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悪逆の魔法使い  作者: こんぶ
南国編
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第四十四話 追う

「やっと、か」


「はい…!」


迷宮(ダンジョン)へ入って、十六年。

持ち運んだ食料も無くなりかけたその頃──


ようやっと、ラリは魔法を会得した。


「まだ魔法Lvは低いがな。人間種(ヒューマン)の最高Lvが10だ」


とは言え、今のブラッドならLv限界なし、なのだろうが。


「10?7じゃないんですか」


「ん?どうだったかな?俺もあまり覚えちゃいないがな」


「…えー、覚えてないって、それ結構大事なことじゃ?」


「大事な事か?」


「……」


ラリは鋭い目でブラッドを見た。


「だいたいブラッド君はそういう所がダメなんですよ。いちいち覚えてない〜とか言って」


「覚えてないものはしょうがないだろう」


「いやいや、ブラッド君なら覚えられるでしょう?」


「えー、めんどいな」


「め、面倒くさいって……」


「はぁ。とにかく、魔法が発現したのはいい事だ。また使ってみろよ」


「はい」


ラリは魔力を右腕に集中させる。


「はぁぁ、雷球(ライトニングボール)!」


「…」


魔力の動き、それから魔法展開術式。


なかなか良し。


「ふむ」


ブラッドは一般人がギリギリ捉えられる程の速度の雷球(ライトニングボール)を片手でキャッチして握り潰した。


ビリビリと電気が流れる。


「なかなかの高威力、今の層──五十層程度なら十分通用するな」


「本当ですか!?」


「あぁ」


ブラッドがラリへ雷球(ライトニングボール)を習得させたのは様々な理由があるが、まず○○(ボール)系統の魔法は全ての魔法に通ずるものがあるという点。

また雷系統の魔法は汎用性が非常に高い点。

そして、雷には感電作用が付与効果である点、などだ。


「まあ魔法破滅マジックディストラクションやそれら無効系統の魔法を持つものがいる場合は話が別だがな。そこまで高位の者と出会ったら自分が不幸だったという話だ」


「それは分かっていますが…やった。ついに魔法習得か!」


「それに、ディアとヨーネ、お前たちも体術が仕上がっただろう」


「流石にブラッドレベルじゃないがな。ラリとなら良い勝負が出来るぜ」


「私も、なんだか久しぶりに熱くなってやってみたけど、長く時が経ってしまったけれど、いい経験になったわ」


「そうですか。良かったです」


ラリが答えた。


「じゃあ、迷宮(ダンジョン)攻略、続けるか…?」


「うーん、一旦帰るのはどう?五十層ってキリがよくない?」


「そうですね。僕はヨーネに賛成です」


「そうか。俺もヨーネ派だ。一旦、帰るぞ」


ブラッドは円盤型のアイテムを投げる。


「転移!」


皆の視界が一気に変わった。



「……」


受付嬢マリーは珍しい奴らが居たものだ、と感心していた。


「そろそろ五日か」


五日。

基本そこから動かない彼女は常に行き来の総監督を務める。


迷宮(ダンジョン)への行き来は彼女が統制していると言っても過言ではないだろう。


「あんな初心者、十層で詰みそうなチームが、五日──約二十年も頑張る……か。いや、もうどこかで力尽きて倒れた可能性も──」


その可能性に思いを巡らせ、それがありえないことだとマリーは思い出す。


「あの男がいるからそれは無いか」


あの男。黒めの服装をしていた男だ。この灼熱地帯で、だ。

それは、マリーを震撼させた。

初めて見た時、彼女の内心は、絶望で埋め尽くされていた。

それほどまでの魔力量だ。


一般に、魔法使いは魔力量だけでは測れない。

しかし彼は違った。

彼は魔力量だけで語りかけてくる。

それだけで、押し潰されそうになる。それほどまでの魔力量だった。


「……あの男を倒すためには、うーん、そうね。一個師団クラスの戦力が必要ね……そう、まず──」


ダンジョンからの転移音が聞こえる。


「……?」


「…ふぅ」


ジキジキ、と形容し難い音を出しながら彼らが帰ってきた。


「……」


それは、ブラッド達である。



「久々の外の空気だな」


ブラッドは歩き出す。


「ほれ」


「……」


受付嬢に侵入許可証を渡した。


「分かりました。お疲れ様です」


「あぁ」


ブラッドが一番にラリーへと侵入許可証を渡した。そして、木の床を踏み、歩き出す。

受付嬢のいる所だけは、迷宮(ダンジョン)へ入る際に必ず通らなければならない道だ。

そして、そこだけ木製の小屋のようになっている。

質素だが、かなり大きい。

一応、椅子や机もあるが、ブラッドは今のところは利用者を見た事がなかった。


(まぁ、この女が原因だろうな)


常に張り詰めた空気の中では、いつか萎んでしまう。

そういうものだ。


「…よし、じゃあホテルに帰るか」


ブラッドは泊まっているホテルへ帰ることにする。


そうしてブラッドは後ろへ語りかける。


「明日の朝、また集まるぞ」


「はい」


「おー」


「ええ」


三人の返事が聞こえた。

それを聞いてブラッドは自分が泊まっているホテルへ歩き出した。


そこで、髪の毛を一本に縛っている女とすれ違う。

かなり急いでいるようだった。


そして、ブラッドは少しして振り返る。


「…………」


目を大きく開いて。


「……おい、アンタ。受付嬢」


「……?私はマリーですよ」


「あの女──一体…?」


「…?あぁ、浅葱ちゃんのことですか?」


「……忍、浅葱か…!」


「あ、流石に有名でしたか?」


「いやぁ」


──一度しか聞いたことがない、とブラッドは付け足す。


「……くっ、今からまた迷宮(ダンジョン)へ入り直す」


「え!?」


「お前たちは休んでろ、俺はあの女を追う……!」


ブラッドは厄介な事になったと思った。


「異界、召喚者か──ッ!」



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