第41話 女子会プラスワン、止まらない暴露
エミリア、同年代のルース・コントゥラ、少し年嵩のローザ・フォレスティの三人と一緒に昼食を取ることになった。
「エミリアさん、先日はキッチンで申し訳ありませんでした」
レオンに怒られて挨拶も早々に立ち去ったことを謝罪する。
「いえいえ! こちらこそ長話をして、レオン様にご迷惑を……」
「まったくだ」
「レオンさん!」
そこは「いやいや、こちらこそ」とか言うところでしょ。これだから、上級貴族様は……。
「お二人は、いつも一緒なんですよね?」
「あのあと、寮内は一応自由行動を許されました」
「ケントは部屋の中でも護衛しろと言っていたけどな」
「言ってません!」
即座に否定する。
「レオンさんが過保護だから、『そのうち部屋の中でも護衛するって言い出すぞ』ってからかわれたんですよ」
「そうだったか?」
自分に都合のいいように記憶を捻じ曲げているのではないだろうか……。
「お二人は恋人同士なんですよね?」
ルースが真正面から切り込んできた。
「ええ、まあ、そんな感じです」
「どちらから告白を?」
「どちらというわけでは……」
「俺だ」
レオンが被せ気味に答える。
「はっ!?」
思わず声が裏返る。
「俺はちゃんと言った。君は?」
「……言ってませんでした」
「ほらな!」
なぜか勝ち誇った顔。三人娘の目がキラキラし始める。
「レオン様って意外と積極的なんですね」
「当然だ。言わなければ伝わらない」
(私へのあてこすりだ! ……心当たりはあるけど)
「すごい情熱……」
「いや普通だろう」
その瞬間、レオンの声色がわずかに変わる。
「そもそもサーヤは俺に興味がなかった」
「興味はありましたよ。自分の護衛はどんな人なんだろうって」
「そういう意味じゃない。男としてだ」
「それは、そうですね」
「レオン様に関心を持たないなんてこと、あり得るんですか?」
エミリアが不思議そうに言う。
「レオンさんは迷惑そうだったんですよ。私の護衛に任命されたことが」
「それはそうだが……」
「街で女性に声をかけられただけで不機嫌になっていましたしね」
「それもそうだが……」
「じゃ、よかったじゃないですか。変に関心持たれなくて」
「そうだが…………、妙に腹立たしかった……」
「は!?」
三人娘が固まる。
「つまり、レオン様はサーヤさんに関心を持たれなかったから、逆に自分が関心を持ってしまったってことですか?」
「そうだな。そんなこと初めてだったから」
(天邪鬼め)
「それにだ」
レオンは畳みかけた。
「俺にだけ『好き』と言わなかった」
ほんのわずかに、声が低くなる。
(「だけ」じゃないけど……)
「……俺だけ、後回しにされた気がした」
「言い忘れただけです」
「他の男には言っていたのに?」
「言ってません!」
(言っていない……本人には)
「……そうか?」
少し間が空く。
「つまり、俺だけ特別扱いされていなかったということだ」
(被害者みたいな顔やめて)
「それはもう謝ったじゃないですか」
「そうだが、納得はしていない」
三人娘が完全に呆れ顔になる。
「レオン様って、もっとクールな方かと……」
「なぜだ? 言うべきことは言う。それだけだ」
迷いがなかった。
(その正論、今この場では一番やっかいです)
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午後は、分類したデータを表にまとめた。
少し作業が残ったが、明日にはグラフ化まで終わるだろう。
(Excelがあれば数回クリックするだけで済むのに……)
帰りに、第二騎士団に寄ってみる。ダニエラがまだ残っていたのでお土産を渡した。
「ヴルカリスはどうでしたか?」
「とってもよかったです。ふやけるほど入ってきました」
「サーヤは出し殻になってたろう?」
「そうかもしれません」
「羨ましいです~」
何気なく沙弥が言う。
「そういえば、今日はエミリアさんと昼食をご一緒しましたよ」
「そうなんですね! 明日は私もご一緒していいですか?」
「もちろん」
「でも、レオン様は女性に囲まれて気まずいかもしれないですね」
「今日は、レオンさんが一番しゃべっていましたよ」
「どんな話を?」
「恋バナです」
「えっ!! レオン様が恋バナ!?」
当然の反応だ。
「私はレオンさんが何を言い出すかわからないから、はらはらしましたよ」
「事実しか言っていない」
「言わなくてもいい事実もあるんです!」
「よくわからんな」
それなら明日は口を閉じていてもらうことにしよう。
「エミリアはレオンさんが好きなんですよ」
「そうなんですか? それじゃ、今日の会話は不愉快だったかもしれませんね」
「仕方ないですよ~。レオンさんとサーヤさんが恋人同士なのはわかっていることですから」
そうは言っても、やっぱり気まずい……。




