目算
うわぁ
もう、うわぁとしか言い様のない状態であった。
マップウィンドウを頼りにとにかく道へ道へと飛び交ってくる矢や投げナイフ、果ては火炎瓶や時に接近してくる剣や槍を『回避の瞳』で交わしながら奥へ奥へとまいていこうとしたが、冒険者はとにかく
しつこい
お宝が目の前を移動しているようなものなのかもしれんが、これでは体がもたん。
一応、この間も猫魔術を使用しつつ、時折、地魔術や水魔術を使って足止めしたり、時折、傷つけるわけではないということで邪魔法で唯一使える『ペイン』を使用。
小さな黒い塊が出てきてあたると幻肢痛を引き起こす。
けっこうショックも大きく痛みにつんのめり転ぶ人が続出。
それでもなかなかまけず諦めてもくれない。
じゃが、人を殺すわけには行かん。オンラインゲームでは人を殺したらカルマを得てバッドステータスになる可能性があるし、心情的にできるわけがない。
そこまで人をやめたつもりはないから。
というわけで
逃げ続けたわけなんじゃが、そんな中、壁が鳴動するのが見え、走っていく横で何かが盛り上がり
巨大なトラ男が現出した。
もう湧いて出たともいえるような表現である。
あー、迷宮内のモンスターってこんなふうにポップするんだと半ば呆然としながらも冷静に走りながら見ていた。
「ちょ、なんでこんな浅い階にタイガーマンが?!」
「い、色からしてベンガルじゃね」
「おたから目の前にして」
「罠なんじゃ」
「い、いやーーーーーー!!」
後方では追いかけてきている集団に混乱が生じ、逃げるもの立ち向かうもの儂を負うものとわかれていった。
というかこの中でも儂をおってくるものがおるのはびっくりじゃ。
あと、会話の流れより、どうももっと深い階層の魔物のようじゃな。
んー、イレギュラー発生?
どこぞの死神もどきみたいなものか?
まぁ、死神というよりも獣人であるか。
2本足で立つ筋肉ムキムキの虎で腰みのつけて手には・・・・・うーむ、斧ならミノタウロスの亜種みたいなみかたなんじゃが・・・・
というか、おそらくアレのせいで儂、妙に冷静なんじゃろな。
現世でよくみかけたやつなんじゃが、公民館とか体育館、また、主にイベント会場なんかで見かけたものじゃが・・・・
パイプ椅子ってどうなん?
いや、あれはあれで、あっているような気がする。
多少毛むくじゃらではあるがどっかの虎仮面さんみたいな感じに見えはするし、最終話では反則攻撃もしてたはず。
なもんで、なんか冒険者との戦いが、プロレス観戦みたいな様相を呈してきていた。
いや、あれはあれで凶器じゃよ。
おまけにどうも手に持っているやつは角が尖っていて痛そうじゃし。
タイガーマン。
なかなか骨のあるやつじゃな。
おお、ジャーマンスープレックスカマしてるのもいて・・・・あー、痛そう。今度はコブラツイストかけてるのも。
「おら、まてぇ!」
って、ともあれ、今は逃げなきゃ。
てなわけで、走って走ってそのうち、まだまだタイガーマンとやらが増えて、全部で10数体現れうち5体がこっちに向かってきている感じであった。
残りは冒険者が頑張ってくれているが・・・・・一対けっこうな多数でどうにかである。
むろん魔物対冒険者で、である。
そんなのがこっちに5体。
もう、うわぁである。
そんな風になんとか逃げ回っているうちにマップ上、変な袋小路へと入っていった。
隠し部屋か何かじゃろうか?
ともあれ、そこならなんとかやりすごせるかとそっちへと向かい・・・・・
おっしゃ、ビンゴ。
ガリバーと一緒の冒険者の集団見つけた。
さて、これでガリバーと合流は出来た。
目標としては無事にガリバーを上へと返すこと。
考えとしてはガリバーにメルの迷宮への橋渡しとしてと先行情報を得させるためということじゃしな。
なので、死んでもらっては困るというもの。
おそらく死んだらこれっきり。セーブ&ロードなんぞはないと結論づけてもいいじゃろう。
試したくはないしな。
帰ってこない使い魔の主などいるとすれば、余計に、の。
では監視の件は置いとくとして、合流して、さて、タイガーマンたちと対峙しよう。
ちなみにここを回避する件は実は目算がある。
ガリバーは魔法使いである。
で、使い魔を持つのが魔法使いの常であるというのがどうもこの世界での認識とみてもよいじゃろう。
というわけで、儂、しばし、ガリバーの使い魔で、よろ。
なに、魔法使いのそばによってそれっぽく見せれば使い魔じゃと思われよう。
さて、
「にゃーー☆」
それっぽく、猫なで声出して、ガリバーに飛びつこう。
ぴょんと飛んで、さぁ、仮じゃが使い魔のお出ましじゃよ!
「うわっ!」
べしゃ!
ガリバーの腕かと思いきや、地面に激突。
あらっと思ってすかっと空を切りそのため体制が崩れてべしゃった。
こら、かわすな!
少しくうなろうとしたら、その瞬間、
GUOOOOOOOOOOOOO!!!!!!
巨大な叫び声を虎男たちがこちらに向けて放った。
音は衝撃波のようにこちらへとうがつ。
直接的な傷はなかったものの、精神的なものは大きかったようだ。
とりわけ、ガリバーはひどい。
目を白目にして開けたまま、気絶しやがった。
おい、起きろ!
そして、鬨の声をあげてタイガーマンとやらが向かってきた。




