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悪逆の魔法使い  作者: こんぶ
南国編
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第六十六話 対傭兵 五

ラリシアは、迷宮(ダンジョン)五十一層の夜間の空中へと跳躍する。


後ろには月があり、さながら月に映える戦乙女のようであった。


ラリシアは迷宮(ダンジョン)五十一層全体を見渡す。


「本当に広い……」


感嘆するラリシアを横に、世界四番目の傭兵、赤髪のザックが言った。


「ラリシア、早く治さないのか?」


「んー」


現在ラリシアの眼下には、上半身と下半身が乖離し、痙攣し死にかけている者が多数いた。


それは、ブラッドの一撃によって起こされたものだった。それが何かは分からないが、恐ろしく凶悪で強大な一撃であったのは明白であった。


──その一撃で傷ついた者をラリシアは治療する事が出来る。と言うのも、彼女は治癒に特化した傭兵である。その程度は造作もない事だった。


「流石に死なれると面倒だしね……」


魔法を使用する際に消費する消費魔力は、使う魔法毎に変わるが、一般に治癒系魔法と蘇生系魔法では、蘇生系魔法の方が消費魔力が多いとされている。


「面倒だし、治しちゃうわ……全体完全治癒マスパーフェストヒール


ラリシアが魔法をかけようとした瞬間、地上から何かが信じられない速度でラリシアへと迫った。


「!?」


それに対応するのは、赤髪のザック。

ザックは腰に携えていた黒い鉈のような武器で、ブラッドの攻撃を止める。轟音と爆風が発生した。


「ったく、治癒すると分かればそいつを速攻殺そうとするとはな……確かにコイツは、厄介そうだぜ」


ザックがブラッドに対して言う。


ザックと対比するように、ブラッドは白い刀で攻撃をしていた。


「……おい、ラリシア、魔法はかけ終わったか?」


「え、えぇ」


地上では、先程までバラバラだった肉体達が全て接合され、修復されている。


治癒系統の中では、消費魔力が最大級の魔法、完全治癒(パーフェクトヒール)を、一人──アリアという再生の能力持ちの男──を除いた、計三十五名に対して施したのである。


が、ラリシアは傭兵の中でも最上位の等級(ランク)SSである。


消費魔力は膨大とは言え、半分程度の損失で済んだ。


「おい、テメェはこっちだぜ……!」


刀の上からブラッドを蹴飛ばすザック。これらが全て空中で行われているとは考え難い……そんな軌道を描きながらブラッドは地面へと衝突する。


「おい!リンダ、俺を援護しろ!」


「分かったわよ」


リンダと呼ばれる女性は、艶やかな黒髪に凛とした目をしている。

そしてなんと彼女は、空中(・・)を蹴って進んでいた。


「行くぞ!」


ブラッドの飛んで行った方向へ二人は駆けて行く。



「治癒魔法か、厄介な」


「厄介?厄介か……はは、面白いことを言うな、お前は」


地上に降り立つのは赤髪のザック。鮮烈な赤の髪の毛と、蒼き瞳を持ち、黒い衣装を纏う。体格は良く、かなり筋肉質である。身長はブラッドと同じくらいだろうか。


「?」


「俺の名はザック。世界最強クラスの傭兵だ。そして、お前を殺す者だ」


ブラッドはそこで合点がいく。


「あぁ……なるほど、SSS(トリプルエス)はこういう兵器を残していたのか」


「……あ?」


「現在、人の使う兵器は様々な種類があるが……そのひとつに人間が追加されたに過ぎない…ということだ」


「あ?俺たちが派遣戦闘員とでも言いたいのか?」


「そうでは無い。お前たちは、とどのつまり道具に過ぎないという事だ」


ブラッドは淡々と、事実を告げるようにザックに話した。


「……あら、そうかしら?」


「……!?」


「【認知障害の術】」


ブラッドはそのあまりの技量(・・)に驚嘆する。

それは、術使い。一部の認められし才傑溢れるものだけが成れるとされる、一種の到達点。


「誰か、いるのか。しかも恐ろしく技量の高い術を使う奴が」


「ほぉ、コイツを認知出来るとは……やはりお前は野放しには出来ない存在だな」


術使い、名をリンダと言った。

彼女は生粋の術使いである。生粋、否。天性とさえ言える。

艶やかな黒髪に凛とした黄金の瞳。羽織る服はコートのような物だ。しかし、あまり目立つような服装ではない。


なぜなら、そもそも目立つことが無いからだ。


彼女の使用した【認知障害術】は、【認知阻害術】の上を行く術である。


そして、術というのは、完全技術制でもある。これが、彼女の助長の原因でもあった。


例えば、魔法で例えるのなら、火炎球(ファイアボール)という魔法を、素人と熟練の魔法使いが唱えたとして、それはもちろん熟練の魔法使いの方が強く魔法を使える。


──が、それは消費する魔力に違いがある場合である。

魔法は一応、エネルギーが保存されているので、使用者がどんな者であろうと、百のエネルギーを込めたものと百のエネルギーを込めたものは、威力が同じである。


しかし、術は違う。

術は技量がものを言う。一のエネルギーを込めようと、百に昇華することだって出来る。


そういった、ある種最強の部類に入るのが術である。

また、魔法や剣士などでは対策が難しいので、そういった意味でも本当に強いのである。


ただし、使い手が全く少ないという問題はあるのだが。


「あたしの術は特別製さ…アンタに捌ききれるかい?ブラッド…」


一瞬、ブラッドの目の前に姿を現したかと思うと、すぐに消えるリンダ。


「……」


さらにブラッドの目の前から迫るのは、近接戦闘に特化しているであろう戦士、ザック。


「……」


ブラッド、窮する。

ブラッドの過去なんかは、多分この傭兵戦にて行うので、お楽しみにして下さると有難いです。

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