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相談

 にしても、なんていうか


 「ほら、もっとしっかり食べないと」

 「は、はい」


 食事の様子を見てると


 「男の子で伸び盛りなんだから。腕、ちょっとひょろいわよ」

 「う、うん」


 どっかの運動部を思い起こさせるような


 「ほらほらちゃちゃっと食べておかわりしましょ。私はもうおかわりするわよ」

 「え、まだ僕半分」


 食いっぷりと行動。


 赤髪の少女というよりも丸坊主の野球少年のような感じが妙に重なるのは気のせいか?


 いや、食事は体の資本よ。

 重要じゃよ。


 それは確かなんじゃが。


 「おばちゃーん、あと豚の角煮と焼肉とスープもちょっとおかわり」

 「あいよ。テトラちゃんはよく食べてくれるから私も嬉しいよ」


 や、嬉しいってレベルの食いっぷりか?

 見た目美少女なのに、食いっぷりがすごくてギャップが。


 「よく食べますね」


 あ、メル言った。

 でも、うん、言いたくもなるよね。ぽかんともしたくなるよな。


 「んっく、ん?そりゃそうよ。いっぱい運動したけど、それ以上に魔力をいっぱい使ったもの」


 幸せそうにもぐもぐごくんとしたあと、にこやかにいった。


 「魔力ってね、体のあっちこっちかた力を引き出して使うものだから余計に体力使うんだ」


 そういったあと、水の入ったコップを手元にもっていって指をいれた。


 「ん?」

 「ちょっと見ててね」


 そういうと、くるくる入れた指を回し、何事か詠唱を唱える。

 すると、水は入れた指にまとわりつき始め、手のひらいっぱいにまでひろがった。

 そうしたらすっとテトラはメルの前まで手をもっていく。

 「ほら、よぅく見て」

 「え?よく見るって・・・・」


 そう言われて手をじっと見つめた。

 うむ、手ね。

 水がまとわりついているだけに瑞々しい手じゃな。

 そこそこ豆ができているが、何かをにぎったあとか。

 うむ、なんというか、ちょっとごつくも見えるが女の子の手じゃな。

 メルをみやると、まじまじとテトラの手を見つめて・・・・おい、何をほうけておる。


 「えっと、その。とても綺麗な手だと思います」


 うぉい、口説き文句はよくないぞ 

 「え?あっ、違う違う。手の方じゃなくてその周りの水のこと。ほら、気泡があるのはわかるよね。そのまわりに何か別のが見えない?」


 ん?別の何か?


 んー・・・・・言われてみると確かに薄い水とは違う青色が見える。


 メルも気がついたようで目をこらしてそのぽつぽつとしたものを見ている。

 

 「このぽつぽつは?」

 「魔力を可視化させたものなの。私が考案した訓練法のひとつよ。こうして常時魔力を纏わせておけば、けっこう魔力の消費の練度につながるの」


 ほほぅ、なかなかな考えじゃな。

 ボクサーが走り込みの際に足に重りをつけて行うようなものじゃな。

 漫画なりでよくみたことのあるような訓練法じゃぞぃ。

 こう、八の字に描いて足をふんばって。

 下半身の力をつけるにはバランス感覚と脚の筋力が――。


 「って、猫ちゃん、何してるの?」


 お、話の腰をおらせてしもた。

 すまんすまん、ご両人。


 「へぇ、そうなんだ。すごいなぁ」


 メルはまじまじとその手を見て感心していた。

 その顔をみてテトラが少しホッとした顔をした。


 「そう、とてもすごいことなんだよね。でもね」


 そういって、表情を曇らせる。


 「教師にはあまり評価がないんだよねぇ」

 「え?そうなんですか?」


 「うん」


 そういってテトラは落ち込む。

 おい、なぜにその訓練法がまずいんじゃ?

 聞くだけ聞けばまさにスポ根においては王道の訓練メニューではないか。


 「この訓練法ってね、教師からは魔力枯渇の恐れのある行為だからって言われて熟練者以外は使用するのはよくないって言われたの」

 

 はっ?なんじゃそれ。

 現にこうしてテトラは使えておるんじゃし、何の問題があるんじゃ?


 「魔力枯渇すると魔法使いとしては使い物にならない可能性があるからその芽を積むようなことはしないようにって言われてるんだ」

 

 ほぅ、そういうことがあるのか?一晩寝れば治るとかではないのか?

 

 「魔力は確かに枯渇するものではないけど、0になれば消失する可能性があるんだって。でもそれならそれで加減すればいいのにって思うけど、少しでも強くなりたいと思う気持ちは強いゆえに使い続けてしまう者もいるかもしれない。そうなれば才能の芽を摘んでしまうと。知らなければその心配はないからって」


 そう言う言葉に納得のいかないという響きがあった。


 『まぁ、人というものはいうほど欲をなくすことができない生き物じゃからな。自分ならだいじょうぶと思い、そのままひた走るという可能性もあろうに』


 「うん」


 メルはわしの念話の言葉に肯定する。

 でもテトラは相槌をうったと見て、メルを見て話を続ける。


 「ふふ、ほかのみんなも、教師の立場にあって、けっこう『やめろ』とか『やるな』とかしまいには『馬鹿なやつ』とか行ってくるんだ。でも、君なら、少しはわかるかなって思って」


 「どうして僕に?」

 「だって、君、強くなりたいんでしょ?」


 すっと指にまとわりつかせていた水を解き、コップに入れ直す。

 

 「噂はくるよ。最低の成績者。教師からも爪弾きにされている厄介者。たった一人の先祖の栄光に寄生している一族。それにあなたの父親の噂もちょっと入ってた」

 

 メルはびくっと震える。

 ・・・・けっこう末期な評価の噂じゃな。


 「でもその中に『それでも学園を去らない頑固者』ってのがあったの。実は一度だけきみのこと見たことあったんだ。ひたむきに、愚直に、誰に頼らずに、必死になって取り組んでる姿。上位貴族からしたら鼻持ちならない生意気ってのもあるのかもしれないけどね」


 ああ、確かにあの公爵の息子だかなんだかは当たり散らしていたな。


 「で、思ったの。きっと何か理由があって一生懸命なのかもしれない。で、なりふり構わずかんばっているのかもしれない。だから、そんな君だからもしかしたらこんな話しても大丈夫かなと思ってね」

 「もしかして、こうして食事に誘ったのも」

 「それは偶然よ。確かに一度見かけたことはあったけど、それっきりだからうろな覚えだったからね。でも、こうして話せてよかった」


 そういって、いたずらっぽくにこっと笑う。


 「で、相談なんだけど、ちょっといい?」


 テトラはやおら尋ねてきた。


 そして、語る内容をきき、儂とメルは目を見開き、そして、にこりとお互い見合ってから、その相談を受け、内容を受諾した。


 



 そして、お互い、


 「じゃ、訓練頑張りましょ。私はちょっと昼寝して、それから、ね」


 そうにこっと微笑んでから、食器を返しに厨房へとさっていった。

 残されたわしとメルはもう一度、さっきの話を、そしてテトラという先輩にあったということを反芻しつつ、ぐっと握りこぶしを固めた。




 相談内容は要は実験。

 先の言われていた訓練法の実践と研究。

 検証データは多い方がいいということなんだそうじゃが、あいにくそれを受け入れてくれる学友はいなかったんだとか。

 それで、後輩兼件の噂持ちの子なら引き受けてくれるのではないかと相談をしたんだとか。

 

 多少のギブアンドテイクができているだけに、断る理由もなかった。


 また、少なくとも、ようやくメルにきちんとした交友関係ができたということにほっとした。

 訓練は休日にのみ行い、かつ、教師の目の届かないところで行うとか。

 儂としても強化計画に組み込めるというのあるし、わし自身の実にもなる。

 

 それ以上に、ガリバーと違い、良い子そうじゃし、快活そうで付き合うに過分でない。


 良き出会い、というところじゃろうな。

 約束の時間が待ち遠しいものじゃ。

 その場所も指定してくれたことじゃし、お互い気合をいれるとしますかね。



 


 そして、改めて、ひとつ、思うことがあった。


 ・・・・・まだ、メルはイカめしを残している状態で、おかわり分も完食とはの。

 まずは食事スピードを上げる訓練もしておかんといかんかの。

 置いてかれたり待たれても失礼じゃからな。


テトラのステを考えとこ

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