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カオスタワー  作者: 冬ノ木目


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3/16

3.馬肉、草むしり、高級馬肉

今日と明日だけ2話更新です

〜クノッサ平原〜


視界が切り替わると草原だった。障害物が一切ない、全方位に地平線の見える一面緑の大地。空には雲1つなく、真上から太陽の光を感じる。


ロールをセットした後ステータスを確認していないのを思い出し、周りにモンスターがいないのを確認してからその場で開いてみる。



-ハヤ-

1st.[魔法(マジック)]Lv1

2nd.[戦闘(バトル)]Lv1

0z

初心の長杖

初心のローブ



HP  200

MP  200

ATK 22(+2)

DEF 30(+10)

AGI 15

DEX 15

MATK 35(+10)

MDEF 25

LUC  20


-Empty-



ロールを付けるだけで大分違うな。括弧の中は装備で足された分か。で、合計が左に表示される、と。よし早速狩りをしよう。モンスターはどこだ?あそこにいるのそうじゃないか?



"プレーリーホース Lv3"



…なんだあれ、上に出てる名前的に馬?だよな?遠目からだと動くトピアリーにしか見えんが、とりあえず喧嘩を売ろう。目算で20mは距離がありそうだけど当たるか?

あ、気付かれた。突進してきてるけど大人の全力疾走くらいだし、充分対応できる。


「〔放火(ファイア)〕!」


魔法のチュートリアルが無かったので雰囲気でやってみたが、合っていたようだ。杖の先端から野球ボール程度の大きさの火球が飛び、トピアリー馬に直撃する。


「ヒヒイン!!」


流石に1発じゃ倒れないな。近づくか。コイツよく見ると体毛が芝生になってんのか。目は普通の馬だな。今度は至近距離でもう一発ぅえっ?



「ブルルルッッ!」


「ぶぎゅっっ!?」



芝生のような後ろ脚による蹴り上げが、顔のド真ん中に突き刺すように叩き込まれる。一瞬世界が暗転し、次の瞬間に見えたのは一面の空色。つーか空。

ふっとばされた、と気付いたのは背中に衝撃を感じてからだった。

芝馬野郎テメェブッ殺してやる!痛みはなくても衝撃はあんだからな!?



「テメェも顔でくたばれ!〔放火(ファイア)〕!」



首だけ芝馬に向けてすぐさま火球を叩き込む。追撃しようとこっちに走ってきてたから、顔が狙いやすくて助かった。

頭部を黒焦げにされた芝馬は、そのまま倒れ伏して動かなくなった。見るからに草だし、炎が弱点なのかも知れない。あ、視界の隅にtipsが。なるほど、触ればドロップ品を回収できると。


「おし、勝った…油断してると死ねるな、こりゃ」


芝馬に触れると、一瞬にして姿がぼやけ、そのまま消えた。



-ドロップ-

・土のピース:小 ×2

・水のピース:小 ×1

・馬肉 ×1



アイテム説明を見る限り、馬肉は料理に使えるらしい。ピースは装備やアイテム製作の汎用素材。ハウスに戻ったら試してみよう。それにしても、今回は素材だけか。運が良ければス(・)キ(・)ル(・)や(・)ス(・)テ(・)ー(・)タ(・)ス(・)が(・)貰(・)え(・)る(・)んだけどな。


カオスタワーの特徴。それは「モンスターからスキルや装備、ステータスがドロップする」事。塔内のモンスターを倒すと、素材や武器防具だけではなく、スキルやステータスを獲得する。


通常、スキルやステータスはロールに紐づいており、いくらLvを上げてもロールを外せばスキルは使えず、ステータスは下がる。

今の俺は[魔法(マジック)]をセットしたおかげで、MP100、MATK15、MDEF15、LUC5のステータスを得ている。[戦闘(バトル)]ならHP100、ATK10、DEF10、AGI5、DEX5、LUC5だ。

だがモンスターからドロップしたものは、ロールを外しても機能する。つまり、塔内で狩りを続ければロールがなくとも大量のスキルや莫大なステータスを手にする事ができるわけだ。まあその代わりにロールはLvという成長要素があるんだけどな。


具体的なドロップ率なんぞ調べちゃいないが、狩りまくってればそのうちなんかしら落ちるだろうとあたりを付け、再び狩りに赴く。HPは3割削れ、MPも僅かに減っているが、時間さえかければMPは回復するので問題はない。

それよりもっと狩りをさせてくれ、1体だけじゃLv上がらなかったんだよ。



関係ないが、広場で見たクソ速い時計の針がなんなのか分かった。ステータスウインドウの端に時計が3つ表示されており、1つを除いて進みが異様に遅かった。塔内の時間の進みだけ外より遥かに速い、という事だろう。


現実を1倍として計ってみたら、街は2倍、塔は10倍だった。発売から2ヶ月経ってるから、街では4ヶ月、塔内では1年半以上。…攻略wikiとかあったら充実しまくってるだろうな。多分ドロップ品の内訳と確率なんかも事細かに載ってるだろう。




〜30分後〜


いねえ!こんだけ歩き回ってモンスターが見つからないってどういうことだよ!ピクニックしに来てんじゃねーんだが!?



「鋼草、火草、薬草、魔薬草…まあ帰ってからの楽しみが増えたと思えばいいか…」



仕方がないので採取可能アイコンが出た草をアイテム生産用に適当に毟りながら歩いていた時、微かに音が聞こえた。俺は即座にダッシュで音源に向かう。蹄の音だろ今の、馬か?いや馬じゃなくてもいい、このマップには他のプレイヤーもいるんだ、そいつらに獲物を取られない保証はない。他人に狩られる前に俺が狩る!見つけた、芝馬だ!先手必勝!〔放火(ファイア)〕を…ちっ!気付かれたがもう遅い、もうお前のスピードは知ってっ…!?



「うおおおおおおっっ!?」


最初の馬とは比べ物にならないスピードでソイツは突っ込んできた。待てやなんだその速度!?ケツにロケットエンジンでも生えてんのか!?

新幹線に追われる気分を味わいながらなりふり構わず横っ跳び。急いで起き上がり、全速力で後退しながら相手の頭上を確認する。




"プレーリーホース Lv30"



「もうボス戦と変わんねえだろこれ!!」


思わずそう叫びながら杖を向け、〔放火(ファイア)〕を放つ。まずは胴体狙いだ。


「ヒヒイイイィン!!」


よし効いてる!やっぱ火に弱いんだろオラァ!

〔放火(ファイア)〕の消費MPは10。あと19発撃ったら全力で逃げ回って時間を稼ぎ、自然回復で貯まった傍からひたすら撃つ!できれば20発以内に死んでくれ。


「ヒヒィィィッッ!!!」


再度芝馬が突進し、一瞬で距離を詰められる。落ち着け、さっきと同じように…!


「回避!!ついでに〔放火(ファイア)〕!!」


再びの横っ跳びと同時に火球を撃つ。


「よっしゃ後頭部!燃えてハゲろ!あわよくば焼肉になれ!」


後頭部に火がついたのでそう願ってはみるものの、そう都合よくはいかないようで。芝馬が頭を勢いよく振ると、火はすぐ消えてしまった。この隙にもう一発撃っとこう。残り17発。大丈夫、あの蹴り上げにさえ気をつければ勝てる。突進は速すぎて目で追い切れないが、回避のタイミングはなんとか合わせられる。このままパターン化してやる…来た!突進!ここっ!!


「〔放火(ファイア)〕!!ついでにもいっちょ〔放火(ファイア)〕!〔放火(ファイア)〕!〔放火(ファイア)〕ァッ!!」


怯んだのでMPの限り火球を叩き込む。コストさえ払えればCTなしで連射できるのがこの魔法のいいところだ。

代わりに発声が必須なのと、発動した瞬間体が硬直するのがデメリットか。下手に連射したらそのままマグロにされるのでヒットアンドアウェイに徹していたが、1度怯んでしまえばこっちのもんだ。MP切れまで叩き込む!




早口言葉みたいになりながら火球を撃ち終わり、芝馬の動きが鈍って来た頃、俺はほぼ勝利を確信していた。MPは切れたがこんだけ弱ればもう大丈夫だろ…!だが油断はしない、単純に考えてアイツは最初の馬の10倍強いのだから。

杖を構え、後退しながら突進を待つ。よく見れば避けられる、大丈夫……




「ブルルルル…」




…?突進してこない?あのモーションは…いやそれ、蹴(・)り(・)上(・)げ(・)のモーションじゃ?なんでこの距離で…?…あ、ヤバいまさか…!






その瞬間。前方の地面がダイナマイトでも投げ込んだかのように爆ぜ、砕けた土砂の礫が散弾銃の如く俺を呑み込んだ。


「ハハハッ!地面を蹴りで抉り飛ばしやがった!雑魚モンスターのパワーじゃねえだろ!?」


マズい、HPがまた削れた、残り4割!

っ!!コイツ、土砂に紛れて突進を…!?


「ぐッゥおぉアアアァアアァッッ!!?」


死ぬ気で真横にジャンプしたが、ギリギリ回避が間に合わなかったのか、両足先が巻き込まれた。荒れた地面を転がりながら、体力を視界の端に捉える。うわおあっぶねえ死にかけ(ミリ残し)!どうする、足先の感覚がない。このまま続けても突進を避けられずに死ぬ。なんなら多分ビンタとかでも死にかねない。


だが相手も多分瀕死、なぜなら全身焦げだらけでフラフラだから!地面を蹴り飛ばしたのもノーリスクじゃないだろ、右後ろ脚が動いてないぞ。


しかしここからどうやって勝つ?MPはギリギリ1発分足りてるが、一か八か〔放火(ファイア)〕を撃つか?ヘッショキメれば殺れるかもしれない。

…ダメだな、確実に当てなきゃならないのにこの距離で当てる自信がない。


…そういえばこの武器、長杖だよな?

ぶ(・)つ(・)け(・)た(・)ら(・)ダ(・)メ(・)ー(・)ジ(・)入(・)る(・)よな?ATKもちょっと増えてるし。

って事は、だ。このまま待ち構えて、アイツが杖にぶつかった瞬間に〔放火(ファイア)〕を撃てば…殺れるんじゃね?撃った瞬間は体が動かなくなるから、こっちから振る事はできないが…やれるだけやってやる。




「さあ来い芝馬、マグロになるのはお前だ…!」



「ヒヒイイイイイィンッッ!!!」



芝馬が一際大きく嘶き、頭を下げ、左後ろ脚で地を蹴って、俺を轢き潰さんと殺意と共に奔り出す。


対して俺は膝立ちのような姿勢で杖の先を正面に向け、芝馬を見据えて不動。



瀕死の芝馬が瞬くまに距離を詰め、迫る。



まだ




まだ




まだ…!






「〔放火(ファイア)〕ッッ!!!」



芝馬が俺を轢き殺す寸前。杖の先端に奴の頭が触れた手応えが杖を通して手の中に伝わったと同時、俺は火球を放ち。






炎が芝馬の頭部を焼き尽くし、炭と灰の塊へと変えた。


「っ回収!!」


突っ込んでくる胴体に巻き込まれて死にたくはないので、ドロップを貰うために芝馬に触れる。そのまま死体は消え去り、レベルアップの通知と、ス(・)キ(・)ル(・)獲(・)得(・)の通知が俺の目の前に写し出されるのだった。





『[魔法(マジック)]Lv15到達』


『[戦闘(バトル)]Lv15到達』



『権能所持個体死亡確認』


『真名:ハーキュリーホース』


『〔権能(マスタースキル)〕獲得』


『権能名〔神片:試練(ハーキュリーピース)〕』





…はい?


補足

・モンスターがいない

・Lv30のプレーリーホース

ちゃんと理由は用意してあります

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