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第17話 Sランク冒険者

 俺たち4人は待ち合わせ場所から少し離れた場所に転移した。自由に転移が出来ると知られたくなかったからだ。


 待ち合わせ場所に急ぐとそこには立派な馬車が止まっていた。頑丈で大きな中々壊れにくそうな馬車だった。


 そこには既に案内役のギルドの人とSランクのパーティが1組いた。どうやら6人組らしい。

 

 俺は遅れたことへの謝罪を込めて挨拶をする。


「最後で申し訳ありません。新米なので寛容に見てもらえると助かります。俺は「カオス」のパーティリーダーを務めさせてもらっています、ソーマと言うものです。これからよろしくお願いします!」


 6人組の人たちはみんなが優しい視線を送ってくれている。そこにギルドの案内役からの指示が入る。


「これで2組ともそろったようですね?では馬車へお入りください。自己紹介は馬車の中で行いください」


 指示に従い馬車へと入る。中はそこそこ広く全員が入っても余裕があった。全体がきれいに掃除されているようだ。ほこりが見当たらない。


 全員が入ると馬車が動き出す。しばらくしてから6人組のリーダーらしき人物が挨拶を始めた。


「みなさん今回は迷宮探索の依頼を受けた者同士、つまり仲間です。僕としてはみんなと交流を深めたいと思っています。ですので自己紹介を簡単にしていきたいのですがよろしいでしょうか?」


 別に断る理由が無いので頷いておく。


「では、僕たちのパーティから。僕は「瞬光」のリーダーをやっています、“レックス”です。気軽にレックスと呼んでください。次にうちの遠距離役。双子の“シーナ”と“ソーナ”です」


 2人の女性が軽く頭を下げる。さすが双子だ。顔がすごく似ている。おそらく髪の色で判断するのだろう。多分黒がシーナさんで茶色がソーナさんらしい。


「次にヒーラーを紹介しよう。“アイシャ”だ」

「よ、よろしくお願いします!」


 アイシャさんはレックスさんの陰から顔を覗かせている。人見知りなんだろう。それにしてもヒーラーが1人しかいないのは少し心配だな。1人もいない俺らが言える事じゃないが。


「最後に前衛2人を紹介しよう。こっちのフードを被ったシャイな方が“アンドリュー”で早々に寝てしまったこいつが“ラッシュ”です」


 アンドリューさんはフードを被っているため中の表情は分からないが手をひらひら振っているので挨拶はしてくれているのだと思う。ラッシュさんは馬車に乗り込んですぐに寝てしまった。


「以上がうちのパーティ「瞬光」のメンバーです」


 次に俺たちの自己紹介を始めた。


「先ほど言いましたが、俺は「カオス」のリーダーをやらせてもらっているソーマです。ギルドには昨日入ったばかりでEランクですが、実力はそこそこあると思うので多分みなさんの足を引っ張ることは無いと思います。では次に仲間の紹介をしましょう。最初にミラ、うちのムードメーカーで双剣の使い手です。すごく親しみやすいので仲良くしてあげてください。ミラからも何か一言」

「あ、えっとーよろしくお願いします!」


 いきなり振ったがなんとか大丈夫だったようだ。


「次に白髪の竜族がシェンです。シェンは武闘系でグローブで戦います。俺たちの保護者的な位置にいてもらっています」

「ソ、ソーマの紹介があったシェンという者じゃ。一応このパーティの保護者という立場にはなっているが、特に何かするわけではないので気にせんで良い。これからよろしく頼む」


 やはりいくらSランク冒険者といえどシェンの美貌には勝てないようだ。アンドリューさんと寝ているラッシュさんを除く全員が見惚れている。長身でモデルのようなスタイルに素晴らしく整った顔立ち、そして豊かな胸。


 角が生えているとはいえ、その美しさは人を魅了させるには十分だったようだ。


 そう思っているとシェンから念話がかかってきた。ちなみにシェンが緊張していたのはマスターではなく、俺の名前で呼ぶことがあまりないからだし、シェンが独断でした判断だからだったりする。


(マスター、申し訳ない。我の独断でマスターの名前を呼び捨てにして…どんな罰を受ける覚悟は出来ている)

(いや、あれはいい判断だと思ったよ。あの場面で俺の事をマスターって呼んだら変な目で見られそうだし。シェンがいいならこれからも呼び捨てでいいよ?)

(許してくれて感謝する。じゃが呼び捨ては遠慮させてもらおう。いくらマスターが我を使い魔だと思っていないとしても契約を結んだ以上あまり対等な立場になりたくはないのでな)

(そうか…シェンがそう言うならそうしよう。じゃあこれからもお互い今までと同じ関係で行こう)

(うむ。よろしく頼むマスター)


 シェンとの念話を切り紹介を再開する。


「さて…青髪の娘がシエラ。おとなしく口数も少ないけどいい娘です。片手剣で主に戦います。シエラも何か一言」

「ん、よろしく」


 本当に短いな!と思ったがシエラは少し人見知りなくらいがちょうどいい。


「これで紹介は終わりですが何か質問はありますか?」

「じゃあ僕から何個かいいかな?」


 レックスさんが手をまっすぐに伸ばしながら聞く。


「どうぞ」

「その前にソーマ君、敬語が苦手なら無理して使わなくていいよ?」


 敬語を使うのが苦手ではない俺だが好き好んで使いたいわけでもない。レックスさんはそこを読んだのだろう。


「苦手ではないんですが…先輩が敬語じゃなくていいと言うならこれからはなるべく普通に話させてもらいます」

「うん。そっちの方がお互い楽そうだ。それで質問なんだけど君たちは武器はあるけど防具は持ってないのかい?」

「いや、持ってるには持ってるんだけど、街でつけると目立つかもしれないと思って」


 街中で竜の鱗を使った防具を着ている冒険者がいたら嫌でも人目を惹くだろう。それにあの防具はパーティの証なので着けるときは依頼をするときだけでいい。


「そうか…もし良ければだが見せてもらえないか?」

「どうせ迷宮についたら着けるし。俺はいいと思うけどみんなはどう思う?」

「私は別にいいですけど…」

「我もどちらでもいい」

「2人と同意」

「じゃあせっかくだしもう着けちゃおう。その前に先輩方、この防具を見て色々驚くと思うんですが俺らは金持ちじゃないし、性能に見合った実力を持っていると考えてもらえると助かります」

「何のことか分からないけど分かった」


 俺たちは早速指輪から竜の装備一式を取り出し着ける。注意はしたがさすがはSランクこの鎧が何の鱗で出来ているかが分かったようだ。


 アイシャが一番驚いている。


「レックス…あの鱗って…」

「…多分竜の鱗だ。ソーマ君、君はそれを一体どこで見つけたんだい?それと使われている位も知っていたら教えてもらえるかな?」

「俺もよく知らないんですよ。シェンが持っていたので。シェンこれどの位の竜の鱗?」


 シェンが持っていたというのはまっぴらな嘘だがシェンが竜族だと言う事もあり信じてもらえた。


 シェンも俺の意図が分かったらしく、嘘に乗る。


「そうじゃの、この鱗だと上位種かエルダーぐらいかの?」


 この世界の竜は下位種から中位種、上位種、エルダーに7属性の各魔法元素を持つ竜(ファイアードラゴンとか、ダークドラゴンという風に呼ばれる)、すべての魔法元素を持つ竜(レインボードラゴンと呼ばれることが多い。)にエンシェントドラゴンの順番に強く、個体数も少くなっていく。エンシェントは今の時代シェンのみ、レインボードラゴンは10体ぐらい、各魔法元素を持つ竜が100体ずつ、と10倍ぐらいの量で増えていくような感じらしい。


 この世界の冒険者の中で5本の指に入ると言われている「瞬光」でさえ中位種を倒すのがやっとであり、それ以上の位になると国単位の戦力が必要になるみたいだ。


 俺達からすれば取りに足らない程の雑魚だが、「瞬光」からすれば正に伝説とも言える竜の鱗なわけだ。


「「「「「上位種かエルダー!?」」」」」


 寝ているラッシュさんとアンドリューさん以外の全員が声を上げ驚いている。


「なるほどね。ソーマ君が驚くなと言った意味がやっと分かったよ。もう遅かったけど」

「はは、あまり気にしなくていいよ。それよりも他に質問はある?」

「そうだね…お互いの能力の開示というのはどうだい?もしくはギルドカードの見せ合いでもいいけど」

「いや、遠慮させてもらいます。どちらもあまり知られたくは無いので」


 簡単にチート能力の開示や、非公開にできるとはいえ世間に公表されたら大問題になる称号が書かれてあるギルドカードの見せ合いなんてできるわけがない。


「そうか、残念だ。他に僕から質問はないけどみんなはある?」


 レックスさんの言葉に他のメンバーは首を横に振る。どうやら無いようだ。


「こっちからの質問は無いよ。逆にこっちにしたい質問とかはある?」

「俺は特に。3人は?」


 3人は首を横に振っているのでどうやらこれで質問会は終わりのようだ。


 質問会が終わり迷宮につくまでひと眠りしようと考えているとレックスさんが不思議そうに聞いてきた。


「君たちは僕だけが名前を名乗らないことに対して疑問は持たないの?」

「疑問を持たないと言ったら嘘になるけど、こういう場合は大体何らかの事情があると考えられるからわざわざ聞く必要が無い。俺らも実力とか隠してるし」

「気遣い感謝するよ」


 それからは「瞬光」の人たちと軽く雑談をしたり仮眠を取ったりして迷宮に行くための準備を整えた。


 2時間くらいたっただろうか。馬車が止まったのでどうやら迷宮についたようだ。


「つきましたのでお降りください」


 ギルドの案内人にいわれて馬車から降りる。降りた先にあったのは縦10m、横20mはある巨大な洞窟の入り口だった。


 俺はこの洞窟が迷宮だとは思うが実際に見たことが無いのでレックスさんに確認を取る。


「レックスさん、これが迷宮の入り口で間違いないよな」

「おそらく。それにしてもこの大きさはちょっとヤバイな…。今回だけで1層突破するのは難しいかもしれないね」


 迷宮の中は入り組んでいたり、1つの大きな部屋だったりと種類もたくさんある。


 深さはなぜか最大100層までと決まっているが、一層ごとの広さはバラバラで大きいものだと100㎡ほどにもなる。


 迷宮は基本魔物がおり、更に階層のボスがいるのだが、それらの強さは魔素の濃度に関係している。魔素濃度が高ければ強い魔物が生まれやすくなる。


 そしてその魔素の発生元が最下層のボスだ。


 魔物を倒すこと魔石がドロップする。これは魔力を貯めておける貴重な石で、高値で取引されたり依頼の報酬と交換できたりする。魔物の強さで魔石の大きさが違う。


 さらに魔素の発生元だからといって倒せば魔素の発生は無くなるのかといったらそうじゃない。確かに魔素濃度は下がるがそれでも魔物は発生する。これは迷宮自体が探索に来て死んでいった冒険者たちを吸収して大きく、そして強くなっていくためである。


 だからこそ冒険者たちはハイリスクハイリターンな迷宮攻略を夢見る者が多い、というような説明をまたミラペディアから受けた。


「ではこれから改めて緊急依頼の内容の確認を行います。まず今回は目の前の迷宮の探索及び攻略になっております。しかし今まで何組がすでにこの迷宮に挑んでいますが、全員全滅しているため更に難易度が上がり探索も困難になると思われます。今回迷宮で回収したものは全て回収者の所持品となります。報酬は各階層ボスの魔石1つにつき白金貨5枚。最下層ボスの魔石は30枚と交換できます。

 以上が今回の依頼の内容ですが質問や辞退されるパーティはいますでしょうか?」

「1つだけいいか?その魔石は別に渡さないで自分たちが所有しても大丈夫か?」


 今までの内容の確認を聞いて新たに疑問に思ったことを質問する。


「はい。報酬金がいらないのであれば問題ありません。…他に質問はありますか?」

「「瞬光」は質問も辞退もない」

「「カオス」も同じく」

「分かりました。では気を付けていってらっしゃいませ」


 ギルドの案内人は馬車に乗り、どこかへ行ってしまった。多分街に戻ったのであろう。帰りは自力で帰らなければいけないのだ。アフターサービスが悪い。


 俺たちは迷宮に入ろうと歩き始めたところでレックスさんに呼び止められる。


「君たち!まさか君たちだけで迷宮に挑むつもりなのかい?僕らと一緒についていかないの?」

「「瞬光」のみんなは慎重に探索やマッピングをして少しづつ攻略するともりなんだろうですけど、俺らはそうするわけにはいかない。俺らはサクッと各階層ボスと最下層ボスを倒してくるから階層内の宝箱やアイテムはあげます」

「その攻略方法は一番危険だ。やはり僕たちと一緒に来た方がいい」


 俺らを心配して言ってくれているのは分かるがマジでうざい。面倒くさいので少し言葉に威圧のオーラを乗せて話す。


「もう一度言う。俺らは俺らだけで行動します。だからどこで何をしようがどこで死のうが心配しなくていいです。俺はいくら先輩でSランクだからといってそんなに心配されるほど弱くないのはこの威圧から分かると思うので」


 すこし威圧が強かったようだ。みんな目を見開いて驚いている。


「…分かった。確かに僕も過保護すぎたよ。でもなるべく危険な行動はとらないでほしい」

「俺の方もすこし急いでいたみたいですね。そうします。…あ、そうだ。俺から「瞬光」のみなさんにお守りを渡しておきます。これを捨てるも持っておくも自由ですが何か自分の身に危険が迫ったときはきっと助けてくれます」


 俺は指輪から青い石ころを6つ取り出し各メンバーに渡す。


「後輩からお守りをもらうなんてどうかと思うけど君からの贈り物だ。大切にするよ。では気を付けて」

「先輩方も魔力切れや状態異常にはくれぐれも気を付けて」


 こうして「瞬光」と「カオス」の2組は迷宮に入っていった。

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