表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪逆の魔法使い  作者: こんぶ
南国編
68/83

第六十七話 対傭兵 六

ブラッドの背後に衝撃が奔る。


「っ!?」


現在、ブラッドが相対するのは、殺人のエキスパート、最強の傭兵達、ザックとリンダ。

ザックは青い瞳に赤い髪をもつ好青年で、リンダは黒髪に金の瞳をもつ麗しい女。


二人はブラッドを殺すため、ザールに命令され動いていた。


その理由はやはり、ブラッドの討伐報酬であった。


『一年間!?』


『ぁあ、彼を倒すことが出来たなら、貴方は一年間、戦地に赴かなくて良いですよ』


ザックは戦争が好きという訳ではなかったが、その非常識な強さゆえに傭兵を引き受けていた。だから、ザックにとってその報酬は些か美しく映った。


対してリンダは、純粋にザールに対して逆らえないという理由だけである。


リンダは意識阻害系の術を使い、ブラッドを翻弄する。


「ゴラゴラゴラゴラ!」


ザックの大剣による連撃。等身大はあろう大剣を振り回すザックの斬撃は、ブラッドをしても防ぎきれないような勢いであった。


「……く、近接戦闘特化型か!」


現在、ブラッドは肉体に多重の強化(バフ)魔法と、多重結界を張っている。


それでもザックは、強化をかけられたブラッドを凌ぐ勢いで肉薄する。


薙いで佩いて回して切って斬って叩いて薙ぐ。


「は、っやすぎる!」


「俺は世界四位の傭兵だぜ?この程度はよぉ……」


ザックは両脚でブラッドの頭を挟む。


「!?」


「朝飯前だぜっ!」


ブラッドはザックの脚と共に頭が地面にめり込む。衝撃波が地面を伝わり、うなり、迷宮五十一層を震わせる。


「ほいっと、一丁あがり」


「……ってめぇ〜……」


頭から血を垂らしながら、ブラッドは地面から顔を上げる。だが、そこまで大きな損傷は無かった。


「……ほぉん。今のを受けてそのダメージか……」


「……治癒(ヒール)


ブラッドは魔法を使い、体の傷を治す。


「ふふ、甘いわね」


「あぁ、もうタイミングは掴んだ」


ブラッドは後ろを向くと、ブラッドには見えないはずのリンダを、ブラッドは両腕で捕らえていた。それから片腕に持ち替えて抱える。


「きゃっ…!……は?」


「お前の【認知障害術】は、ギリギリ認知出来るか、出来ないかくらいって分かってたからな。違和感が当然生じる。その違和感を頼りに出現場所を予測しただけだ」


「……そん」


「離れろ!リンダ!」


空からザックが降り、ブラッドに大振りの一撃を食らわす。が、ブラッドの持つ刀に弾かれる。


「……肉体強化リーンフォースアーマー


ザックが魔法を唱えた。


「…魔法も使えんのか…!?」


ブラッドが驚愕する横で、リンダはブラッドの腕から逃げようとするが──


「逃がさんぞ、封印(シール)


「ぃやぁ〜ん」


リンダは捕縛される。


「案外呆気なかったな」


「そうだな」


「!?」


ブラッドの正面(・・)に居たはずの男は、ブラッドの背後(・・)に回り込んでいた。


「ちょま──」


「ゴラゴラゴラゴラゴラゴラ!!」


ザックが掛け声と共に、あらゆる方向からブラッドを斬り付ける。


だが、ブラッドはそれらに対応し、攻撃を受け流す。


「……あぁ、なんか…段々、適応して来たぞ……」


ブラッドはザックの攻撃を弾きながらそんなことを呟く。


「……あ?」


「ほいっ」


ブラッドは天上の剣(・・・・)を取り出すと、それをザックへ突き刺した。


「な」


しっかりと、剣で貫かれるザック。


「避けられない、よな」


ブラッドは天上の剣を引き抜く。その傷から血が滲む。


「俺の勝ちか〜?」


「……っ!」


「ほれっ、ほれほれ」


ブラッドはザックを勢いよく殴りつける。


「おい、世界四位の傭兵なんだろ?魔法も使えるんだろ?なぁ?おい」


何度も何度も何度も殴られ、血が飛び散り歯は取れて、鼻は潰れ白目を向くザック。それでも尚ブラッドは拳を止めなかった。ラリから習ったその体術を。


「終わりか〜?」


その赤い髪が、血の紅で染まりそうなその時──


「……ぁ、か、が」


「……あ?なんだ?」


「馬鹿が」


ザックの肉体が自動で治癒されて行く。


「なん、だ?」


固有(ユニーク)スキル、【不撓不屈】【逆境不屈】が発動したんだぜ」


「あ?」


気づけば、ブラッドの目の前からザックは消え、遥か遠くへ移動していた。


「あばふっ!?」


ブラッドは突如吐血する。


「ん?あ、おお。さっき殴ったんだが、早すぎて、今、衝撃が伝わっちまったみたいだな」


ザックの肉体は変形していく。ゴキゴキ、と骨が変形する音だろうか。ザックは異質な形へと変貌していく。


肉は肥大化し、骨格から変形されていく。


「……」


ブラッドは呆然とそれを眺めていた。普通ならブラッドはそれを止めるべきなのだろうが、ブラッドはそうしなかった。


「……」


ブラッドには今のそれ(・・)に何をしても効果がないと理解していたからだ。


「しかし、人と言うよりモンスターじゃねぇか」


変形し終えたザックは、体高約三メートル、腕は大木のように太く、体は巨岩の様に大きい。


「……全身の表面が筋肉になってるのか…どんな変形だよ」


「ふぅぅ……」


ザックの背中から水蒸気が出る。体内に抱擁された熱が放出されているのだ。


「ザール様がお前を殺そうとしている理由が分かった……お前は生かしてはいけない存在だ」


ザックはその巨体を走らせた。

ここまで見て下さりありがとうございます。

感想なんかも気軽にくれると有難く思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ