第20話 迷宮③
「これで次は50層か?切りのいい階層で終わってほしいんだが…」
俺たちが迷宮攻略を始めてから今日で4日目になる。今は49層の本来いるはずのボスを倒した後の部屋だ。2層からずっと各層のボスだけを集中的に倒してきた。だがこの付近の層はボスがいなかった。
1層のケンタウロスは四天王といわれるだけの実力はあったようで、あれからの階層ボスは雑魚だった。そして47、48、49層のボスがいなかったという事はおそらく他の四天王は50層に集結していると思われる。だから今回の迷宮は50層で終わりだと推測できる。
俺の願いに3人も頷いている。
「迷宮は本当は月日をかけて少しづつ攻略していくんですよ?それをたった4日で最終層らしきとこまで行ってしまうなんて…」
「やはりこの世界において我らは少し目立ち過ぎてしまうかもしれんのう」
「でも俺はみんなと冒険するの楽しいし、やめたいとは思わないけどな」
「…私もみんなに出会ってから人生が変わった。今の状況が一番幸せ」
「それにこの新しい調理セットもすごく画期的で使いやすいです!」
ミラが言っているのは頼まれて作った調理セットだ。これは家のキッチンにあったIHヒーター、電子レンジ、小さい机にまな板と包丁に水桶などを小さめに作り、水を出したりIHヒーターなどを動かすための小さな魔力タンクを1つにまとめた物だ。
2層からはこの料理セットでミラに料理を作ってもらっていた。
戦いについての評価や雑談を交わしながら武器の手入れをしていると、俺たちの着けていたネックレスが振動した。
「なんですか?これ」
「まずいな…「瞬光」のみんなに迷宮に入る前にお守り渡しただろ?」
「それとこれが何の関係があるんじゃ?」
「あれはトラップにかかったときに俺らに教えてくれる手作りアイテムなんだ。それが起動したって事はトラップにかかったって事」
「どんなトラップか分かるの?」
「ああ、それがどうも転移トラップだったらしい」
俺は「瞬光」の身に何かあったときに瞬時に対応を取るためにあらかじめ連絡用のアイテムを作っていた。何事においても用意周到でいるのが俺のモットーだからな。
「それなら早く助けに行かないと!」
「それでだな…どうやらあいつらは2人1組で転移したらしい。レックスさんとアイシャさん、アンドリューさんとラッシュさん、シーナさんとソーナさんだな」
シーナさんとソーナさん辺りは両方後衛だから魔物が出たらまずいかもしれないな。
「じゃがどうやって助ける?分かれているとマスターの〈ワープ〉で居場所の特定が出来てもどうしても助けるのに時間がかかるじゃろう。」
「今から〈魔王の加護〉に限定的に俺の〈ワープ〉が使えるようにする。みんなのネックレスからそれぞれの場所が何となく分かると思う。俺とシエラはライトさんとアイシャさんの所、シェンはシーナさんとソーナさん、ミラはアンドリューさんとラッシュさんの所に転移して救助をする。」
ミラとシェンは1人でも行けるだろうがシエラはまだ1人だと失敗するかもしれないからな。安全策で行く。
「助けた後はどうするんですか!?」
「こういう時が起きた時のために迷宮の入り口に3人でも探知できるような転移用のマーカーを設置しておいた。そこに向かって各自転移してくれ」
「はい!」
「承知した」
ミラとシェンの担当組に危険の反応はなかったがレックスさんとアイシャさんの所は何やらハプニングがあったようで反応があった後、レックスさんの反応は消え、アイシャさんの危険信号はマックスまで反応している。おそらく魔物の巣にでも当たったのだろう。急いで助けに行かないとまずい。
俺が〈魔王の加護〉に一時的に〈ワープ〉が使える加護をかけてあげすぐさま各自の担当の所へと転移する。
俺とシエラが転移したところはやはり魔物の巣だった。体長1m程の蜘蛛がうじゃうじゃといる。
あたりを見回すとレックスさんは壁に吹き飛ばされて気絶しており、アイシャさんも意識は失っていないがじりじりと蜘蛛が距離を詰めている。
素早く判断をした俺はすぐさまアイシャさんの方へ走り、意図を理解したシエラはレックスさんの元へと走る。
「間に合ってくれよ。〈モードチェンジ、グラム!〉」
無音を一閃の形から大剣グラムへと変形させてアイシャさんの元へと急ぐ。
アイシャさんは自分が死ぬのは時間の問題だと分かっていながら泣きながら必死に蜘蛛に謝っている。
「ごめんなさい!ごめんなさい!何でもしますから食べないで!」
蜘蛛の魔物はアイシャさんの言葉を理解することなくアイシャさんへとかぶりつこうとする。
「ああ…お兄ちゃん。先に天国で待ってるね…」
――ガキィィィィン!
蜘蛛の牙と何やら金属がぶつかる音がしてアイシャさんが顔を上げると、そこにはアイシャさんと蜘蛛の間に割り込み、アイシャさんの方を向き、背中に回したグラムで蜘蛛の攻撃を受け止めている俺がいる事に気が付く。
「…えっ?」
「やっぱあんたとレックスさんは兄妹だったのか」
「あなたは…魔王?どうしてここに?」
「俺にはソーマって名前があるからそっちで呼んでくれ。それと迷宮に入る前にお守りを渡して「きっと危険から守ってくれる、」って言ったと思うんだが。レックスさんは無事だから黙って助けられればいい」
アイシャさんの周りに防御結界を張り、蜘蛛の牙をグラムで弾き蜘蛛と向かい合う。軽く200はいるだろう。さすがに1体1体倒しているときりがないのでシエラを呼ぶ。
「シエラ!レックスさんを助けたんならこっち来てくれ」
俺の大声が聞こえたようでレックスさんを抱えたシエラがこちらに転移してきた。
「…どうしたの?」
「今からこの気持ち悪い蜘蛛を一掃するからアイシャさんに張ってある結界に入ってくれ」
「…分かった」
3人が結界に入ったところで自分のパーティの名前であり、これから有名になっていって欲しい自作魔法を唱える。
「使うのは初めてだがうまくいってくれよ?〈カオス〉!」
魔法を唱えた瞬間右手に〈光球〉、左手に〈闇球〉が現れる。俺はそれを蜘蛛の大群に向かって放り投げる。2つの球は5mほど進むと混ざり合い、どんどん蜘蛛の魔物を巻き込みながら大きくなっていく。そして蜘蛛を全て包み込むと指を鳴らす。
すると今まで大きくなり続け、直径20mはあっただろう混沌の球が消え去り、それと一緒に蜘蛛の軍団も蜘蛛の卵と一緒に消えて無くなっていた。
「すごい…これが魔王…」
アイシャさんが感嘆を漏らす。そろそろ名前で呼んでほしいんだが…。
俺が蜘蛛たちの魔石を拾っているとシエラも手伝ってくれた。
「レックスさんの具合はどうだ?」
「大丈夫そう。ただ、蜘蛛に吹き飛ばされたときに少し内臓を傷つけたかも」
「それを早く言えよ…」
魔石を回収し終えた俺は結界を解除してレックスさんに回復魔法をかける。
「内臓ならこれぐらいか?〈ヒール〉」
「ソーマの魔法ならそれぐらい」
「回復魔法まで…すごい」
回復魔法を受けて、レックスさんが目を覚ます。
「んん…確か俺は…アイシャ!?」
「私はここにいるよ」
「そうか…うわぁ!」
アイシャさんの事に集中し過ぎて俺たちに今気が付いたようだ。
「よう、また会ったな」
「…まさか助けてくれたのかい?」
「まさかって何だよ、冒険者として当たり前だろ?」
「他のみんなは?」
「ミラとシェンが助けに行ってる。今頃は迷宮から脱出してる頃だろう。俺らもとりあえず脱出するから掴まってくれ」
よくわからなそうにしていたので強引に腕を掴み、〈ワープ〉で迷宮の入り口に転移する。
入り口には既にミラとシェン、それに「瞬光」の4人もいた。
「みんな!」
「みなさん!」
初めての〈ワープ〉で酔っている体を動かしてみんなへと駆け寄るレックスさんとアイシャさん。
このあと「瞬光」のみんなはしばらくお互いの生還を喜び、俺たち4人へと視線を変えた。
「ソーマ君、ありがとう。僕たちは間違っていたようだ。魔王だからという固定概念で君たちを勝手に悪者扱いしていたよ」
「先代より前の魔王は実際悪いやつだったらしいからしょうがない。あ、そうだ。先代魔王に会わせてやるよ」
俺は以前のように精神を集中させる。すると額から角が出てきた…と思う。
「呼んだ?」
「おう、呼んだ。今回は魔王の固定概念を覆した冒険者パーティだぞ」
「知ってるよ、見てたもん」
「なら話が早い。じゃあ俺は引っ込むから軽く話してやってくれ。それと、肉体と服も変えておくから終わったら呼んでくれ」
俺の体が黒い霧に覆われルシファーのいつもの服をまとったルシファー本来の姿になった。この姿のチェンジは意識を失わないらしい。
「僕は一方的に知ってるけど実際は初めましてかな?僕の名前はルシファー。正真正第99代魔王だよ」
「ルシファーさん、自由にソーマさんと交代できるようになったんですか?」
「いいや、正確にはソーマ君も話を聞いてるし喋れるけど雰囲気づくりで言ってるだけ。それにこの体も今操ってるのはソーマ君だし」
「おい!せっかくいい感じの空気になってたろ。…はあ…バラしたんならこの体戻すぞ」
せっかくいい雰囲気を作ったのに台無しにされて怒り、体を元に戻している俺を見て、「瞬光」のみんなが正気を取り戻した。
「どういうことだい?コントか何かでもやってるのかな?それに第99代魔王はもう死んだはずじゃあ…」
「確かにこいつは死んだし、今いるのは魂だけの存在だから直接何かできるわけじゃない。2つの人格が1度に出たって考えればいい」
「そんなに簡単に魔王を処理してもいいんですか?」
どうやらアイシャさんは納得いかないようだ。精神をリンクさせている今だからこそわかるがルシファーはどうやら自分を簡単に処理しないアイシャさんの事を気に入ったようだ。だがそこにシェンとシエラの追い打ちがかかる。
「いいのじゃ。所詮死人じゃしな。今更難しく考える必要はない」
「…それに今の魔王はソーマ。ルシファーはもう引退してるからただの居候」
「いや、2人とも僕の扱い酷くないかな…これでも魔王として頑張ってきたつもりなんだけど」
このまま2人が追い打ちを続けるとルシファーが萎えてしまうので止めに入る。
「まあこいつは基本的に出てこないし何もしてこないからそんなに深く考えなくてもいいよ。今まで通り死んだって認識で大丈夫だよな?」
「…うん。確かに僕はもう死んでるから僕の事を考えてくれるのはありがたいんだけど今の魔王はソーマ君だからそんなに深く考えなくていいよ。」
「は、はあ。ルシファーさんでしたっけ?ルシファーさんがそう言うなら」
「じゃあ僕の事を分かってもらえたようだしそろそろ休みたいんだけど、いいかな?」
「いいぞ。今日もお疲れさん」
アイシャさんが納得してくれたようなのでルシファーとのリンクを解除する。
「今更だが何層でトラップに引っかかったの?」
俺は正直「瞬光」がトラップに掛かることは無いと思っていた。Sランク冒険者であり、しかも迷宮を攻略したことがあるならばトラップの危険性を知っているはずだしその対策ももちろんしていると思っていたからだ。
俺の質問に答えたのはソーナさんだった。
「確か13層あたりだったはず。今回は私が悪かったの…」
「しょうがないよ。たまたまソーナの嫌いな蜘蛛型の魔物がいてそれに驚いたソーナが逃げて、みんなで追いかけているとトラップに掛かっただけだから」
ソーナさんが答えにくそうにしていたのでレックスさんが代わりに答えた。
「なるほど…13層か。なあシェン、あの辺りにあんなに強い蜘蛛いたか?」
「…我の記憶では知らんのう」
「そうなると転移トラップに偶然掛かった下の階層の蜘蛛の魔物が13層あたりにたまたま転移してきてそのトラップに「瞬光」も巻き込まれたって感じですかね?」
俺はこの時知らなかったが実は転移のトラップの中には一方通行型と双方通行型の2種類があるらしい。基本は一方通行だがまれに双方通行型のトラップが出来る場合があるのだ。今回「瞬光」は双方通行型のトラップに掛かってしまったようだ。
「おそらく。あの蜘蛛の魔物は僕でも同時に3体相手するのが精一杯だった。難度で言うなら1体あたりAだろう。…ちなみにソーマ君たちは何層から助けに来てくれたの?」
「何層だっけ?確か49だったか?」
「「「「「「49!?」」」」」」
何気なく答えた俺に「瞬光」のみんなが驚いている。まあ4日で自分たちの3倍以上も進まれたらそんな感じの反応になるか。
「そうじゃのう、我も正確に数えてはおらんかったが3層も階層ボスがいなかったあそこには本来四天王がいるはずじゃが、今は何らかの形で最下層にいると考えるのが妥当じゃろうから49層に我らがいたのは間違いなかろう」
「49層って事は多分もう少しで迷宮攻略が終わるところだったのに。そんな大事な時に迷惑をかけてしまって申し訳ない」
レックスさんが深々と頭を下げて謝罪すると、ソーナさんを筆頭に他のメンバーも頭を下げて謝罪してきた。
「そんなに気にしないでください。50層で戦っているときにトラップに引っかからなくて良かったと思ってます。でももうあのアイテムが無い。あれは試しに作った物だから量産はできるけど今そんなことをしている時間は正直ないです。申し訳ないですまた迷宮に潜るなら次は助けられない。せっかく迷宮から出れたんだしこのままアレンに帰ることをおすすめします」
助ける方法はあるにはあるのだが、助けてばっかりでいると将来もっと難しい迷宮に挑むときに俺たちがいないとすぐ全滅すると思ったからだ。
そんな俺の意図を読んだのかは分からないが「瞬光」のみんなは悔しそうな顔をしながらも俺の意見に頷いている。
「そうだね…今回だけでこんなに迷惑をかけた以上もう迷宮に潜ることはしないよ。十分僕たちの実力では太刀打ちできないと実感したしね。この迷宮はそれこそソーマ君のような魔王クラスのパーティじゃないと相手できないくらい難しかったんだ」
「理解してくれたようで助かります。でも49層に行ったといっても階層ボスだけを倒してきたからそんなにこの迷宮の強さは知らないし、各階層には宝箱やらアイテムがごろごろ落ちてると思いますが」
まあシェンのおかげでほとんど魔物との接触もなく、スムーズに進んだから本当にマッピングをして本格的な攻略をすることになったら1年くらいかかりそうだな。
「ソーマ君からしたらそうかもしれないんだろうけどこの迷宮は最強クラスに難易度の高い迷宮だと断言できる。だから僕たちの力じゃ答えてもらえないだろうけど帰ったらギルドマスターに「カオス」のランクをSランクに上げてもらえるよう進言しておくよ。もちろん君たちが魔王や勇者だってことは隠しておくけどね」
「ありがとうございます」
さすがに「瞬光」の発言力が強くてもEからSに上げるのは難しいとは考えていたが何とかBぐらいにはなるだろうと踏んでいる。
「瞬光」が街に戻る支度をしている途中アイシャさんが俺の元に駆け寄ってきた。
「あの…ソーマさん、今回は色々とありがとうございました。それと魔王だからって勘違いしていました。ごめんなさい!」
「気にしなくていいです。俺だって逆の立場だったらそうなります。あ、それとアイシャさんとレックスさんが兄妹だってことは内緒にしておきます」
「ありがとうございます。釣り合わないとは思いますが…ソーマさんたちの素性と等価の情報にしていただけないでしょうか」
「いいですよ、相手の個人情報の価値に上下は無いです。どれも個人のプライバシーを守るうえで大事な情報ですから」
「本当にありがとうございます。…これは私からの気持ちとお礼です」
そう言うとアイシャさんは俺の頬にキスをしてきた。アイシャさんの顔は真っ赤に染まっているが俺はいきなりで何をされたのかが分からなかった。
「…え?」
「えへへ…ではさようなら」
照れながらメンバーの元へと走っていくアイシャさんの後ろ姿はどこか輝いているように見えた。
このままずっと後ろ姿を眺めていたいと思ったが背後からおぞましい殺気が3つ感じたので慌てて後ろを振り返る。
だれであろうミラ、シェン、シエラの3人である。出ましたよ。これが嫉妬ってやつです。
「…ソーマさん。これは一体どういうことか説明してもらえますか?」
「マスター、不敬ではあると思っているが返答次第では骨の1本では済まないと思ってもらおう」
「…ソーマ。腹を括って」
「…お前ら何か勘違いしてないか?俺は助けたお礼をもらっただけだぞ?それが物か行動かの違いだろう。俺だってびっくりしたわ」
「ではマスターはあれをしてもらうのと物をもらうのとが同等だと?」
「いや、正直物をもらうより全然うれしかったわ」
実際家族以外にキスをしてもらったのはアイシャさんが初めてなので、すごくうれしかった。だからこそこの3人もやきもち的な何かをしているのだろうと気が付けた。誰だって家族に赤ちゃんの時キスしてもらったことあるよな!?別に大きくなってからの話じゃないぞ?アイシャさんの場合顔じゃなくて頬だし。
「そうだな。俺も3人には感謝してるしな。この迷宮の攻略が終わったら3人にキスしてもいいぞ。…お前らの望む場所なんて1つしかないと思うがな」
これで3人の機嫌が直ってくれたらいいと思っていたのだが想像以上だった。3人ともやる気がすごい。場所なんてどうせ口しか求めていないだろう。
「やった!約束ですよ?」
「男に二言はないな?」
「…早く攻略しに行く!」
なんだろう。3人からものすごい程の威圧を感じる。もし裏切ったら殺されそうだ。死なないから目覚めても無限に殺されそう。
「約束するよ。ただ攻略に行くのは「瞬光」を見送ってからだし、最終ボスを見つけてもいきなり襲い掛かるなよ?話が通じるならできるだけいい方向で攻略したい」
「分かってますよ」
「もちろんじゃ」
「…うん」
そのあと帰り支度が終わった「瞬光」のメンバーから一言感謝のコメントをもらった後レックスさんから質問をされた。
「ソーマ君たちは多分講習を受けないで試験を受けたんだろうけど担当は誰だったんだい?それと何回目で合格したの?」
「俺らの担当教官はアレックスさんだったな。もちろん1発合格ですが?」
「え!?アレックスさんに1発合格したんですか?」
アイシャさんだけでなくみんな驚いている。元Sランク冒険者だとは聞いていたがそんなに有名人だったのだろうか?
「そうですけど…何か問題でもあったんですか?」
「いや、もしかしたら担当した教官と一緒に頼めばうまく行ったらすぐにSランクにしてもらえるかなと思ったんだけどアレックスさんが教官でしかも1発で合格したんなら大丈夫そうだ」
まだ俺たちをSランクにしようと考えていたのか、と内心呆れる俺たちだったがそれでも簡単にSランクに上がれるかもしれないのであれば未知の領域であるSSランクに上がれる日もそう遠くはないと思った。
「そこまで俺たちのランク上げに協力してくれてありがたいです。では心配無用だとは思いますけど帰り道には気を付けて帰ってください」
「ソーマ君たちこそ最終ボスだから気を抜かずに頑張ってね」
お互い挨拶を言い終え、「瞬光」はアレンの方向へと歩いていく。
それを見送った俺は3人にかけていた限定的に〈ワープ〉を使えるようにする加護をはずし、〈ワープ〉で49層の休憩していた部屋へと戻った。
「さてと…俺らの方も準備は終わってるから最終階層行きますか!」
「はい!行きましょう!」
「どんなボスが出てくるか楽しみじゃのう」
「…どんな敵でも負けない」
俺たちは置いてあった料理セットやテントを片づけて50層、おそらく最終ボスがいる階層へと続く階段をゆっくりと降り始めた。




