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玄関を開けたら異世界でした  作者: 鈴木寛大
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第1章 2話 出会い

玄関を開けたらいきなり異世界!

森の中を歩いていたら人がいた!

さぁアヤトはどうなるのか!!

 いろいろと教えてくれた女性はチェリオと名乗った。住むところがないこと。旅をしていること。

そしてガラム王国について何も知らないこと。嘘も方便という言葉があるがこういう場合に使うんだろうなと思った。

 チェリオは家に入れてくれた。家には暖炉があり、よくわからない香辛料らしきものが天井から干されていた。見たことが無いものは意外となかった。日本の田舎にでも行けばこういう風に質素な感じの家はあるのだろうなぁという感じだった。

「へぇ、旅をしてるんかぁ。どこから来たんじゃ?」

チェリオさんは俺の旅の話を期待していたが、そこはうまく隠した。

「ところでチェリオさん。わたしはガラム王国のお金も持っていなくて何もこの先何もできないのですが、もしよければ少しここで働かせてはくれませんか?」「あぁ、いいよぉ。今このマサラ村は若い人達が全員王都に行ってしまってね。若い人手がほしかったところじゃ」

 ありがたいことに良いと言ってくれた。むしろ人手が欲しいのかもしれない。ここで少しこの世界について学ばないとこれからの情報収集が難しくなるかもしれなかった。

「早速ですが、チェリオさん、わたしも何か仕事をします。何をしたらいいでしょうか?」

「いやいや、今日はまずゆっくりとしんさい。おじいさんがもうすぐ帰ってくるからそこでもう一度話すべ」

 しばらくチェリオさんの家で話していた。なぜ若い人がいないのか。

「今、ガラム王国は隣の国と戦争になりかけておるんよ。わしらがまだ若いころにも戦争があったが、今まではずっと平和でのぅ。何がきっかけで戦争になりそうなのかはわしにはわからん」

 とのことだった。なるほど。多国間との緊張状態。どこの世界でも戦争はあるのだなぁとこのときはのんきに考えていた。

 しばらくするとチェリオさんの家のドアが開いた。

「あ、お爺さんが帰ってきた!」

 チェリオさんは笑顔でお爺さんを迎えに行った。ちょっとしてからチェリオさんに手を引っ張られてお爺さんがやってきた。

「お邪魔しております。わたしアヤトと申します。少し事情がありお邪魔させていただきました」

「あぁ、婆さんから聞いとるよ。わたしはチェリオの夫のコカ・ビターサンじゃ。大変だったようじゃの」

コカさんは優しい顏で穏やかに俺に応えてくれた。

「あぁ、そうさな。今日はもう仕事はないからゆっくりしんさい。部屋は昔子供たちが使ってた部屋があるからそこを使えばいい。ベッドはそのままだったからほこりっぽくなってるかもしれんね。どれ、ちょっと待ちんさい」

 そういってコカさんは2階に引っ込んでいった。

「何から何まで本当にありがとうございます。コカさんは何をしに行ったんですか?掃除でしたらわたしも手伝います。わたしがお邪魔しているわけですし」

「いやいや、お爺さんとわしは少しだけ魔法が使えるんじゃ。だからもうすぐ」

チェリオさんがそういいながら階段のほうを見るとコカさんが笑顔で帰ってきた。

「アヤトさんとやら。部屋は今片付いたから自由に使ってください。ただし、明日からは仕事じゃ」

「お爺さん、最近魔法使ってなかったから使えることがうれしかったんだね」

チェリオさんはコカさんを茶化すように言った。

「これお前。そんなこと言うんじゃない。恥ずかしいべ」

コカさんは恥ずかしそうにしていた。

 二人とも楽しそうにしていたが、俺はずっとあっけにとられていた。この世界…魔法も使うことができるのか…少し聞いてみなければ。

「ちょっと部屋を見てきてもいいですか?」

「はい。どうぞ。お爺さんの魔法だから完璧のはずだべ」

 チェリオさんはコカさんをいたずらっぽく見ながらそう言っていた。本当にすごく仲のいいご夫婦だ。

 階段を上がるとすぐ2つの部屋があった。

「右の部屋を使ってください」

 下からコカさんの声がした。今のは偶然か?それとも考えていることまで魔法でわかるのだろうか?

 右の扉を開くと驚いた。確かに石造りの田舎らしい質素な部屋ではあるのだが、すごくきれいで掃除が行き届いている。昔子供たちが使っていたと言っていたがつい昨日まで居たんじゃないか?それくらい綺麗な部屋だった。

「凄い…」

 驚きの声を上げてしまった。

「凄いじゃないですか!」

 下に降りながらビターサン夫婦に伝えた。

「魔法というものを初めて見ました! 本当にすごいですね!」

二人とも驚いた顔をしてた。

「魔法を見たことないんか?」

「魔法を初めて見たってどこから来たんだい?」

 ビターサン夫婦はほとんど同時に言った。そんなに驚くようなことだったのだろうか?

「ここでは魔法を使うのは普通なんですか?」

「そうじゃ。魔法があればなんでもできるんよ」

「婆さんや、それは言い過ぎじゃ。魔法は自分で使える分だけ使うもんじゃ」

「あ、そうそう! 使える魔法と使えない魔法があるんよ」

 とチェリオさんも答える。本当に仲のいい夫婦だ。

 使える魔法と使えない魔法がある…どういうことなんだろうか。普通のお爺さんお婆さんが魔法を使うということはこの世界では魔法はポピュラーなものなのだろう。ただ、ビターサン夫婦が普通じゃないのかもしれない。ちょっと探ってみよう。

 この日の夜、ビターサン夫婦と夕食を一緒に食べた。玉ねぎのスープに目玉焼きに丸いパン。いたって普通な食事だった。見たこともない食べ物があるってわけでもないようだった。名前も玉ねぎは玉ねぎだったしパンもパンと発音していた。世界は違うが呼び名は同じ。ということはほかにも共通のものがあるかもしれない。そして帰る手段ももしかしたら結構早く見つかるかもしれないと思っていた。

 ただ、やはり魔法がある料理というのは面白いもので、チェリオさんが台所で一切種火が無い状態から指パッチンを鳴らすと一気に火がゴウっと燃え盛る。面白いもんだ。火力調節も火を直接触りながら火の大きさを変えていた。見ていて危ない!なんて声を上げてしまって二人から不思議がられてしまった。

やはり魔法を知らないというのは極端に珍しいのかもしれない。

 この日は夕食で他愛のない話をビターサン夫婦としそのまま部屋へ下がらせてもらった。さすがにいろいろありすぎて疲れていた。寝るところも手に入ったし仕事もできそうだ。しばらくやっかいにならせてもらおう。

読んでいただいてありがとうございます。

週1ペースで書いていくのでよろしくお願いします。

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