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悪逆の魔法使い  作者: こんぶ
異界召喚編
7/83

第六話 最高位騎士

「住民の避難か…ならワシにまかせてくれんか?」


イリヴァはそれなりの自信があるのか、そう切り出した。

 

「ん?」


「大丈夫ですか?」


「まぁ、な…ワシにどれくらいの伝手があると思っとる…それにワシは国王じゃったぞ」


「そーいえば」


「そうですね」 


(……息があったな)


「…ふん」


「ま、とにかくだ。戦力は俺の方で何とかする。アロヴァは…」


「バレないようにすればいい…ですよね」


「あぁ。幸いこの国の人口はそこまでだ。それに隣国、ラージ・アディアとは仲がいい。そこに逃げ込めば大丈夫だろう」


隣国、ラージ・アディア。アディア国とも言われるその国は、かなりの国土を有し、人口もラディア国と引けを取らない。帝国とも言われる。資本主義国家で、ラディア国、アディア国、ジュラ共和国、センチネル国と四カ国で、ジュラディア連邦を成している。


「そりゃ大丈夫じゃ。ラージの現国王とワシは超仲良しじゃからな」


「…それは僥倖だな…で、恐らく国は滅んで難民大量発生しちまうんだが…」


「え?熾天使王をどうにかすればいいんじゃないですの?」


「方法は無くはないんだが…それだったらまたイチから国を作った方がはやいかもしれん」


国に現れるであろう、熾天使王。それを討滅するのはすこぶる厄介である。


「えぇ!」


「熾天使王を消すのはそれくらい難易度が高い…ま、とにかく」


ブラッドは町の方へ目をやる。


「住民の避難が最優先だ…」



とある家の中。その小さな部屋には、毒々しい花瓶や、研究に使ったであろう薬品、空瓶や多くの資料などが散乱している。


その部屋の奥の椅子に彼女は腰掛けていた。


「…ってことなんだ。協力してくれないか?」


ブラッドは彼女へと協力を呼びかける。


「…はぁ?アンタ本気でいってんの?熾天使王(セラフィムキング)と、治神(ヒーラ)を倒すって正気じゃないわよ」


「…そんなことは分かっている。リ・アルペ」


「…何急にフルネームで呼び出して…きもいんだけど」


(…どうだろうか……)


「なぁ、お前には感謝している。いつも付き合ってもらって悪いと思っているよ…だから、頼む」


ブラッドはアルペを褒め出す。


「…は、はぁ!?な、何アンタ…急に…バカじゃないの?…」


(うーん、これは)

 

「…アルペ…お前の力が必要なんだよ…」  


「…え、あ、う」


流れが良いぞ…、とブラッドは喜ぶ。


この反耳長族(ダークエルフ)は不意打ちに弱すぎるのだ。ブラッドはその傾向を利用した。


「…頼む…」


ブラッドはアルペに顔を近づける。


「ちょ、ま…わ、わかったから…!」


若干顔を赤らめるアルペ。

リ・アルペ。


ブラッドの知る反耳長族(ダークエルフ)の中では最強にして最高。

見た目は流石はエルフ、美麗と言ったようだ。整った顔だ。

ダークエルフと名はつくものの、別に肌は褐色ではない。

かと言って純白でもない、形容しがたい淡白な色で、体型はブラッドよりも少し小柄と言ったところだ。


今回、熾天使王(セラフィムキング)治神(ヒーラ)を倒すにはアルペの力が必ずいる、とブラッドは見立てている。


魔法使いのほぼ頂点に君臨する彼女の力は必要不可欠と考えた。

魔獣、デスベルを一撃で仕留める程の魔法使いは近くにはおらず……

その彼女の中でも最強たる所以の技は、多くが、怨嗟(グラッジ)系統の技。


じわじわと蝕み、相手を殺すようなものが多い。

 

「そうだな。よし」


「?」


「今回は大規模戦になる…もっと人を呼ぶ…その中でアルペ、お前は大事な要だからな…頼む…」


「ま、任されたわ…」


(よし……押し切った)


ブラッドはぐっ、と握りこぶしを作った。





「…と言う事だ。お前らにも協力してもらうぞ」


ブラッドは、最高位騎士、五人に対して言う。


王都五騎士(エーデルガント)。ブラッドは彼らとある事件(・・・・)で友人となった。


「…えぇ~、ブラッドさん一人で何とかなるんじゃないすか~?」


王都五騎士(エーデルガント)は計五人のメンバーからなる。

筋力のマスキ。

技量のスキラ。

魔法のマアク。

防御のワールズ。

万能のデレウス。

おちゃらけた台詞を吐くのは技量のスキラ。


「ばかやろう。そうやって慢心すると神族にはすぐ負けるぞ」


スキラを注意するのは、隆起した胸を持つ防御の男、ワールズ。


「…へぇ~」


感嘆するのは細身の男、マアク。


「…ま、俺はいいがな。というより、俺が前行ったデスベルの森…もう死んでしまったか…?」


万能の男、デレウスが言う。


「あぁ、流石にもう人の住める環境じゃない。まぁ、想定内だが」


森が死ぬ、とは。


森などという抽象的で、それでいて概念的な物が死ぬというのはありえないあことだ。本来は。石は死なないし、意思も死なない。しかし、一定の条件が満たされれば物質さえ死ぬことがある。そんな事ありえない、と思うかもしれないが、森や海など自然の場所は、マナの量などによって、エネルギーが枯渇し、土地が死ぬことも少なくない。


故に、森が死ぬ。


「良いか?最高位騎士たち…」


「ふむ、デレウスがいいと言うなら我々も良いが」


デレウスの方を向く。


「もちろん良いぞ」


「…よし」


(人員集めはあと少しか。)




多少日数が経った。


およそ、あと7日でここに熾天使王(セラフィムキング)達が来ることになっている。


しかしそれは、ブラッドがサリヴァから聞いただけの情報で、嘘か真かは全くわからないのだが。



少なくとも──


「…」


街には人っ子一人の気配はない。


店は全て施錠してあり、家々全てに施錠が施されている。


みな、隣国へ避難したようだ。


「流石に元国王…」


やるな、とブラッドは感嘆する。


更には、これを悟らせないようにしたアロヴァの功績も大きい。


…何故神族たちにバレていないと断言出来るのか。


神族達は、非常にせっかちで、それでいて、|自分たちのついた嘘がバレた・・・・・・・・・・・・・・に激昂し、手がつけられなくなる。



そういった習性のようなものがある。

故に、安心。


バレていればとっくに戦闘が始まっている。


「さて、準備を着々と進めている、か…」


街を歩く。


「ん?」


「お、ブラッドか」


ブラッドは王都五騎士(エーデルガント)に出会う。その五騎士の中でも最強の、デレウスとであった。


最高位騎士、エーデルガンド。

最高位騎士とは。

国家の中でも、限りなく優秀とされる騎士の集まりである。

最低条件として、まず術が使えること、これが入る。

エリート中のエリート。

それが、最高位騎士。

騎士の実力はもちろん、魔法や術を使用できて、なおかつ知識も豊富。

そういう輩を言うのだ。最高位騎士と言うのは。


「とはいえ、現国王を裏切るようでなんとも言えない気分になりますがね」


「…サリヴァは気づいていないな」


「ええ。全く。それに、毎晩、遠隔石(リモートストーン)で話しているようですし」


遠くにいても会話が出来る石。

その名も遠隔石(リモートストーン)


解明は進んでいるが、それが何から出来ているかさえ分かっていない。


特殊文明機器というものの一つだ。


「…あぁ、俺もその内容は毎晩聞いているからな」


「…」


デレウスは空を見上げる。


「…曇りですね」


曇天だった。


「…雨、降るかもな」


「…」


デレウスは呑気なやつで、案外明るいやつではあるが、戦の時はそうでもないようだ。


「この一週間後…神と戦うなんて…嘘のようだ」


「…俺も神族とは、初めてだ……」


「ええ」


ブラッドは目の鋭さをよりいっそう増して告げる。


「さて、行くぞ……」

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