第三章 修学院 ーーーー別宮の侍女
最近 よく王宮で瑤公主をお見かけするようになりました。
手には書物をお持ちになり 輿にも乗らずに王宮の北の方へと
お出かけになっております。
足早に衣の裾を軽やかになびかせながら歩いて行くお姿は
公主さまらしいとは言い難いのですが颯爽としており素敵です。
お供の侍女は慣れない早歩きについて行くのがやっとの様子です。
瑤公主は毎日のように修学院へと行かれているそうです。
修学院とは臣下のご子息や公子さま達が勉学されるところです。
女の方が それも お披露目を終えた公主さまが行くことは
決してありえないことですが
王が特別にお許しになったのでした。
あの宴の後 六人の公主さまたちには
ひとつの願い事が許されました。
姉妹の公主さまたちが 玉や絹布や渡来のものなどをお願いする中
瑤公主は修学院に通うことをお願いされたのでした。
その場では笑って相手になさらなかった王でしたが
日を改めても何度も何度もお願いされたそうです。
あまりの度重なる願いに王が根負けして
修学院の講師の講話が理解できたならば と条件を出されました。
講話のお題は修学院の生徒が学ぶのと同じものです。
書物を多く読まれていると言われている瑤公主ですが
ずっと学問をされているご子息さまとは違うはずです。
王も修学院の講師も これで瑤公主は諦めると思っておりました。
でも結果 瑤公主はご希望どおりに修学院へと通うことになりました。
講話をした講師は
瑤公主は誰よりも理解し 勉学に対して誰よりも意欲的で
是非ともお教えしたい生徒でございます と
王に奏上したそうです。
はじめは公主さまが来るということで面白く思われないご子息たち
そわそわしていたご子息たちおのおのでしたが
いざお会いして見ると 正直みなさま落胆されていたそうです。
修学院に行かれるときには髪飾りも付けずお出かけになっているので
ご兄弟の公子さまたちよりも地味なお姿でしたし やはりなにより
平凡なお方ですので・・・・。
でも講義を重ねるたび 気にもかけていなかった公主さまが
いつのまにか輪の中心になっていることが多くなっているようです。
なかでも実弟の泓太子は瑤公主のことを姉上さまと呼び
講義の合間にはいつもおそば近くにいるそうです。
瑤公主はご自身の言葉をはっきり発するそうです。
年下にとはいえ自分の意見をまっすぐに言う女子を見るのは
初めてでしょう。何より弁がたちます。
珍しくもあり 恐ろしくもあり。
遠巻きにしていたご子息たちも次第に輪に加わっていったようです。
そして瑤公主はいつも あの大きな笑い顔で そこにおられるそうです。




