら帰れなくなったらしい。というか帰る気が無いらしい。という訳でこいつらも俺の使い魔。だからシェンはこいつらの先輩」


 何となくだけど事情は呑み込んでもらえたみたいだ。例え今飲み込めなくてもその内分かるとは思うけどな。


「…分かりました。ソーマさんの仲間なら私たちの仲間です。これからよろしくお願いします」

「よろしく頼む」

「…よろしく」

「ああ、こちらこそ頼む。それと、ユカリの言ったことはまじで気にしないでくれ。気にしてるといつか死ぬぞ。疲労とストレスでな」

「…分かりました」


 どうやらオニマル達とはうまくやっていけそうだ。ユカリとは…まあいつか仲良くできる日が来る事を祈ろう。


「そうだ。なあソーマ様、俺らは何をしたらいいんだ?ただ特訓だけじゃ俺らの方が物足りねえからな」


 のんきなオニマルが聞いてきた。肉体系のオニマルからすれば特訓だけでは足りないらしい。


「あ、そうそう。俺たち新しくここに国作ることにしたんだけどさ、お前たちにはその国の内政を担当してもらいたいんだわ」

「…え?ソーマ様、何言ってるんですか?」

「だって、ユウキ達4神は魔獣達の管理をしてたんだろ?」


 魔獣の管理が出来るのなら国の管理もできるんじゃないかと俺は踏んだ。


「いや、俺たちは最近は管理してたけど最初からやってたわけじゃねえぞ?」

「そうなの?」


 オニマルから意外な言葉が飛ぶ。何だろこの裏切られた感。何のための4神なんだろう。


「ああ、俺らの上の存在がいたんだ。だが10数年前急にどっかに行ってしまってな。それからはあの人の下の階級である俺らが指揮を執っているわけだ」

「そうなのか…でも出来るだろ?」

 

 今まで前の人がやっていたとはいえ最近は4神がやっていたのなら出来るはずだ、と俺は考えた。俺は冒険者の仕事をやり続けたいからどうしても大体の内政を4神に任せたい。


「出来ると言えば出来る。お前が言うのであればやろう」

「聞き分けが良くて助かったよマサムネ。大事なことは俺らで決めるから何となくの内政だけ頼むわ」

「そ、それなら僕も頑張ってみるよ」

「ソーマ様がそう望むのであれば」

「おっしゃ!俺もやってやるよ!」


 4神のみんなはやる気になってくれたようだ。こいつらもあれか?ちょろいのか?


「ありがとうな。でもまずは住民を集めに奴隷市場に行ってくるから今日はやることないかな。それと、寝る場所とかは1階の部屋を使ってくれて構わない。1人1部屋な」

「おう、分かった」


 紹介も終わりこれからの方針が大体決まったところで謁見の間から出て、風呂に入り自由にくつろいでいた「瞬光」のメンバーを回収して、昼食の時間にする。


 今日の昼食は俺が作った醤油ラーメンだ。これはみんなに箸の使い方をマスターしてもらうためだ。味も満足してもらえた…か?


 昼食を食べた後は4神のそれぞれの特訓だ。闘神は格闘、剣神は剣を扱った戦い、竜神は弓による遠距離攻撃、魔神は魔法攻撃のスペシャリストらしい。


 オニマルにはラッシュさんとシェン、マサムネにはミラとシエラとレックスさんとアンドリューさん、ユウキにはシーナさん、ユカリにはソーナさんのように4神の元で特訓を行う。マサムネだけ担当する数が多いがそれはマサムネたっての希望だからどうしようもない。


「俺は1人で無名のカスタマイズしなきゃな」


 各々が4神と特訓をしている中、俺は1人で無名の調整をすることにした。今は一閃の形態で素振りをしている。自慢じゃないけど俺だと特訓にならんからな。ちなみにミラ達は特訓の時でもリミッターを付けている。練習で120%の力で頑張れば本番で100%の力が出せると中学校のバスケ部の顧問が言ってた。


「中々…重いな…」


 無名の重さは軽く100Kgを超えていた。素振りの回数が500回にいったところで、一振りに形態変更〈モードチェンジ〉して立ち回りの練習をする。


 しばらく動いているとマサムネが来た。どうしたんだ?あれか?受け持つ奴が多すぎるから何人かあげる、みたいな?


「ソーマ、見てて思ったがその剣はなんだ?形態変化の出来る剣など俺でも知らなかった」

「これか?これは俺の作った剣…というか鉱石だ。密度を高くしたアダマンタイトを自在に形を変えて剣の形にして扱うという物だ。無名って名前をつけた」


 無名の説明を聞いたマサムネは唖然としている。まあそうなるのを見越してはいた。


「なんだそれ?それを剣って呼べるのか?」

「剣と呼ぶかどうかはその人に任せるよ。それで、何しに来たんだ?お前の特訓相手…って何でぶっ倒れてるんだ?」


 視線の先には倒れているマサムネの特訓相手であるミラ達が倒れていた。


「ああ、どうやら少し厳しく訓練し過ぎたようだ。…そんなわけで暇になったから少し相手してくれないか?」

 

 どうやらマサムネはやり過ぎてしまったらしい。ただ疲れて倒れているだけなので大丈夫なようだ。おいおい、一体どんだけ本気出したんだ?4人いたんだぞ?


「まあいいか。じゃあ遊ぼうぜ」


 一閃に変えて、構える。マサムネも剣を構えた。マサムネが構えているのは片手剣だ。刃が黒光りしていてかっこいい。あ、俺のもだった。俺のは黒というよりは黒紫だけどな。


「では俺から行くぞ!」


 マサムネが俺に向かって走り出す。マサムネの上段からの一撃を難なく躱す。そのあとすぐに横の薙ぎ払いがくる。それも躱し、面の動きでマサムネの頭に無名を振り下ろす。もちろん寸止めだがこれで決着だ。多分音速は超えてたと思う。そこそこ本気出した。


「なるほど…動きは分かった。中々いい動きだな」

「そうか?あんがとな。でもお前も動きに無駄が無くて速かったぞ。確かにあんな動きで動かれたらミラ達はすぐにぶっ倒れるわな」


 マサムネの動きも素早く、無駄の無いものだった。あれならリミッターを外したミラといい勝負かもしれない。


「それに本気じゃないだろ?」

「ふん。それはお前も同じだろ?」

「ばれてたか…残念だな。まあ楽しかったぜ。…ユカリも見てないでやりたいなら出て来いよ。受けてやるぞ?剣じゃなくて魔法でな」


 俺の言葉に遠くで黙ってみていたユカリがビクッと震える。ユカリがずっと俺とマサムネの戦いを見ていたのには気づいていた。ソーナは倒れてはいないみたいだが疲れているみたいだしな。どいつもこいつもスパルタだな。


「わ、私もいいのですか?」

「いいぞ?ソーナさん、ちょっとだけ待っててもらってていいですか?」

「うん、いいよ。私もあなたの力を見てみたいし」

「そう言う事だからさ、遠慮なく来いよ」

「分かりました。では、行かせていただきます」


 ユカリは杖を構えて集中している。魔法を使う上で杖は本来欠かせないものらしい。どんな大きさの杖でも良く、ユカリが持っているような軽く1mはありそうな杖から、前に見せてもらったアイシャさんが持っている20㎝ぐらいの物もある。


 杖は魔法の威力を上げたり、消費する魔力を少しでも抑える役割があるらしい。そのため剣士が回復のために魔法を使うなどの場合は杖を必要としない場合がほとんどだが、ヒーラーや魔法使いにとって杖は必須の武器らしい。


 ユカリの構えている杖から緑と白を半々で混ぜたような光が発せられる。この時点で発動する魔法は「風」属性だと分かる。


「ソーマ様、避けてくださいよ!〈エアリアルスラッシュ〉!」


 ユカリの手から刃のような物が発射される。〈エアリアルスラッシュ〉は風魔法で、真空の空気を発射するという魔法だ。切れ味はすごくスピードも速いが俺にとって避けれない程の速さではない。だが俺はユカリのためにあえて避けない。


「ソーマ様!?」

「いい速さだ。俺も真似してみよう〈エアリアルスラッシュ〉」


 ユカリの真空の刃が俺にぶつかる瞬間、俺の手からも同じ真空の刃が発射され、ユカリの〈エアリアルスラッシュ〉を相殺する。俺はユカリの〈エアリアルスラッシュ〉と同じ威力の〈エアリアルスラッシュ〉を発動した。弱すぎたら俺のが負けて俺にあたるし、強すぎたら逆にユカリにあたる。いい感じに調整するのが一番難しい。


「まあ最初はこんな感じか」

「ま、まさか…私の〈エアリアルスラッシュ〉を相殺するなんて」

「落ち込んでいるところ悪いが、俺の魔法も見てもらおう。〈グラビティスラッシュ〉!」


 空に向けて手を軽く横に振る。すると手から暗黒のような刃が発射される。そしてそのまま空へと向かい、ちょうどいい高さに行ったところで刃は収縮したかと思えば、大爆発した。

たーまやー。


〈グラビティスラッシュ〉は〈ブラックホール〉を〈エアリアルスラッシュ〉と同じ要領で発射したものだ。すべてを呑み込みながら進む暗黒の刃は受けたらひとたまりもない程だ。なぜなら〈ブラックホール〉からは光すらも逃げられないのだから。


 俺の新魔法を見たユカリは恐怖のあまり膝をつき、震えている。自分が放った魔法をいとも簡単にコピーした挙句、その魔法をアレンジした魔法を瞬時に編み出したのだ。魔法使いからすれば化け物以外の何物でもないだろう。


 俺はユカリの元へと近づき、ユカリの肩を軽く叩きながら声をかける。


「大丈夫か?」

「あ、あの魔法は何ですか?見たことも聞いたことも…」

「あれか?あれはお前の〈エアリアルスラッシュ〉と俺の〈ブラックホール〉を合わせた混合魔法だ。出来るか分からなかったけど、意外と簡単に出来てよかったよ」

「ソーマ様は混合魔法を使えるのですか?」


 使えるわけじゃ無いけど魔力が無限だからやろうと思ってだけなんだなー。そしたら意外と出来ただけ。


「まあな」

「でしたらいくつか私にも教えてもらえないでしょうか」

「いいけど…魔力結構持ってかれるらしいぞ。気を付けろよ」

「はい!」


 そんなこんなで俺はユカリに混合魔法を教えたり、途中から混ざってきたソーナにも教えてあげたりしながら午後を過ごした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ