第二十一章 心暖 ーーーー瑤公主
また巾着に入った石ね
思わずくすりと笑ってしまった。
初めてのこちらの冬 寒いかと聞かれ 寒いです と答えたら
その後で ひとつの巾着を持ってきてくれた。
太子さま自ら持ってきてくれたそれは ふんわりと暖かかった。
温石は
普通は治療のために使うものですが
私はこれで暖をとっています
女性用の手炉は私の手元にはないので
代わりになれば・・・・
静かな声で
ゆっくりとそう言って渡してくれた。
巾着は男性の模様なので ご自身のものなのだろう。
思いがけない心遣いに驚いてしまった。
手のひらにすっぽりと収まる大きさ ふんわりふんわりと暖かい。
よかった 嫌われてはいないみたい
そう思えて心まで暖かくなっていった。
あたたかいです
ありがとうございます
笑ってお礼を言うと太子さまもぎこちなく笑ってくださった。
笑ってくださった そう思って ぼんやりと見つめていると
では と言って太子さまはそのまま振り返り
お部屋に戻っていかれそうになった。
わたしは思わず引き留めてしまった。
あの
少し お話しませんか
あの
香沈が
香沈が菓子を沢山つくったんです
なんともおかしな事を言ってしまった。
香沈も太子さまも え という顔をしている。
どうしましょう。
周りのものたちも息を潜めてこちらを見ている。
頬がほてってきた。
太子さまはまたぎこちなく笑って
では お茶をいただきましょうか
と言って静かに卓についてくださった。
香沈と数人の侍女たちは急なお茶の用意のために飛ぶように働きだした。
このように二人でゆっくりと話す機会を持てたのは初めてである。
いろんな事が聞きたかった。
太子さまの好きな事とか日々どのように過ごしているのかとか。
近くに住んでいながら全く知らない事ばかりなのだ。
でも今 ひとつ分かったことは
太子さまは人を気遣ってくれる方だということだ。




