第二十五章 初賀 ーーーー 桀王
また新しい年が来た。
この祝宴が終われば年始めの行事もひと段落だ。
毎年同じことばかりで目新しい事などないこの行事だが
今年は太子が妃を迎えての新年だ。
昨日は太子妃が除夕の挨拶に妃たちと一緒に来たが
地味すぎて名乗るまで気がつかなかった。
婚礼の宴から特に用もなかったので放っていたので
対面したのは本当に久しぶりではあったが変わらず地味な妃だった。
特に昨日は妃たちが艶やかな色の衣を身にまとっている中
なんだか薄らぼんやりした色の衣装を着ていた。
地味さは年配の照夫人と同じくらいである。
まあ目立たないのは太子とて同じなのだが。
今日の新年の挨拶には夫婦揃っての挨拶となるので
うっかり見逃すこともないと思う。
少しは気のきいた言葉でもかけてあげようか。
太監が式の始まりを告げる。
最初に あれらが呼ばれるはずだ。
太子殿下 太子妃殿下 拝礼
さえない二人が入って来た。
太子のみが着ることの出来る白の礼服を揃いで着ている。
礼服の白のせいか降り注ぐ陽が当たってその場が明るく見える。
・・・・なんだ おかしい
太子が立派に見える。
妃が美しく見える・・・いや違う。
太子はあの太子だ。
妃もあの妃だ。
なのに二人並ぶと なんだか雰囲気が違って見える。
陛下に新年のご挨拶を申し上げます
あまりにも印象が違うので しばしの間 二人をただ見ていたらしい。
太監に小声で促され はたと気がついた。
ああ と言いながら立ってよしと右手を挙げて応える。
恭とあの妃 瑤・・・と言ったか。
恭はめずらしく穏やかな顔をしている。
瑤は相変わらずの・・・
しかし ふたり並ぶとなぜかそれぞれの時とは違って見える。
二人が席に着くと きらびやかな我が妃たちの騒がしく派手な挨拶へと続く。
いつもならばここで軽口を叩くところだが どうもあの二人が気になる。
妃たちの挨拶を受けながらも横目で白い二人を見ている。
恭と瑤 静かに笑い合いながら楽しげに話をしている。
そちらの方がとても気になる。
宴の時にも妃たちに酌をされていてもあちらが気になる。
思わず声をかけてしまった。
太子妃 こちらでの暮らしにも慣れたか
暖かい郭でぬくぬく暮らしていたので この寒さはこたえるだろう
歩けんほどに着込んでおけ
持っている衣は全部引っ張り出せ
またこんな言い方になってしまう。
恭は少し困ったような顔をしている。
でも瑤は くしゃっと笑い
確かにそんなに着込んでは歩けません 転がるしかありませんね
と言い からからと笑った。
その場がふっと和らいだ。
瑤の笑い声はなんとも心地よい笑い声だ。
この娘と今しばらく話してみたいと思った。




