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カオスタワー  作者: 冬ノ木目


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4/16

4.楽しい愉しい艱難辛苦

『[魔法(マジック)]Lv15到達』


『[戦闘(バトル)]Lv15到達』



『権能所持個体死亡確認』


『真名:ハーキュリーホース』


『〔権能(マスタースキル)〕が移動します』


『〔神片:試練(ハーキュリーピース)〕獲得』



「〔権能(マスタースキル)〕…?」


なんかやばそうなスキルがドロップしたが、正直今の1戦だけでもうお腹1杯だ。とにかく一旦帰ろうそうしよう。

今の通知に色々とツッコミを入れたい気持ちを抑え、塔からの脱出を選ぶ。かれこれ1時間以上ここにいたが、時間加速のおかげで現実では10分経ってないくらいか。凄まじいタイパの良さだ。

塔を出ると両足の感覚が元に戻っており、HPも全回復している。ただしMPは底を突いた状態だったので、デスを避けられるだけ、といった感じか?なんにせよ今日は疲れたのでログアウトだ。えーと、次回のログイン地点…ビギナーズハウス1択だよもうPKされたくねえもん。今思い出しても何だったんだあれ…



〜現実・自室〜


「体は元気一杯なのに心が疲れすぎてる…」


今は丁度昼時か。適当にパック飯とスーパーの惣菜を腹に収めてからスマホを覗いてみると、サッケンからメッセージが来ていた。ちょうどいいや、聞きたい事色々あるしメッセ返しとこ。



サッケン:言い忘れてた!ログインは必ずビギナーズハウスに行けよ!死ぬぞ!


ハヤ:その言葉、昨日の内に欲しかった…


サッケン:遅かったか…ちな区画どこ?


ハヤ:4。相手はジャスティスとやらだとさ


サッケン:知らん奴だな、つかよりにもよって4かぁ…


ハヤ:詳しく見た訳じゃないが、そんなに治安が悪そうには見えなかったぞ


サッケン:そりゃハヤは初心者だからな、殺しても旨味が無い


ハヤ:じゃあプレイ時間0秒で殺されたのは何だったんだよ、金か?


サッケン:そうだよ、5万なんて大金、PKからしてみれば襲わない理由がないからね。第4はイイもん持ってれば殺して奪うのがデフォの無法区画だよ


ハヤ:世紀末かな?つか新規来られないだろそれ…


サッケン:とっくに情報が出回って、2ヶ月目くらいからはよほどの物好きじゃない限り第4に来る奴はいないよ


サッケン:ハヤって変なとこで見切り発車で死地に飛び込むナチュラル特攻野郎だし、言わなきゃ絶対カモネギコースだろうから絶対言わなきゃと思ってたんだけど…


ハヤ:失礼な、確かに半分死地ではあったが俺が飛び込んだ訳じゃないぞ。いきなりモンスターの強さが10倍になっただけだ


サッケン:なにそれ…


ハヤ:Lv1のままクソ強プレーリーホースと30分くらい殺り合ってた。倒したら権能?てのがドロップした


サッケン:全プレイヤーが喉から手が出るほど欲しいもんを初日で手に入れてやがる…


サッケン:CT(カオスタワー)プレイヤー3万人くらいいるけど、権能持ってんの200人いるかいないかだぞ…


ハヤ:想像の100倍レアだったわ、でも落としたの平原の雑魚だぞ?Lv1の俺が狩れる程度だし、上位陣とか10個とか持ってんじゃね?


サッケン:権能を1つより多く持ってるプレイヤーを誰も見たことがない程度にはレア


ハヤ:嘘だろ…


サッケン:ちなみに能力が分かってる権能はどれも公式チート呼ばわりしても足りないクソバカ性能



「嘘だろ…」


どうやら本当にとんでもないもんを貰ってしまったらしい。明日からチートで俺TUEEEEE生活が始まってしまうのか?俺、ゲームはワンミスが死に直結するくらいがちょうどいいんだけどな…




〜翌日・ビギナーズハウス〜


「う〜ん…」


色々聞いてサッケンとのやり取りを終えた後、もう疲れてログインする気が起きなかったので、あのまま普通に過ごして寝た。そして今日、ハウスでウインドウとにらめっこしている。理由はもちろん権能(マスタースキル)についてだ。


「思ってたんと違う…」


サッケンによれば、権能(マスタースキル)はどれもぶっ壊れ(チート)と呼ぶ事すら生温い程の超スペックを持つらしい。ゲームは難し過ぎくらいがちょうどいいと思っているが、それはそれとして超レアなチート級スキルには夢がある。

なのでちょっとワクワクしながら確認したのだが…


〔神片:試練(ハーキュリーピース)〕

・〔権能(マスタースキル)〕の現出率増大

・一定範囲内の権能所持個体が〔神片:試練(ハーキュリーピース)〕所持者を常時捕捉

・戦闘開始時、モンスターのLvに自身のレベルが加算される



「ええ…」


1回話を整理させろ、まず〔権能(マスタースキル)〕現出率増大、これはいい。こ(・)れ(・)と同じようなスキルが手に入りやすくなるって事だ。「1つより多く所持しているプレイヤーを誰も知らない」とさえ言われる程のモノを2つ、あるいは3つでも4つでも使えるようになる可能性がある。


これだけ見ると確かにぶっ壊れだ、ある意味最強のスキルなんじゃないかとさえ思える。だが問題は後半のデメリット部分。権能所持個体に常に捕捉され、これから出会う全モンスターのLvが自分+相手の合計になる。


…権能所持個体ってつまり昨日のアイツみたいな奴の事だよな?


掠っただけで両足を吹き飛ばす突進を連発し、地面が爆発する蹴りを放つ怪物と同格か、それ以上の大怪獣に俺の位置が筒抜けになり、その上でそいつは自分のLvが加算される、と…なるほどね?…ハハッ。





「面(・)白(・)え(・)」





最初は面食らったが、思い返してみればあの戦いはとても楽しかった。一撃喰らったら死。こっちの攻撃は弱点を突いて尚MPが底を突き、回復するまで何も出来ない。何か1つでも間違えれば即敗北。

そしてその果てに得たものは、更なる試練(ハードモード)への片道切符。しかも既に電車に乗せられてる。人によっちゃ絶望し(萎え)て電車(ゲーム)から飛び降りてる(引退)だろう。


だが…それはつまり、常にハードモードで遊べるという事でもある。Lvは常に俺より上で、権能持ち(バケモノ)共が俺を狙い続ける。そんなの、想像しただけで笑えてくる。ワハハ。


いいぞ楽しくなってきた。まずはアイテムを揃えよう、このままテンションのままに塔に凸るのは幾らなんでも無謀が過ぎる。草なら山程毟ってきたからな、なんかしら作れんだろ。

ロールを変えてっと、これでよし。両方Lv1のままだが、[鍛冶(フォージ)]と[製作(クラフト)]は戦闘じゃなくて製作でレベリングするらしいからな。昨日サッケンに聞いた。


-ハヤ-

1st.[鍛冶(フォージ)]Lv1

2nd.[製作(クラフト)]Lv1

0z


HP  100

MP  100

ATK 10

DEF 10

AGI 10

DEX 90

MATK 10

MDEF 10

LUC  30



清々しいまでのDEX特化ロールだ、根本的に戦闘用じゃないんだろうな。ステータス配分が両方ともDEX40、LUC10で、違いは装備を作るかアイテムを作るかだけ。とりあえず今必要なのは回復アイテムだ。1戦だけなら最悪無くてもいいが、せっかくの現実比10倍時間なんだ、できる限り長く楽しみたい。


今作れる物は…おお、普通に一覧が表示されるのか。HP即時回復のライフタブレット、MP版のマナタブレット、そしてその両方に継続回復版のカプセルがある。薬草がライフ系、魔薬草がマナ系の材料だ。

試しに初心者の作業道具に薬草を乗せ、[製作(クラフト)]のスキル〔ビギナー・アイテムクラフト〕を発動する。すると薬草が一瞬輝きを放ち、収まった頃にはライフタブレットが完成していた。


「なんつーお手軽生産システム…」


材料置いて、スキル使って、ピカッとしたらハイ完成。なんてストレスフリー。


俺はその後も同じ様に材料をピカらせ、タブレット系の回復アイテムともう一つ、「衝撃起爆型下位爆薬」というアイテムを製作した。これはその名の通り、強い衝撃を与えると爆発するアイテムだ。鋼草と火草を3:1で混ぜる事で完成する。

ちなみに配分を1:3にすると熱起爆型になる。こちらは高熱を与えると爆発するらしい。これらの上に上位爆薬、さらに爆薬を材料に、より高火力の「爆弾」を作る事もできる。まあ、いろんなマップから素材を集めた上で[上位製作(アドバンスドクラフト)]のロールを手に入れないとダメなんだけどな。



爆薬を作った理由は、スキルに頼らないダメージソースの確保。昨日のような戦いを何度も繰り返すなら、MP切れは前提だと考えた方がいい。


MP切れを防ぐためにはリキャストの代わりにMPを消費しない物理スキルを使えばいいのかもしれないが、正直ギリギリの戦いをしている時に体を上手く動かせる気がしない。

思った通りに体が動くという事は、動かそうと思わなければ動けないという事。芝馬を参考にするなら、咄嗟に「回避」を強く念じるくらいしかできていない。


相手の動きをよく観察できる後衛の方が俺には向いている。

MPが切れた時に回復するまで逃げ回るしかできないのはちょっと効率が悪い。だからその隙を爆薬の投擲で補完するのだ。しかも、爆薬によるダメージは「固定ダメージ」と呼ばれるものに分類されている。

通常のダメージと違い、固定ダメージは防御力やスキル・魔法の効果を無視し、決まった数値のダメージを与える。


その代わりに、固定ダメージにはダメージを上げる手段がない。どんなに強く投げつけても、どんなステータスを上げようと、ダメージが上がる事はない。そのため高レベルのモンスターに対しては普通に武器やスキル等で攻撃した方が効率がいいのだ。そもそも素材が必要だしな。…ってサッケンが言ってた。


だがサブの攻撃手段として見れば優秀だ。戦闘中にノーコストノーリスクで必ずダメージを出せる爆薬は、これから俺の狩りに大いに役立ってくれるだろう。


余談だが、実は「鋼草玉」という鋼草を玉状に加工したアイテムも作れるようになっていた。投げる以外使い方が分からなかったのと、必要素材が鋼草10本とかいうバカみたいな重さだったのでやめた。あと根本的にこれを投げるより魔法を飛ばした方が早いし強い。物理特化ロールの持ち主が全力でぶん投げれば強力な武器になるだろうが、俺は魔法使いだしな…




よし次に作るのは装備だ。今の俺は初心者用装備。少しはマトモな武具が欲しい。というわけで今度は[鍛冶(フォージ)]のスキル、〔ビギナー・ギアクラフト〕。

〔ビギナー・アイテムクラフト〕の装備版だ。芝馬2匹からのドロップのおかげで、ローブを作る事ができた。鍛冶なのになぜか木製も服飾もいけるのはご愛嬌。装備品ならなんでもござれなんだろうな。



・クノッサローブ

DEF+15

MDEF+20



うん、いい性能だ。武器は作れなかったが、どうせ魔導書と魔晶を両方試してみるつもりだし、それで素材を集めよう。


俺は再びクノッサ平原に向かうのだった。待っていろ馬、今ならLv30も怖くない!

予約投稿を試したいので、明日から1日1話、10話まで毎日投稿をします。

時間は12:00です。


伝え忘れておりましたが、高評価とブックマークを宜しくお願い致します。


返すかどうか分かりませんが、一応感想も受け付けております。目は通しますので、何卒拙作を今後とも応援宜しくお願い致します。

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