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第23話 建て直し

「なあ、やっぱりこれって新しく建て直した方がいいよな」


 半壊した魔王城を見ながら俺はミラ達に尋ねる。


「魔王城の所有権はソーマさんにあるのでその辺はソーマさんの好きにしたらいいんじゃないですか?」

「その通りじゃ。壊すも治すもマスターの思い通りにしたらいいと思うのじゃ」

「…同感」


 確かに現魔王は俺だから魔王城を壊したり、直したりしても誰も文句は言わないだろう。だが聞いたのはそういうことじゃあない。


「言葉が悪かったな。正確に言うとこの魔王城を壊して俺らが住む新しい魔王城…いや王城を作るべきだよな?と思ったんだ」

「え?私たちも住むんですか?」

「当たり前だろ?なんでミラ達だけ違うところで暮らさなきゃならないんだ。まあ新しく作っても冒険者はやりたいし、いろんなところに行きたいから空ける日が多くなると思うけどな」

「なるほど。それで我らに尋ねたという事か。そんな事我らはマスターについていくだけじゃ」

「シェンの言う通り。ソーマの好きにしたらいい。私たちはサポートに回る」


 色々反論されると思っていたので、すんなり話が通って驚いたが意見が一致するのはいい事だな、と思った。


「1つ言っておくが俺はいつか新しい国をここに作りたい。その時は一緒についてきてくれるか?」

「当たり前じゃないですか!私の中のソーマさんは国王になってもいつものソーマさんですから」

「国王になるなら我は大臣としてでも動こうかの?」

「…私もなるべく協力する」


 3人は当たり前のことを言うように答えるが、それは俺にとって一番うれしい答えだった。


「ありがとうな。じゃあまずはこの城を壊すか」


 早速魔王城を壊すために魔法を発動する。


「これまだ完全にコントロールできてないから使いたくないけど仕方ないな。3人とも吸い込まれないようにしっかり踏ん張ってろよ!〈ブラックホール〉!」


 魔法を発動すると、魔王城の真ん中あたりから黒い渦が出てきて、魔王城を呑み込みながら大きくなっていく。魔王城が完全に黒い渦に飲み込まれたところで魔法を解くと空気と溶け込むかのように黒い渦は消え、そこにあったはずの半壊した魔王城は無く、ただ広い山に囲まれた平原が広がっていた。


 今俺が使ったのは買った魔法書に書いてあった重力魔法と呼ばれる7大魔法元素のどれにも属さない魔法があるという情報から生み出した自作魔法〈ブラックホール〉だ。


 この魔法はその名の通り、光をも呑み込む重力の渦を作りだす魔法だ。本物のブラックホールは魔王城どころかこの世界全てを呑み込んでしまうのだが、俺の作りだした〈ブラックホール〉は任意の物だけを呑み込むことができる。さすが魔法。


 いきなり黒い渦が現れたと思ったらすぐ消え去り、その後にはあったはずの魔王城が無くなっていたのだ。ミラ達は驚きで固まったまま動けなくなっている。


「俺の好きに作っていいって言ってたけど…本当に作っちゃうぞ?」

「「「…」」」

「返事が無いってことはいいって事だよな?まあ違ってもまた壊して作り直せばいいだけだし。じゃあこの前夢でルシファーに解除してもらった〈クリエイト〉が無くなって新しくできた魔王のスキルで作ろう。〈万物創造〉!」


 どうせ城を作る時も驚くんだろうからわざわざ起こさず、そのまま俺たちのいる場所を中庭の中心にするように城を作る。


 このエクストラスキルは〈クリエイト〉と魔王の似たようなユニークスキル〈創造〉が合わさってできたスキルらしい。〈クリエイト〉や〈創造〉ではある物の形を変えたり、魔力を好きな物質に変えたりする能力だったが〈万物創造〉は名前通り土地の形を好きに変えたりできるのはもちろんのこと〈クリエイト〉や〈創造〉の能力や、作りたいものや建てたいものを瞬時に魔力だけで作りだすことができる。〈クリエイト〉では大きなものが作れなかったので家を建てるのに3時間という長い時間がかかったが、この〈万物創造〉を使えばどんな大きさや質量の物でも一瞬で作ることができるようになった。ちなみに家を作ったときは〈クリエイト〉を使ったつもりだったけどルシファーによると勝手に〈創造〉を使っていたらしい。


 俺が作った城壁は300m四方、高さ6m程の城壁に囲われていた。城壁の角には4つの塔が建っている。この塔は城壁の外を見る監視塔の役割を担っている。


 南側の城壁の真ん中には、大きな門が設置されている。その門から中に入ると俺たちのいる中庭に入れる。この中庭には将来城の裏側の城壁の外に作る予定である訓練場とは違う形の訓練場を作りたいと思っている。他にも城の前側に噴水を置いたり、草木を植えたりしてまったり過ごせる空間も作るつもりだ。


 門から真っすぐ石畳の道が通っており、そこを歩くと城へ入る扉へとたどり着く。


 城の外見はゲームの中にありそうな形の城で、四角が小さくなりながら3層ほど積み重なったような形をしている。大きさとしては縦横100m程あるだろうか。4人で住むには広すぎるし、城としても大きいだろうがクラン拠点として機能させる以上妥協したくはないと考えていたらこの大きさになった。もちろん掃除の事など考えているわけもない。汚くなったらみんなでやればいいさ。


 この城と城壁には俺が作った特別製の石材が使われている。それは大理石の剣と同じ感じで普通の石材の密度を極限まで高くした、名付けるなら“超高密度石”といったところだろう。この超高密度石のメリットは、普通の石と同じ色や触ったときの硬さは同じなのに強度と耐久力がこの世界にある鉱石の中で最高の硬度を誇るアダマンタイト鉱石と同等なところだ。それにより生半可な攻撃では傷一つ付ける事すらできない。更にもし技術が盗まれたとしても物質の密度をいじるのはとてつもない魔力を消費するため、実際のところつくれるのは俺しかいないというのもメリットの一つである。


「うん。求めていたものとしては上出来だろう」


 出来上がった城壁と城を見ながら初めての使った〈万物創造〉に自己評価を付ける。星5点満点で考えるなら城壁と城の外装だけで言うなら今のところ3つといったところだろう。問題は内装なのだ。


「おーい、3人とも城の内装を見に行きたいんだがそろそろこっちの世界に戻ってきてもらえるか?」

「「「…」」」


 呼びかけに返事が無いと言う事は、まだ驚きで固まっていると言う事だろう。この程度の事で驚いていたら正直この先持ちそうにないと思ったがその辺は俺が何とかしなければいけないだろう。


 とりあえずこっちの世界に戻ってきてもらうため、3人の両方の頬を軽くはたく。


 ぺちん。


「…ソーマさん?」

「おう、俺だ。早くお前らもこっち戻ってこい」


 ぺちん。ぺちん。


「…マスター?」

「…ソーマ、痛い」

「俺の心の方が痛いわ。こんなところで固まってたら城の中に入ったらどうするんだ」

「あれ!?もう城出来てるんですか!?というか城壁まで…」

「お前らが魔王城を壊して自分の世界に閉じこもってからすぐ作ったよ」


 どうやら3人は〈ブラックホール〉で魔王城を壊した時からずっと自分の世界に閉じこもっていたせいで城を作った時を知らないらしい。こいつらはメンタルが弱すぎる。俺の方が泣きたくなってくる。


「ちゃんとみんなに許可取ってから作ろうと思ったのに返事しないから…」

「ああ!済まなかったマスター!悪かったからそんなに落ち込まんでくれ」

「…ごめん。反省してる」

「ソーマさんすいません」

「…そうか!反省してるならいいか!じゃあ早速城の中に入ろう!」


 さっきの落ち込みは演技だったのですぐに立ち直る。3人は俺の立ち直りの速さに驚いていようたがそれがすぐに演技だったと気づいて悔しそうな顔をしていた。


 俺達は中庭の道を通って城の扉を開けて中に入る。


 城の中は広く、基本的に白色の壁になっていて、天井には魔力で光る立派なシャンデリアがある。扉から真っすぐに赤い絨毯が敷かれていてその先には階段がある。階段は何段か上がった後左右に分かれる形の階段になっている。


 入ってすぐ左右には大きめの部屋があって、両方クラン拠点として使うが、左側は王会議の時にも使う用の部屋になっている。


「うわー!外から見ても綺麗でしたけど中はもっと綺麗ですね!」

「そうじゃな。これは魔王城とは思えない程の美しさじゃの」

「…白い壁が綺麗」

「そうだろ?というか思い通りの内装になってて良かったよ。左右の大きめの部屋がクラン拠点になっているが、左は王会議にも使う。まず右から見て行こう」


 右の扉を開けて中に入ると先ほどまでの美しい白い壁とは打って変わって木が使われたいかにも冒険者ギルドの受付という雰囲気を感じられる内装になっていた。まだ中には何も置いていない。


「この壁は冒険者を意識して作ってみたんだが…どうだ?」

「とてもいい感じだと思います!冒険者の中にはさっきの白い壁よりもこんな感じの壁の方がいいって言う人が結構多いと思うので」

「マスター、この部屋には何か置く予定はあるのか?」

「いや、今のところは何もないな。クランメンバーに聞いてみてほしい物があったら置いてみるよ。そのために広く取ってあるし」

「…分かった」

「右の部屋はこんな感じだな。じゃあ次は左の部屋に行くぞ」


 俺達は右のクラン部屋を出て左の部屋に入る。


 左の部屋には30席程の椅子が置かれた縦に置いてある長いテーブルと、その奥に横に置いてあるテーブルと4つの椅子があった。


「ここはクラン集会をするための部屋だな。王会議もここでする」

「何で大きさの違うテーブルが2つもあるんですか?」

「それはだな、俺たちクランマスターが横向きのテーブルで、クランメンバーが縦の長いテーブルのところで会議をすることで少しでもメンバーとマスターに優劣をつける目的だな」


 実際はクランマスターがメンバーを見やすいからという理由なのだが、そっちの理由もあるのであながち間違いではない。シェンは納得したような顔をしている。


「なるほど。確かに優劣は大事じゃな」

「優劣をつけるっていっても別に酷な命令とかはしないからな?普通に動いてもらうだけだから」

「分かっておる。一応部下の扱いには長けておるからの」

「私はあまり得意ではないのでその辺はシェンさんに任せます」


 シェンは竜王として竜種の長に君臨していた実績があるので部下を動かしたり、指揮を取ったりするのはうまいらしい。ミラも魔王軍幹部として何回か指揮をしたことはあるのだがあまり戦力の把握などが得意ではないためうまくはないと聞いた。


 左の部屋を出て、1階の他の部屋を見回る。他の部屋はほとんどが空き部屋だが、もし国としてここが発展することになるとここが大臣とか国の運営に携わる人の住む部屋にするつもりだったりする。


 他に1階には厨房などを置いたり、まだ本は無いが図書館のような部屋などを作ってある。大体の部屋は1階に設置する予定である。


 次に2階に上がり目の前にある大きな扉を開けるとそこには大きな空間が広がっていて、奥には数段階段がありその奥に輝くほど豪華な玉座が置いてある。広いといっても謁見するのには十分なサイズだろう。 


 3人に例えばだれか使者が来て謁見するときに玉座に座りたい?と聞いたところ3人とも玉座に座る俺の横に立っているだけでいい、と言われてしまったので渋々1つしか玉座を配置しなかった。


 3階には大きく分かれた4つの部屋といくつかの空き部屋。もちろん俺達の寝室も含めた自室である。今のところは各部屋に天盤付きの大きめのベッドを置いてあるだけだがそのうち移動式住居同様各自お気に入りの部屋にカスタマイズされていくだろう。

 もうあんまりストックがないので今日あたりから投稿をできる限り毎日にしたいですが、18時にさせていただきます。

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