第1章 7話 開戦前夜
いよいよ戦争が始まってしまう!!!
果たしてアヤトはどうなってしまうのか!!!
月明かりに照らされた草原はとても幻想的に見えた。星々は手を伸ばせば届きそうなほど無数に輝いていた。
数時間後、血の匂いと断末魔の叫び声がこだまする様にはとても思えなかった。
「指揮官殿、何考えてるっすか?」
レタゲドが明るい声で俺に問いかけた。
「うん。こんなにも綺麗な場所なのにこれから戦争になるんだろうなぁと思うと何とも言えなくてね。」
「戦争っすからね。しょうがないことっすよ。俺っちもこんな状況じゃなきゃ家の酒蔵を継いでたんじゃないか? って思うっす」
「お前酒屋なのか。見えないな」
少し笑みがこぼれる。
「まだ笑えるなら大丈夫っすね。明日頼むっすよ!指揮官殿に俺っちの命預けますから」
レタゲドは剣を鞘から抜き地面に突き刺し立て膝になり柄に手を置き頭を下げた。
「やめてくれよ。俺は確かに指揮官だけどレタゲドやみんなと同じただの人だよ」
「ダメっす。俺っちの命は今から指揮官殿に預けるっす。必ず勝つ。そんな作戦なんすよね?あの投石器だって勝つためっすもんね?」
そうか…お前も不安なんだなレタゲド。俺と同じように怖いし不安なんだな。指揮官として俺はどうしたらいいか悩んだ。だが、その悩みも一瞬で解決した。
未だ立て膝をついて俺を見上げるレタゲドの隣に回り同じ目線の高さにし、レタゲドの肩を抱く。
「勝つか負けるかわからん。指揮官の俺がこれを言っちゃいけないと思うが、正直に話す。わからん。だがな、負けるための準備をしてきたつもりはない!いいか、勝っても負けても絶対に生き延びろ俺の指示に従って生きられないと思ったらすぐに俺の指示は無視していい。絶対に生き延びろ。生きてる限り必ず次がある」
「わかったっす…」
レタゲドは涙声で返事をした。熱い涙だった。
しばらくして魔法士が休んでいる野営場にいった。
「やっぱり起きてましたか」
プシペィに声を掛けようとしたら向こうから声を掛けてくれた。
「寝れませんね。さっき兵士の一人から命を預けるって言われちゃいました」
レタゲドのことを伝えた。
「いい部下に恵まれてるじゃないですか。わたしもそういう気持ちでいますよ。みんなの命を預かってるって」
「命を預かってる…かぁ…」
ため息のように言葉を漏らしてしまう。
「命を預かるのは簡単じゃないです。でも同じところで寝て、同じところでご飯を食べた仲間を守るためにもあなたの指揮が大事なんじゃないかしら?」
「俺の指揮であいつらが守れる…」
何か吹っ切れた気がした。
「よし!やるしかないし、やるか」
「本当に世話が焼ける人ですね。あたしなんてもう覚悟決まってましたよ」
プシペィは笑っていた。
「ありがとう。明日はよろしくお願いします」
「さぁわたしは少し横になります。あなたも少しは休んでくださいね」
「重ね重ねありがとう。それじゃ自分の場所に戻ることにします」
野営地に戻るとレタゲドは寝息を立てていた。さっきまで涙流してたのに寝るの早いな…。
さぁ夜が明けたら戦いだ。こいつらを守るために。俺が帰るために。
「どうだいアヤト殿。投石器、使えるかい?」
翌朝早くにスピカルが声を掛けてきた。
「はい!組み立ても終わってるので問題ないです。何よりも兵士たちが朝早くから作業してくれたのであとは使う機会を待っている状態です」
「順調そうだね。今、魔法士の一人が千里眼で相手の出方を見ている。聞くともう進行しているようだ」
「朝早いですね。目視ではまだ確認出来てないですがどれくらい離れてるんですか?」
「うん。実はこの草原の向こうがちょっとした林になっているんだが、その向こうにいるようだよ。向こうもこっちの出方を見ていると思う」
「やっぱり魔法士がいるんですね…」
「そうなるだろうね。魔法士はこっちの専売特許ってわけじゃないからね」
「こっちは投石器もあるしプシペィ率いる魔法士隊もいるし勝てますよ」
「よし!そのイキだアヤト殿。さて声を掛けてくるかな」
そう言って軍全体の前に出ていった。
「諸君!今から戦争が始まる!戦いが始まるのだ!これは訓練ではない!未だに戦いにしり込みしている者も正直にいるだろう!だが、わしは国に残した家族を守るために戦う!戦う理由は様々だ!なんでもいい!お前たちが戦うことで救われる人がいる!守れる人たちがいる!そして最後にこれだけは覚えておいてほしい。お前たちが帰ってくることで喜ぶ者がいるだろう!涙を流し再開を喜ぶ者たちがいるだろう!生き残るために最善を尽くせ!今回勝つことが最良ではない!まずは生き残ることを考えろ!そして願わくば勝とう!」
「うおぉーー!!」
兵士たち、魔法士たちが雄たけびを上げた。地面が震えるほどの雄たけびだった。
「さすがですねスピカルさん」
俺は演説が終わったスピカルに声をかけた。
「あぁ、老兵も少しは役に立つだろう?士気を上げるのもわしの仕事だからな」
スピカルは笑っていた。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
凄く楽しく書けてるので嬉しいです。
読んでくれた人本当にありがとうございます!




