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悪逆の魔法使い  作者: こんぶ
南国編
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第六十四話 対傭兵 三

地下にいたブラッドと傭兵たちは地上へと出ようとする。

すると、ブラッドは何者かに肩を掴まれた。


「?」


「おい、俺は死んでないぞ」


「……!?」


それは、ブラッドが短刀で粉々にしたはずの男であった。ブラッドはその摩訶不思議な事態に驚愕した。


「生きている?何故?それにいつ生き返った?どうやって?」


「俺の固有(ユニーク)スキル、再生(リジェネ)だよ」


固有(ユニーク)スキル?」


「はぁ?お前固有(ユニーク)スキルも知らねぇのか?」


「……」


「ま、わざわざ教える訳ねぇがな」


「お前の能力、再生(リジェネ)とか言ったな」


「……?そうだが」


再生停止(リジェネストップ)


「あ?」


「ふんっ!」


再びブラッドは男を斬る。だが──


「あー、すまん。一回食らった攻撃は二度喰らわねぇっておまけ能力付きだったわ」


男は、ブラッドの短刀を、まるでピッチャーフライをとるように、易々とその腕で受け止めた。


刀を手で受け止めていたのだ。


「!?」


「だからまぁ」


「っぷっ!?」


ブラッドは、大地を粉々にするような、憤怒のこもった拳を腹部に受ける。

衝撃波と共にブラッドは上へと飛ばされた。

すでにザールによって破壊力された天井を轟速で吹き飛ばされ、ブラッドは地上に出た。


「がふ、あっ?」


吐血。鮮血がブラッドの口端から出る。胃の出血、及び内臓器官の損傷は見て取れた。


「く、治癒(ヒール)


治癒の魔法でブラッドの内臓器官は時間が巻き戻ったかのように修復されていく。


「お前はもう俺には勝てねぇってことかな?」


「……再生(リジェネ)の能力だとか言う…それは魔法体系のものか?」


「うーん。固有能力(ユニークスキル)も知らないようなやつには教えたくねぇなぁ」


「んだと…!」


「例えばよォ、俺しか出来ないことがあるとするじゃねぇか?んでよぉ、その制御とかってのも俺しか出来ないわけよ。な?つまりよぉ」


男はブラッドの顔面を地面に埋めるように蹴った。


「ギャハッ!」


ブラッドの顔から鮮血が出る。額が切れて血が出る。鼻血も垂れていた。


「ふーう。ここは地上…か。ん?ここはもともと何かの収容所だったのか…?」


男はその大きな建物を見て驚いた。迷宮内にこれだけのものがあるということ、更にはその質にも驚きを隠せない。


「とはいえ…」


ブラッドやザールの連鎖爆撃チェインエクスプロードによって崩壊が始まっていた。


崩壊の最中、収容所から数多の人々が逃げていく。


悲鳴や喧騒、あるいは慟哭が男の耳を(つんざ)く。


「もうここも、寿命か」


男はブラッドを踏んだまま、ブラッドを地面に引きずって歩いた。


「……ん?」


男は地下から出てくる仲間と合流しようと思っている。しかし、その男は今、ただ仲間を待つという行為に明確に違和感を感じていた。


「…何だ?何がおかしい?いや。何かおかしい」


その男がその正体に気づく前に──


完全捕縛(パーフェクトホールド)


「!?」


男の死角から、訳の分からぬまま魔法で捕縛される。


男は身動きひとつ取れず、そしてさらに──


「!?どうして、なんでだ?」


男が足で踏み続けていたはずのブラッドが、居なくなっていた。


「?一体どういう…」


「術、ってご存知かしら?」


「あ?」


「むふ」


男の景色が急激に変化する。それは、捕縛され、今にも逃げ出しそうな表情をした己であった。


「貴方はねぇ、術にハマっちゃったの。ね?術って、貴方の言うような固有能力(ユニークスキル)?では無いけれど、貴重なものなのよ?」


「あぁ、その通りだ」


男の目の前にいるのは、薄灰色の囚人服を着た、女術使い、ヨーネ。そして、その隣に堂々と立っているのは。


「ブラッド、ブラッド・リ・ディアベルだとぁ?!」


「そういうことだ」


ブラッドの振り抜かれた拳で男の首は一回転し、直ぐに絶命した。


「さて、あとは──封印(シール)


ブラッドは再び再生しないよう、男を封印する。

──封印(シール)。この魔法にかかったものは永久に、その魔法を掛けたものが自分から解こうとしない限りは身動きひとつ取れず、他のものからの干渉も不可。

封印(シール)解除は困難を極める。というより、不可能である。ただし、封印(シール)は魔法発動まで長い時間がかかるため、普段は当たることがない。


「しかし」


ブラッドは横を見る。


「ヨーネ、無事だったのか」


「えぇ、なんとかね」


「収容所に入れられた、あの後どうしてたんだ?」


「うーん?いつか助けが来ると思ってたわよ」


「いつか…って、俺が助けに来る保証はどこにも無かったぞ?」


「あら、そう?でも、私は、信じてるから。──貴方を」


「……そ、うか。」


「ええ。ところで、二人は?」


「あぁ、ここから南東にいったところに二人ともいるはずだ…特にラリは…」


「…?何か?」


「いや、もしかしたらラリは大分変わってしまったかもしれない」


「?」


「まぁいい。早く行け。ここは俺が止めておく」


「分かったわ」


ヨーネはブラッドに背を向けると走り出す。


「無事でね」


「お前もな」



ブラッドは僥倖だ、と感じた。


「しかし、ヨーネも察しが良くて助かるな」


『そうですね!』


「ん?お前も一旦返す(・・)ぞ」


『へ?』


「ここからの戦いは、多分この街の消滅じゃ抑えられないからな」


『ふぁ?』


「んじゃ、さよなら〜」


精霊召喚サモンオウンエレメント解除。


『ブラッドしゃまぁぁぁあ!?』



感想が欲しい今日この頃。

毎日更新は難しいです。

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