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退けて


 「ギュガ、シャアアーーー」


 ブラックキャップの叫びでないぞ。

 儂のじゃ。


 とにかく気合をいれるつもりじゃからな。

 咥えておったナイフを鎧の接合部に突き立てて前足で鎧にファイアーを集中的に放つ。

 鉄じゃからな。

 熱伝導率もよかろう。

 その証拠にぶすぶすと肉の焼ける嫌な・・・・嫌なかな?

 なんか腹の減る気分になる。


 食わないぞ。

 

 そして、相手がひるんでいるうちに支援と状態異常付加の魔術を重ねがけさせて、儂の強化と相手の弱化。

 

 一体一だと落ち着いて対処できるわぃ。

 やはり複数相手は骨が折れる。


 「ガァ!」


 ハルバードが唸りを上げて襲い来る。

 発熱効果を与えてもハルバードそのものの質量は脅威じゃからな。

 じゃが、当たらなければ意味がない。

 足を止めずに果敢に攻めていく。


 一発交わせばその隙をみて二擊与える。

 ダメージは微々たるものでも通ればよし。

 あと、合間合間に先の炎の連撃も加えているのでより火傷効果でダメージを与えている。


 とはいえ、けっこうぎりぎりではあるからの。

 一撃でもあたれば、ヘタ打てば即死じゃからな。


 


 今のワシらの戦闘は誰にも邪魔されない状態の中にいる。こっちとは別の戦いは距離があるし、そちらはお互いがお互い、せめぎ合っているような状態であるのでこっちにまで手を出す余裕はなさそうである。


 近ければ乱戦の可能性もあったが、距離をつめさせなければその心配もない。

 冒険者は儂が、大きいのを引き受けているのを見て、それならそれで邪魔さえしなければあとで獲物にでもしようとでも思っているのか、出だしはしないし、ロードの相手をしてくれる。


 いやぁ、ありがたやありがたや。


 

 なので、かなり集中して戦えている。

 「グォ」


 ブラックキャップの周りをぐるぐる回るように攻撃範囲外の死角から常に攻撃していく。

 有効射程とか、其の辺、けっこうMMOでやっているので、対処できている。

 それに体も小さいし、小回り効くし、なによりも素早い。


 先の戦いで、敏捷もアップしておる影響じゃろうが、このままいけば・・・・



 「ウ、ウガアアアーーーー!!」


 うぬ、ハルバードを頭上に掲げてぐるぐると回し始める。

 何かするか?


 「がぁ!」


 地に斧の刃をぶつける。

 その途端、地が割れ、そこから石の礫が儂を襲う。

 「ぐにゃっ!」


 回避回避していくも数多すぎ。

 「にゃ!(ストーンフォール)にゃ!(ストーンフォール)にゃ!(ストーンフォール)・・・・・」

 大きめの石をいくつもいくつもだしていく。

 回避しつつ出していき、それを壁にして防ぐ。

 「ガァ!」


 じゃが、あっちも黙っているわけではない。

 こっちに一気に襲いかかってくる。

 心なし、赤い顔をして、状態異常にかかっているとは言え、それを吹き飛ばすかのような速度で迫ってくる。


 じゃが、それならそれでよし。


 「にゃっ!(ウォーターボール!)」


 走り来る前の地面に水をぶちまける。

 

 「にゃっ!(アイスニードル!)」

 そこからの氷のつぶて。

 これは敵でなく、ぶちまけている地面にあてる。

 ぴきぴきと氷の床となり、それにブラックキャップが勢い込んでやってきた結果・・・・・



 「ガーー!!!」


 思いっきり前のめりに転倒、顔面をかなりの勢いをつけて地面に口づけさせる。


 よっしゃきいた。

 転倒している隙にむき出しの頭に、転がっているナイフを急いで前足で拾い上げ、口にくわえて飛び上がり、



 『とどめじゃ!』



 後頭部めがけて一気に振り下ろした。


 ずぶりとうまるナイフ。

 しかし、骨にあたったか完全に埋まることはない。

 じゃが、ここからの


 「にゃっ!(ファイアー!)」


 手から刀身を伝って炎を脳髄に直接送り込む。

 そしてそこからの、土の槍を地面から!


 ざくりと体のあちこちから土の槍が飛び出す。


 ぬいとめられながらもびくんと大きく痙攣したあと、ブラックキャップは静かになった。


 あー、力押しのみであれば確実に負けたがけっこう小細工が聞く相手でよかった。

 一体一ならこういう手合いには強いからの。


 で、経験値が・・・・10000かい。

 相当高いぞ、これは。

 んで・・・・・



 おおおおおお!


 

 ランクアップの魔石ゲットォォ!!


 強い奴だとドロップできるようじゃな。

 あー、ロードも仕留めておきたいが、これ手に入れた以上、そう倒したいわけでもなくなったの。

 あ、ついでにハルバードも回収。

 おちてたしね。

 質の良さそうなものじゃしのぉ。

 で、ポシェットの中にいれたら、まぁ、もうもてない。



 うむ、よし、ここは撤退じゃ、撤退。


 『アメ、一度、ここから出るぞ。幸い、油断ならんロードは健在なれど、ゴブリンは相当減っておるし、逃げ道ができておる。一旦、地上に戻るぞ』

 『わ、わかったにゃ!』


 アメも無事に回収し、戦っている冒険者を尻目に大急ぎで、地上目指してすっとんでいった。


 「お、おい、猫が!」

 

 一部、冒険者の目にわしらが逃げていく様を見つけられたが、戦いの最中ゆえ、追いかけるわけにも行かず、わしら難なく逃走に成功した。



 さて、と、ポシェットの中にはあと一本ほど使ってないナイフもあるが身入りは上々じゃが、とりあえず、今回の探索は一旦中止。しばし、ほとぼりさめるまで休憩じゃな。

 

 あ、タマに鑑定も頼んでおこうっと。


 『・・・・・』


 走って追いかけてくるものの黙っておるアメじゃが、ふむ、


 『アメ、また儂はちょっとしたらこういうところに戻るわけじゃが、まだついてくるか』


 『・・・・うん、もちろん!』


 


 しばしの間があったものの、勢い込んで返事してきた。

 おおぅ、気合があるの。


 では、一日休養して、それから、って感じじゃな。


 さぁて、ハルバードのお金はいかほどかなぁ。







 そうして、ほくほくした気持ちで、儂らは地上へと、帰還していった。


 が。


 出た瞬間じゃったが、妙な違和感を感じた。

 なんじゃったんじゃろ?


 うーぬ・・・・・


 先日はメルがきていろいろ感覚的なものが吹っ飛んでおったから気にならなかったが、なんじゃろな?


 まぁ、よいか。


 ともあれ、経験値経験値~1万超で、なににしようか・・・・・




 って、ちょとまて。



 名前:サン

 職業:使い魔 種族:猫  

 ランク2 子魔猫


 ステータス

 

 筋力 17

 敏捷 33

 生命 18

 魔力 85

 知力 30

 精神 30

 器用 29



 経験値(0)


 スキル

 猫魔術(Lv.13)地魔術(Lv.10)水魔術(Lv.10)火魔術(Lv.11)風魔術(Lv.6)光魔術(Lv.6)闇魔術(Lv.1)聖魔術(Lv.7)邪魔術(Lv.1)無魔術(Lv.1)



 

 なぜ、経験値が0になっておるんじゃ!?

 あの一万はどこいった?!


 運営は?

 エラー発生じゃぞ!


 うぬぐぐぐぐっ



 ほくほくした気分が消え失せてしもうたわぃ。

 しくしくしく・・・・・



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