第1章 6話 開戦前日
いよいよ戦争に突入しそうになったガラム王国
アヤトは指揮官任命され新しい人物も出てきた。
さぁアヤトは今回はどうなるのか!!
「とりあえず1台完成しました」
あれから2日後のことだった。
「おぉ、アヤト殿、早かったですな。ありがとう。じゃあ見に行こう」
「試しに打ち込んでみたいんですがどこに向ければいいかわからなくて…スピカル様に来ていただくとありがたいです」
「スピカルでいいぞ。アヤト殿から様付けはどうもむず痒いな」
「ではスピカルさん。案内します。ただ結構な大きさなのでかなり遠くに打ち込んでしまうことになります」
「あぁ、移動が難しいかもしれないが東の森のほうに向けたらいいだろう。今は狩人たちも森に入る時期じゃないから人はいない」
「わかりました」
投石器の前に案内するとスピカルはあまりの大きさに驚いていた。
「これは大きいですな。城の屋根くらいまであるのではないか?」
「はいかなり大きいです。兵士たちにも手伝ってもらわないといけないです。ただ、手伝ってくれた兵士にも使い方を教えているので戦時も彼らがこれを扱ってもらおうと思っています」
「なるほど。いい案だ。さて早速だが、打ち込んでもらいたんだが、移動は大丈夫かね?」
「じゃあ移動お願いします!場所はスピカルさんに聞いてくれ!」
兵士たちに指示を出す。あまりの大きさに兵士たちも10人がかりで動かす。ズズズと引きずるような音がする。土の地面には跡がついている。
設計の段階である程度重たくなるのはわかっていたから石で車輪を付けてみたのだがあまり効果はなかったようだった。
約30分かけてスピカルの指定した場所についた。着いた時には兵士たちは汗だくで肩で息する者、地面に倒れこむ者様々だった。
「かなり重いようですな、この投石器は。実戦で使えるのだろうか?」
スピカルは少し難しい顔をした。
「これ…重たいっすね!ただ…もしかしたら分解とかしたらどうっすか?分解して現場で組み立て…どうっすか?]
口を開いたのはなぜかこの2日で俺に懐いてきた男、名をレータゲードと言った。
「なるほど、それは良い考えだレタゲド!」
俺は名前がちょっと長いと思いこう呼んでいた。
「ふむ。分解、組み立てで時間がどれくらいかかるのか?それは兵士たちが作れるのか?アヤト殿の腕をもう少し見せてもらおう」
「はい。ちょっと兵士たちと話し合ってみたいと思います。それでは、少し休んでから威力を見せます」
「よし。そうしよう。じゃあ休憩だ」
兵士たちはこの声を聴いたときにみんな地面に倒れこんだ。やはりこれは分解して持っていくのがいいな。
休憩後、近くに転がっていた石をかき集めて投石器に設置しすぐにでも放てるようにした。
「あとはこの棒を前に倒すとストッパーが外れて思いっきり遠くに石が飛んでいくというものになります」
「よし。じゃあレタゲド、その棒を倒していいぞ。掛け声をかける。そのあとに前に倒すんだそうだ。」
「では行きます。3.2.1.0」
掛け声は俺がかけた。
レタゲドが棒を思い切り倒した。
バシンと弾けるような音がしてストッパーが外れた。その瞬間、設置していた石が思い切り前方に飛んで行った。数秒後、森のかなり深い場所でズズンという低い音が響いた。数秒後音がした方から土煙が上がった。
「これはよく飛んだなぁ…」
スピカルは目を丸くして土煙の方向を見ていた。
「うっひゃー!凄い威力っすね!」
レタゲドは無邪気に驚いていた。
「この遠距離であの破壊力。と言ってもちゃんと現地を見ていないのでどれくらいかはしっかりとはわからないですが、かなりの威力かと思います。どうでしょうかこの投石器」
俺が聞くと少しいたずらな顔をしたカスピルが言った。
「あとは持ち運びをどうするか…だね。」
「頑張ります」
そう答えるしかなかった。ただ、スピカルは確かに「あとは」と言った。威力、攻撃範囲については申し分ないということだろう。お墨付きをもらったようでうれしかった。あとは数台作って持ち運びもより簡単にしなければいけない。これに時間がかかってしまった。
残すところあと2日というところでやっと完成した。これを兵士たちに渡し、ある程度使えるようになった兵士たちからほかの兵士たちに使い方を教えてもらえばそこまで時間はかからなかった。
同時作業で作戦も考えていたのだが、スピカルがかなり作戦を練ってくれていたのであとは俺とプシペィの連携が取れていれば問題はないように思えた。
「さて、明日には出発し接触予定の場所まで移動しなければならない。大丈夫かね?」
スピカルは重たそうな口を開いた。やはり戦争はあまりしたくないのが本音という感じだった。
「はい。とりあえず投石器はできました。あとはプシペィさんと俺とでもうちょっと連携を練る感じですね」
「そうですね。まだアヤトさんは魔法士の特性などまだしっかりと理解できていないところがあるようなのでそこが理解できればもうちょっと兵士たちとの連携も取りやすいかと思います」
「う…すみません…」
「ふむ。若い子たちは元気がっていいな。まぁそこはちゃんと頑張ってもらえばいい。時間は無いから早めに動くようにな。今日はこのくらいにしよう。最後に一言いいかな?」
と言ってスピカルが一息置き続けた。
「戦争はどんなことがあっても悪だとわしは思ってる。軍人のわしがこれを言うのもおかしいが、人々が傷つき死ぬのはつらい。だが、わしは守るために戦うつもりだ。いいか、絶対にお前たち若い芽を殺させたりしない。わしが守りたいのは家族と若い者たちだ。前置きが長くなったな。絶対に死ぬな。生きろ。これは最優先で守ってほしい命令だ。」
「わかりました!!」
俺とプシペィは力強く返事をした。
言いようのない不安が広がって、そのせいかイライラが募っていたが少しふっと重荷が減ったような気がした。
だがこれからあと2日も経たずに戦争が始まってしまうという恐怖は心の中にしっかりと影を落としていた。
翌朝、鎧に身を包みながら昨日のスピカルの言葉を頭の中で反芻していた。生きて帰る。
戦争に行くことがこれほど恐怖になるとは思わなかった。元の世界で異世界転生のラノベを読んでたときはワクワクしてる場面だったのだが…。
異世界に来ても俺は特別な能力は無い。人をこれから殺すことになる。これから自分が死地に向かうことになる。考えがグルグルと回り自分の動きが遅くなっているのに気づく。
「アヤトさん、さぁ行きますよ」
笑顔のプシペィが俺に声をかけてきた。ただその笑顔は作り笑顔だった。やっぱりこの子も怖いのだな。
「はい。行きましょうプシペィさん」
こちらも作り笑いで答えた。
そこからは一言も交わさずにスピカルの部屋へ向かう。
「兵士指揮官アヤト、魔法士指揮官プシペィ、準備整いました。スピカル元帥、出発しましょう」
「そう力を入れるなアヤト殿、元帥なんて呼んだことないだろう」
笑いながら部屋から出てきたスピカルは例の穏やかな笑顔で鋭い目つきだった。
その鋭い目からはこれからの戦争に並々ならぬ思いなのが分かった。
「さぁ行こうか。この国を守りに」
穏やかな口調ではっきりと力強く言い放った。このスピカルの言葉で少しは気持ちが楽になったような気がした。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
今後、物語は加速していく!予定です…
面白くなっていくように頑張りますのでよろしくお願いします。




