第6話 凶弾
――パキュンッ!
乾いた銃の発砲音を聞いた瞬間、ミーシャは反射的に身を翻しながら銃を構えた。目に映り込んだ光景はシャノンが力なく地面に落ち、その先にあらわになった商館の男がもつリボルバーの鈍い光。
「シャノンっ!! どうして……」
「このクソ女っ……余計なことをしやがって!」
ミーシャを仕留め損ねたという焦燥感から商館の男はさらに引き金を絞ろうとする。けれど、彼女からしてみれば反撃に転じるには十分すぎる間だった。
男の眉間目がけて銃弾を放つ。
「――殺ろうとしたんだ。殺されたって文句はなしだよ、ブラザー」
屍となった商館の男に目を向けつつ、私は過去に入手にした他人の銃器を地面に置いてからシャノンに応急措置を施す。けれど、シャノンは私の手を払おうとする。
「構わないでぇ……アンタなんか嫌い! 奴隷になってまで生きたくないっ……」
「……。命を救われておいて見捨てるほど、私も落ちぶれてない。大人しくして」
この時、ミーシャは処置を進めながら後悔していた。
自らを盾にして命を捨てようとするなんて思ってもいなかったからだ。
とにもかくにも、ココに長居するのは良くない。
「恨みたいなら好きなだけ恨めばいい。とにかく今はここから離れる」
私はまたしてもシャノンをファイヤマンズキャリーの姿勢で運ぶ。
目指す場所は山奥にあるセーフティハウスだ。
意識が無くなってしまわないようにシャノンに私は語り掛ける。
「シャノン。今の私が何を言っても届かないだろうけど、あなたは本当に強い女の子だよ。ここで終わる子じゃない」
「何を……言って」
「だって死ぬことを恐れなかった。それは簡単にできることじゃない」
山を上りながらミーシャは帝国の街『クルテ』を見つめて決意を固める。
この子を、シャノンを仲間としてスカウトしようと――。
「そんなこと……ない。だって、わたしには……未来なんてもう無い……から――」
「大丈夫。あなたに未来はある。作っていけるから」
シャノンは消えゆく意識の中で澄んだミーシャの横顔を見たのだった。




