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第二章  宵宴   ーーーー 別宮の侍女 

明かりが灯されました。

水辺に浮かぶ今宵の宴の場は

初夏の夕暮れ時には例えようのないほどの幽玄さがあります。

穏やかな音楽が流れる中 朝臣たち成人されている公子公主さまに続き

妃さまたちが お出ましになりました。

華やかで艶やかで 皆 柔和な微笑みをたたえております。

柔和なのですが わたくしはこの微笑みがどうも苦手でございまして

いつも伏せ目がちになってしまいます。

王と王后のお越しの声がかかりました。

皆一斉に立ち上がりお迎え致します。

お二人揃ってこちらも柔和な微笑みでお席にお着きになりました。

宴の始まりです。


美しい音楽 舞姫たちの舞 剣舞

みなさま 歓談なさりながら飲み食し宴は進んでゆきます。

今回お披露目となる公主さま方のお母上の妃さまたちが

順に王と王后へ感謝を述べております。

もちろん ご自分のお子の売り込みも忘れておりません。

公子公主の婚姻は王の一言で決まってしまうものですから。

王は美しく賢く成長しているらしい公主さまたちのことを伝えられ

大変お喜びのご様子です。


王が内官に何やら促しております。

いよいよ今宵の主役 公主さまたちのお披露目となりそうです。

お一人ずつ お名前を呼ばれ王と王后の前に進み拝礼します。


瑤公主 環公主 當公主 聆公主 瑛公主 樺公主


みなさま これからの群舞のために同じお衣装を着ております。

華やかな容姿のご姉妹の中 瑤公主はやはり平凡で。

瑤公主のことが ずっと気になっております わたくしは

とてもみじめな気持ちになり また伏せ目がちになってしまいました。

ひと通りのご挨拶の後 公主さまたちの詩楽となりました。

人々のさざめきの中 清らかな声が響き渡りました。

鈴を振ったような清らかで しかし はっきりと意志を感じるお声

あのお声です。

顔を上げ声の主を探しました。


瑤公主は宙を見上げ朗々と詩を謳っておられました。

白い喉を すぅっと伸ばして

宙を見上げて朗々と謳っております。

皆 我を忘れたように見入ってしまい目が離せないでいました。

鈴の音のような涼やかで清らかな 

瑤公主の声だけが ただ響きわたっておりました。


ほんの一節の詩で 間もなく楽器が鳴り群舞となり

一気に華やかになりましたが 

みなさま しばらくは瑤公主から目が離せなくなっていました。

見事 謳い終えた瑤公主は ほんの少し頬を染められ

ほんの少し微笑みながら ご姉妹の群舞をご覧になっております。

瑤公主の微笑みは 何故か苦手ではございませんでした。




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