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悪逆の魔法使い  作者: こんぶ
南国編
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第三十七話 第五層

「……まぁ、そんなことは理解している。だが、大丈夫だ」


ブラッドは、大きく出た。


「だいたいアンタがそう言って止めれたやつらはいるのか?いても極小だろ。大半の奴らはその冒険心を爆発させたはずだろ」


「…はぁ。そうですねェ、特に貴方のような実力を伴った方が一番面倒ですよ」


「んじゃ、書類にサインしたから入っていいよな」


「…はぁ、頼むから──」


ブラッド達は、歩き出す。


「──死なないで下さいよ」


悲哀のこもった声であった。



転移門から五層までは一気に転移することが可能だ。


「じゃあ何層まで転移する?」


「んー、我々は攻略を目指すので五層で良いのでは?」


ブラッドは迷宮(ダンジョン)に慣れるため一層からの方が良い気がしたが、意見を取り入れないのはなんだか嫌な気がした。


「分かった、じゃあ五層へ行くぞ」


転移門から、数値を入力し、五層まで転移が始まる。


──ぐわんぐわんと視界がブレる。

気持ちの悪い感覚だ、とブラッドは思う。


(他人の転移など)



第五層に転移する。


「…ここが、第五層。【羨望】の間か」


一から五層の情報は既に公開されているので、攻略は容易なはずだ。


それに、階層ボスはとうのまえにいない。


湧き出るのは、迷宮(ダンジョン)モンスターという、迷宮(ダンジョン)限定の【敵】。


それは、人だけに敵意を向ける訳では無い。


外のもの、全般に、だ。


そういう風に、まるで迷宮(ダンジョン)の外とうちとでは世界が違うように、それらは都合よく発生する。


発生だ。


原理は不明。


「…ここに湧き出るモンスターは、殆どが(サンド)系統のモンスターだ」


ブラッド達の目前には、広大な砂漠が広がっている。

どこまでも続くようだが、前の方にポツポツと点のように人が見える。

恐らくは先人たち、他の迷宮(ダンジョン)攻略者だろう。


「しかし、不思議な場所ですね」


「あぁ」


建物の中だと言うのに、陽の光があるという点である。


「…これが、迷宮(ダンジョン)


陽の光に照らされる暑さに、ここが建物内であることをブラッドは忘れそうになる。


「あらゆる法則さえ、無視するか」



「建物の中は、こんなに広そうじゃなかったのに」


「何らかの技術で、空間を拡張させているんだ。それが魔法なのか何なのかは不明だが」


──だが、それが恐ろしく高度な技術であることは自明の理であった。


「さて、と。いきなり一匹登場か」


──第六層へと向かう道を探す中、砂から現れた一匹の迷宮(ダンジョン)モンスター。


「陣形、いいな。ヨーネ、術を頼む」


「はいよ」


ヨーネが幻術として分身を発生させる。


魚のような形をした、砂を泳ぐモンスターは困惑する。


「今のうちに俺が強化(バフ)をかける」


ブラッドは全員に魔法をかける。


身体強化フィジカルリーンフォース攻撃力強化(ダメージアップ)防御上昇(ブロック)生命力上昇(ライフライズ)致命強化リーンフォースデッドリィ灼熱耐性(ヒートカット)敏性強化リーンフォーススピード神聖なる加護(ブレスオブゴッズ)


──それだけでない大量の強化(バフ)魔法が皆を包んでいく。

全てが付与(エンチャント)されている。


「すごい、なんていう感覚ですか」


「何でも出来るような感覚だ」


「さぁ、行くぞ」


『とはいえ前線は任せるんでしょ〜?』


『まぁな』


心の中でブラッドは笑った。



忍浅葱は、迷宮(ダンジョン)攻略連合の副隊長であり、最前線を行く。

──現在、迷宮(ダンジョン)八十八層。

彼女の天才的才能は、戦闘面に於いても全面発揮された。


「そっち、大蛇がいったよ」


「上から骸骨馬(スケルトンホース)が降ってくるぞー」


前線に出るのは戦力が高いものたち。

現在、八十八層において、殆どの地帯は開拓された。

残るは、階層ボス程度だろう。

──忍浅葱の能力は、忍法。

忍者の如き力が使えるということに、迷宮(ダンジョン)に入って三ヶ月程度で分かった。

異界召喚者。

召喚されたばかりの時の力は大した事はない。

しかし、彼らの最も恐ろしい点は、その成長速度であった。


「ふん!」


刀を振るう。

その刀は浅葱本人の魔力で創造(クリエイト)した魔刀。

忍者のその刀捌きは達人のそれを遥かに凌駕している。

八十八層ボス、炎獄の魔人(デビルオブフレイム)

それと一対一で対峙する。それと互角に渡り合う。


「流石、異界の者だ。強え、強すぎる」


魔法を、忍法を、剣術を使い浅葱はそれを単体で討伐する。


「アイツが迷宮(ダンジョン)攻略連合二番手なのは、単純な強さ故だ。一番手のディレベルさんは創設者というのが大きいが、それを抜いたら間違いなく、忍浅葱、アイツが最強だよ」


──。


「さぁ、八十九層へ行くよ」



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