第1話:入口
※本作は東方Projectの二次創作小説です。独自の解釈や、原作にないオリジナルの設定・背景を含みます。公式設定とは異なる部分がございますので、苦手な方は読まない事を推奨しております。
また、当小説の文章を許可なく朗読し、動画サイト(YouTube、TikTokなど)へ投稿・配信する行為、生成AIを用いオリジナル作品として公表・流布する行為を禁止します。
無断ではなく許可(動画の話で使いたい)などあれば1度ご相談下さい。
ここまでで大丈夫と言う人は
「ゆっくり読んでいってね!」
鍛冶場の火がぱちぱちと聞こえる作業場で火ノ華と言う燃えるような赤く長い髪に威厳・風格のある女性がある人物と向かい合って座っている。
客人の名は幻想郷を作りし賢者が一人、”摩多羅隠岐奈”
賢者たる彼女は大抵能力のある人間にしか興味を持たないものだが、火ノ華の鍛冶師として、そしてもう1つの秘めたる能力に一目を置いている、しかし今はその事は言うべき時ではない。
―なにせ彼女は、”退屈”だった。
「火ノ(※火ノ華と仲が良かったり縁がある人物は略して呼ぶ)」
「お暇ですか隠岐奈さん」
「うむ、すまんな私のわがままに付き合ってもらって」
「大丈夫ですよ隠岐奈さん」
「・・・火ノ」
隠岐奈の顔は一瞬パアッと明るくなったが、火ノ華の心情は違った。
「わざわざ収入が少ないこの鍛冶場、ましてやかき入れ時の往来が多い時間によくも店を閉めてまで「私の話相手になれ」などとお誘いいただき、誠ありがた迷惑なお話でございますよ」
「・・・それについては本心から申し訳ないと言ってるであろう?そう怒らないでくれ。これでも私は外の世界から来たお前を可愛く思っているのだぞ?」
「隠岐奈さんはアタシの能力を買っているだけでしょ」
「やれやれ・・・頭固くは職人の礎とな」
何を言っても埒があきそうに無い隠岐奈は「ふうっ」と息を吐くと、何かを決心した様に一度深く目をつぶってからゆっくりと目を開いた。
「火ノよ、そろそろ武具の作成に重きを置かぬか」
「・・・武具、でございますか」
「そう、もうお前も鍛冶師としての基本が身に付いたであろう。ここにいる唐笠の妖怪にも助力してもらいお前の習熟度はそこに辿り着いたと言う訳だ、かつてお前の祖父が最後まで完成出来なかった”白玉楼の幻の刀”を作成する為のな」
「あたしの・・・じいさん・・・」
「お前の祖父、真剣もそれを望んでいるさ。もっとも、まだ武具作成の道の入口に立つ程でしかないがな」
火ノ華の家系は代々鍛冶師であったが、父親はそもそも鍛冶とは無縁の職に就き、近親で鍛冶の腕を持つ祖父に会ったことが無い。従って名は知っていても手取り足取りその技術が引き継がれてはいなかった。
だが、彼女には秘めたる才能「鍛冶作成が出来る程度の能力」があったのだった。
その才覚を見出したのが隠岐奈ともう1人の幻想郷を作りし賢者”八雲紫”なのである。
「あたしは、じいさんの顔も知らないし幻想郷での名声も知らないから」
「左様、お前の祖父は幻想郷で鍛冶師を生業とした後、お前達の世界へと移り住んだ。それこそここでの地位も名声も捨てての話だ。だが、お前の祖父はお前が幼き頃に病に倒れたと聞く。幻想郷の時間の経過は向こうの世界とは違い実にゆっくりでな。時間の速さは永遠にも近い幻想郷とは違い老いを早めたのであろう。にしても実に100年は真剣も生きていた筈だ」
「えっ!?100年も!」
「おや、親から聞いておらぬか?昔から祖父の容姿がそう変わらんと」
「(確かに、おぼろ気だけど、じいさんは何故か昔から歳を取っているのか分からないとか聞いたような・・・)」
「じ、じゃあ!じいさんを幻想郷に戻せばじいさんは・・・!」
―隠岐奈は途中で話を止めるように手を前に出した。
「ならんのだよ」
「どうして・・・」
「幻想郷は今でこそ条件付きで幾度も外と幻想郷を行き来している者がいるが、当時は一度外の世界に出たら事象以外で、自らの意志で再び幻想入りを許してはいなかったのだ。これは掟であるからな」
「・・・」
「・・・すまぬな。見張る事は出来ても手を貸し救う事すら出来なかったのだ、こればかりは幻想郷を代表して謝るしかあるまいよ」
「・・・いいえ隠岐奈さんのせいではありません。私も幻想郷に来て体感で何年かは経ちますが、ここでの生活を考えると平和維持の為には仕方のない事だと理解してます」
「火ノ華・・・」
「ですので謝るとか良いんです、あたしは小傘さんや隠岐奈さんや八雲さん達、それに博麗の巫女さん達色んな人から支えられて生きてますから。だから、じいさんもそうだったと思うし、それを捨ててまで向こうの世界で私に会うため来てくれたんだと思ってますから」
燃えるような男まさりの少女がにこりと微笑む姿は何処か強く、そして可憐な美しさを持ち合わせている様である、隠岐奈は帽子を脱ぎ軽く会釈すると”ありがとう”と呟く様で精一杯の感謝を伝えた。
「ところでだ(帽子を被り腕を組む)」
「はい?」
「さっきから盗み聞ぎとは、高貴が身上のお前らしくないな」
「え?」
「くっくっくっくっくっ」
奥の影からその姿は現れた、紫色の髪に紅い瞳、小柄だが明らかに抑えているオーラ、それは紛れもなく吸血鬼のそれだった。
「ごきげんよう。火ノ華。それに隠岐奈」
「お前らしくもない趣味だな、レミリア・スカーレットよ」
「レ、レミリアさん・・・(あ~あたし苦手なんだよね~あの人なんか偉いけど偉そうだから)」
「思いっきり聞こえてるわよ」
「え?なんで!?」
「さとり妖怪でなくとも多少なりとも人の思考が読めちゃうのよ、人前ではなるべく悪口は考えないよう努力なさい」
「(すまんな火ノ、私も読めていた)」
「それで今日は・・・どんなご用件で?」
「あらそれはあなた、あなたを紅魔館のメイドにするためよ」
「・・・は?」
「なに・・・?」
レミリアは本気だった、それは紅魔館にてある”依頼”が舞い込んだからであった。
―2話へつづく―




