選んだ相手・・・・間違えた?
しっかし、ほんとうに強くなったようじゃなぁ。
「はぁ!」
今も一階層の魔物でバットが10匹まとめてやってきたが、ガリバーはさきほどのお荷物ぶりからは考えられない目を見張るような速さで剣で振り払い、詠唱も少し早めで屠ることができた。
放った火球もなかなかの大きさである。
もっとも儂もけっこう強くなれたからよしじゃな。
経験値によるステータスレベルアップはしっかり適用されているようじゃな。
実験台にしたみたいじゃが、それに関しては良好良好。
なお、ガリバーのステータス測定はレベルの上がった識別の瞳を用いても未だにわからん。
他人のが見えるにはまだレベルが足りんのかもしれん。
それでもHPゲージ的なものはみえるようになったのはよい。もっとも数値でなくバーが現れてどの程度残っているか見える程度。
ただ、それがスタミナなのかそれとも生命値なのかまではわからない。
それでも判断基準になるのは確かじゃから識別がしっかり機能し始めたのはありがたいことじゃ。
どっかの無双シリーズやアクションRPGでも敵のHPバーがあるかなしかでだいぶ心持ちが違うからのぉ。
「そうだ、これこそ俺の本当の力なんだ」
なにかほざいておるがおいとく。
ただ、この世界の人間はステータスとか見えるわけではなさそうじゃから唐突に強くなったことに関しては迷信なりなんなりでごまかされているんじゃろうな。
そういえば儂を追い回しておった連中も何かそれに沿ったようなことを言っていたが、朧げな認識はあるんじゃろうな。
魔法学園では其の辺のことは教えておるんじゃろうか?
まぁ、まだこれでも来て一日目、いや二日目になったか。じゃが、情報が圧倒的に足らん上に推測に推測を重ねている段階じゃ。
焦らず行こう。
「おい、猫。お前、使い魔みたいだししっかり役に立て」
とはいえ、さっきからこの居丈高な態度はどうにかならんか?
なんでも道中自分は子爵家の出だ。やれ優秀な才能があるんだ。ゆくゆくは王国の重要な担い手となるんだ。果てはそこのお姫様と結婚するとかゆめ物語めいたことを滔々と語っておったが、強くなったがゆえの万能感にでも酔っておるんじゃろうか。
それにおそらくじゃが、この使い魔に対して居丈高な感じがこの世界の魔法使いの仕様なんじゃろう。
儂はお主の使いまでもなんでもないんじゃが。
ひょっとして何か勘違いでもしているのか?
猫は猫でも呼び出した猫種はアメショじゃろ。儂はどうみても三毛じゃぞ。
はぁ、なんにせよ、あまり好ましいものではないが。
会話し始めて数分で「あ、こいつだめじゃ」と思ったものじゃ。
虚栄心しかないんじゃなかろうか?
強くした相手、もしかしたら間違えたのかもしれん。
「くそ、なんだその目は反抗的な。だが、ここは迷宮。脱出するまでは許してやろう」
言われんでもないわ。
あー、なんかほんとうに思っていたイメージがどんどん崩れていく。
なんか、いけすかない少年じゃ。
こんなのがメルと同室じゃったとは、なんか、橋渡しを考えていたが考えを改めたほうがよいのか。
朱に交われば赤くなるが、メルにはこうはなってほしくないの。
優しさは大事じゃ。
「しかし、みんなはどこへいった?俺をおいていくなんてどうかしてるよ」
どうかしてるのは君のおめでたい頭では?
気絶していたからか道具類がなくなっていることには気づいているが盗まれたというよりもそれはあくまでも預かってもらっているという認識なんじゃろう。
あちらさんにしてみればこやつはさっきのトラ男に食われていると思っておるじゃろうし、盗まれた意識は皆無。ヘタ打てばとっとと換金所にでももってかれておるのではなかろうかな。
もっとも、あちらさんが逃げきれていればの話じゃが。
向こうにまだトラ男が複数おったし、やられていなければよいが。
ん?鼻に妙なにおいが・・・・・
「ん?なんか据えた匂い」
うむ、かなりきつい腐った匂い。それに血の匂いも混じって
「お、おい、猫。お前見てこい」
はぁ?
なぜにそこまで命令されねばならんのじゃ?そもそもお前さんの使い魔ではないのに。
「早く行け!」
そういってげしっと蹴りを放った。
咄嗟に避ける。
こいつっ!
ぎりっと奥歯を噛み締めてにらみつけたがふんとそっぽを向く。
くそ、とりあえず、今はなんのかんのといっても仕方ない。
奥を見に行くか。
あー、ほんとうにこんなやつでよかったのかのぉ?




