第四十五話 戦闘
ブラッドはもともと異界召喚者の情報を前もって調べておいた。
それは、もし仮に異界召喚者にこれから出会っても分からないかもしれないから、である。
見過ごせるわけが無い。
ブラッドにとって、危機となる可能性は非常に大きい。
「……女神を吸収したことにより、女神の知識が手に入ったがな」
ブラッドは女神を吸収した際に、異界召喚者計二十名の存在を知った。
全て分かる。
先程すれ違ったのは、忍浅葱。
女神が付けたランクによれば、S。
確かにそれはブラッドの目から見てもかなりの量の魔力量であった。
「追わねばな」
ブラッドは彼女をおう為に迷宮へ再び入ろうとする。
「受付嬢、あの女は何層くらいにいるんだ?」
「んー、今九十層くらいらしいわよ」
「きゅ、九十層……?」
流石にブラッドは引いた。
「まぁ、だったらより一刻も早く行かねぇとな」
ブラッドは魔法で瞬身となる。
「うわっ、ぷ」
ブラッドが通った後は風しか残っていなかった。
「……」
──迷宮五十層。
「攻略!」
全速力。
それでも幾分かかかってしまう。
もっと、早く──
「転移で階層ごとまたげないか?」
『やってみる価値はあるかもしれませんね』
「……やるか…!」
ブラッドはかなりの魔力を注ぎ込んで魔法を発動させる。
高難度である転移魔法、その最上位魔法。
「次元転移」
──ズズズ、と身体が沈んでいくような感覚がした。
「ぐ、ぅ、っ!?」
ブラッドは強い違和感を覚えたが、何か峠を超えたような感覚に陥る。
「…ふぅ」
ブラッドは成功した。
「階層をまたげたか…」
いまが第何階層なのかは不明であるが、しかし──行けるところまで行く。
「さぁ、いくぞ──ッ!次元転移!」
◇
浅葱は第九十層へ転移する。
そこで、迷宮攻略連合のもの達が闘っているのを目視した。
「──援護しないと…!」
浅葱は一旦休憩がてら迷宮外へ出ていたが、戦闘の連絡が来て急いで来たのだ。
「戦闘は、どんな状況?」
近くの潜伏兵に聞く。
「戦闘開始からおよそ、二日経過しています!」
「…ッチ!今回のボスがそんなに強いの?」
「先兵は殆ど壊滅状態。ディアベル様も満身創痍です!現在はレズリック様が止めておられますが…」
「……!?レズリック?アイツは戦闘に使っちゃダメじゃない!」
「とにかく、浅葱様が来るまで耐えるとのことで」
「……」
浅葱は、人智を超えた速度で駆け出す。
迷宮第九十層、そこは森林と火山のおりなす幻想的な場所。
火山の山頂付近で戦闘が行われているようだ。
ダン、と地面を踏みこめば、大地は軽く割れる。
ヒビが入った地面の跡が、まるで雷の通った跡のように後光をひいて過ぎていく。
「……」
そして、着いた。
あまりにも早い到着。
それと同時に刀と手裏剣を構えた浅葱。
「お前か──っ!」
「あ?」
「人型の、モンスター!?」
「なんだ、おめぇ」
「…」
浅葱が見る限りそのモンスターは人型で、二本の悪魔のような角を生やしていた。
近くには横たわる男がいる。ディアベルだ。
浅葱は今まで戦ってきたものと比べて、小さいとそう感じた。
弱そう。とも。
「はっ」
とにかく敵である事は間違いなく、レズリックによる移動阻害がかかっているなら決めるしかない。
浅葱は手裏剣を投げ、それと同時にクナイを投げる。
刀を携え駆け出す。
「ほっ」
その人型モンスターは男の形をしていた。人型悪魔とも言えるが、それは手刀で手裏剣を切った。
「ん?」
手裏剣が爆発した。手裏剣には浅葱の込めた爆発が入っている。
破壊による強制発動だ。
「ごぁっ!?」
吹き飛ぶ悪魔のその先にはクナイが先回りして飛んできていた。
「オラッ」
それに咄嗟に反応し、拳でクナイを弾く悪魔。肉体強度はとてつもない。
だがしかし、
「はぁっ!」
その真上から浅葱は二本の刀で切り裂く。
はずだった。
「……ガード〜」
「……これは──っ、魔力障壁か!」
浅葱は咄嗟に飛び退く。
「勘がいいな娘。あと一秒遅ければ消し炭にしてやったと言うのに」
魔力障壁は、相手の魔力量に依存して硬度が決まる。
今回の相手は──
(──強すぎる!あのガードを崩せない!)
魔力障壁は、無敵のような存在で、相手に故意に魔法を使わせ魔力を消費させない限り、硬度は落ちない。
また障壁外からの攻撃は弾くが、内部からの攻撃は通す。
故に厄介。それに、単純な体術だけでも浅葱には分が悪い。
「核撃」
浅葱はLv8魔法を使用する。
それは核撃。爆破による吹っ飛び効果もあるが、今回は閃光という意味で浅葱には役立つ。
魔力障壁は光までは遮ることが出来ない。
「ぐ!?」
「大丈夫?行くわよ」
ディアベルを抱き、浅葱は一旦逃走する。
「立て直さないと……!」
更新頻度を上げたいと思っています。




