表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
玄関を開けたら異世界でした  作者: 鈴木寛大
21/34

第2章 11話 2度めの戦い

穴を掘り終わったアヤトとプシペィ

いよいよ2度目の戦いが始まる。

アヤトの作戦は上手くいくのか…!?

「どうだね?」

 3日後にスピカルは聞いてきた。

「はい。問題ないでしょう。結界を貼っているのでカイエン帝国軍はこの穴に落ちるでしょう。落ちなかった敵は魔法士部隊がどうにか落としてくれるようにしています」

「準備万端と言ったところのようだね。プシペィ殿はどうかね?」

「はい。問題ありません。この準備はほとんどアヤトさんがしました。こんな規模の魔法をほとんど一瞬で疲れも見せずに…」

 プシペィはこの場所を作るときの魔法を使った時にかなり驚いていた。

「うむ。魔法士指揮官としても大丈夫かね?」

 スピカルはまた聞いた。

「はい。魔法士たちは問題ありません。ほとんど出る幕が無い状態かもしれません」

「うん。じゃあ大丈夫だろう。アヤト殿、プシペィ殿、指揮は頼みます。ただ、指揮する暇があるのかどうか…」

「アヤトさん、敵の瞬間移動の魔法は大丈夫なんですか?」

 プシペィは心配そうに聞いてきた。

「うん。大丈夫だと思う。あれは時間を止める魔法の一種だね。そして第1陣と第2陣があるということと、その時間がかなり空いたということはかなりの魔力を必要としてあの時間ってことだと思う。休憩が必要ってことと思うからね。ただ、あの時投石器でその魔法士をやっつけてしまったようでもしかしたら今回はその魔法は使われないかもしれない」

 推測ではあるがあの時を思い出してみるとその推測は正しいように思える。

「なら大丈夫ね!スピカル様、この戦い犠牲者を出すか出さないかの話のようです。勝つことは決まっているみたいなものです」

 プシペィは笑顔でスピカルに言い放った。

「そうなるといいな!頼むぞ!」

 スピカルの頼むぞ!の言葉は俺の心を穏やかにしてくれるような優しさがあった。


「見えました!カイエン帝国です!」

 兵士の一人が大声で報告してきた。あとは作戦通り結界に入ってくれれば…。

戦いの始まる前なのにとても静かだった。みんな固唾を飲んで作戦の行方を見つめている。

 結果は作戦通りだった。敵は結界に入り全軍が落とし穴の上に入った瞬間、俺が魔法を解き、一瞬で敵はその隊列のまま下に落ちて行った。悲鳴を上げる暇さえなかったのだろう。落ちた音のドドドという音が聞こえて終わりだった。

「ちょっと見てきます」

 俺はスピカルに断りを入れ風の魔法で一気に穴の上に飛んだ。問題なく落ちているな。あいつはどこだ…。

 目を凝らすと見つけることが出来た。あの転移者だと思われる人。

(おい。お前。転移者だろ?)

 俺は魔法を使い転移者と思われる人の心に問いかけた。

「どこからだ!?」

 大声で話し始めた!ちょっとまずい!

(心の中で会話はできる。お前は転移者か?)

(あぁ、そうだ。お前はどこにいるんだ!?)

(真上だ)

(浮いてる…魔法を使えるのか…お前は誰だ!?)

(俺も転移者だ)

(お前だけ浮かせよう)

 俺は風の魔法を使いもう一人の転移者を浮かせ穴の外に出す。その際に二人以外の時間は止めた。

「もう話しても大丈夫だぞ。お前、転移者と言ったが名前は?」

「福岡歩武」

 福岡と名乗った人物はかなり不機嫌そうだった。

「俺は佐藤アヤト。よろしくな。いろいろと話したいんだがどうだい?」

 俺はなるべくフレンドリーに聞いてみた。

「無理だ。俺はカイエン帝国軍。お前はそっちの軍だろ?勝つも負けるも無く適当にはできないんだ俺は。」

 そういって福岡は剣を構えた。

「剣を使ったことはあるのか?魔法は?」

「ない!高校時代に部活でバット握ってたくらいだ!!お前だってどうせ魔法くらいだろ?」

「剣ではないが、斧を使う。全てこの世界で覚えた。」

「クッソ…絶対勝てないじゃないか…」

 福岡は少し震えていた。感情を読むのはなぜかできなかった。

「戦わなければいけないのか?俺はなるべく戦いたくない」

「ダメだ。俺はちゃんと白黒つけなければ。カイエン帝国とガラム王国を俺の口八丁で戦争状態にしたのは俺だ。俺には白黒つける責任がある。生き残ったとしても軍会議で処罰はあるだろう。それならこの一騎打ちで!」

 とんでもないことを言っている。ただ、なるべく戦いたくなった。元の世界の住人同士、どうにかできないものか…

 考えていると福岡は剣で切り付けてきた。とっさに避けて傷も無かったが、あまりに瞬間的に動きすぎて土を巻き上げながら遠くまで飛んでしまったようだった。福岡は一瞬で遠くまで行った俺に驚きを隠せていなかった。

「くそ!なぜそんな動きが出来る!」

「俺はこの前の戦いの後に一瞬で数か月分の修行を受けたんだ。魔法も格闘技も。福岡、悪いことは言わない。やめよう」

「ふざけんな!」

 剣を振り上げ走って切りかかってくる。もう戦うしかないのか…。俺はガラム軍の待機場に置いておいた斧に風の魔法で手元に呼び出した。

 切りかかってくる剣を斧で横に薙ぎ払うと簡単に剣は折れてしまった。その衝撃で福岡の体が少しよろけた。ここだ!

 よろけた瞬間に斧を福岡の首元に突き付け動けないようにする。

「もうやめよう。一緒に帰る方法を探そう!帰りたくないか?元の世界へ」

「この戦いの責任を取らせてくれ。カイエン帝国は前の戦いでかなりの死傷者を出してしまった。この世界で出来た唯一の友達も飛んできた石の下敷きとなって死んだ。もういいんだ。」

 福岡は悲しそうな顔をして自ら斧に首を当て、そのまま引いた。石の下敷き…それは俺の作った投石器だろう…俺はやはり人を殺してしまったのか…

 福岡の首から大量の血が流れ出ている。思わず手を首に向け治癒魔法を発動する。

「やめろ…もう…殺してくれ…」

 福岡は悲しそうな顔は殺してほしいと懇願していた。親友を殺してしまった俺にはもうそうするしかなかった。

「わかった。楽にしてやる」

 せめて楽に死んでほしい。俺は斧を両手で持ち、福岡の首めがけて振り下ろした。

 一瞬柔らかいものを切った感覚がありそのあとに土に斧が刺さる感触が続いた。顔に返り血が飛ぶ。ゴロンと音を立てながら福岡の頭は胴体と離れた。胴体からは夥しい血が流れてきた。疲れ切った顔をした頭がそこにはあった。

 俺は初めて自分の手で直接人を殺した。

 そう思った途端吐き気が襲ってきた。

「ウオェ…」

 その瞬間に嘔吐してしまった。

 人を殺してしまった。しかも俺と同じ元の世界の人だ。気を失いそうになった時に魔法がとけてしまった。穴に落ちた人々が叫び声を上げているのが遠くに聞こえる。

 俺はどうなるんだ…誰か…誰か…。どんどん気が遠くなる…


最後まで読んでいただきありがとうございます!

少しエグい表現があったかもしれませんが…

今後もよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ