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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
96/109

開戦⑧ 公国暫定政府、焼ける

今回は空爆です。

少し家の都合で取り掛かるのに時間がかかりました。

スイマセン。

<アバロン・本国防空航空隊横、特設飛行場>


そこには先のビラ散布に参加した超大型爆撃機が待機していた。

その大きな機体の腹には、今度はビラではなく、大きな一トン爆弾が搭載されていた。 それも複数。

隣で整備されている4発機が小さく見えるくらいの6発機。


「我らは一番槍の栄誉ですか?」


「ああ、そうだ。 我が機で相手の抵抗心をへし折る。 それでも折れなければ・・・。」


「今度こそ絨毯爆撃ですか?」


「そうなる・・・。 そうなれば、止めようがない。」


「・・・。 我らの最善を尽くしましょう。」


「無論だ。 全員!搭乗せよ!」


「「「「「はっ!」」」」」


機長であるエルフの男性の指示に副機長の普人の男性に続き、エルフやドワーフに獣人、普人の男女が次々と乗り込んで行く。

彼らが公国暫定政府に大打撃を与える実行部隊だ。

彼らの乗る大型猛禽類よりも凶悪な翼は、6発の発動機が唸りを上げ、滑走路を疾走し、その巨体を天空に上がっていく。


「車輪の切り離し!」


「切り離し、確認しました!」


「よし!行くぞ!目的地・暫定公国政府庁舎!」


「了解!管制塔より通信!『健闘を祈る』です!」


「分かった!信号手!モールスで返信!『吉報を待て』だ!」


「了解!」


通信を受けた報告を信号手に返礼を命令した。

飛び立って直ぐは通信はエンジン音等で、上手く伝わらないことがあった。 モールスもあったが、信号を選択した。 習熟度を上げるためだ。

信号を受けた管制塔も受信した事を伝えた。

確認は後部銃座の乗組員からだが。


「高度10000まで昇るぞ!マスクを確認しておけ!」


「高度10000、了解!各自、準備せよ!」


機長の指示で副長が部下に命令する。

後部では乗組員が、それぞれの装置の電源を入れ、準備をする。

彼等は各自の任務を全うした。 2時間ごとで休憩と操縦を繰り返し、体力の保持に勤めた。


「これから大きな作戦が起きるというに、ゆったりとしたものだな・・・。」


「そうですね。 私もです。 ですが、一番槍の栄誉は嬉しいです。」


機長である男性が控え操縦手用の席で作戦進行表を流し読みをしていると、通信手兼上部銃座手でもある女性兎獣人が声を掛けた。 彼女の後ろでは、航法手である犬狼族の女性がお茶を飲んでいた。

半分の人員が警戒と運航を担当し、その他は休憩をしている。

クールを数回していると、とうとう電波をとらえた。


「!!・・・機長!公国と思われる電探を捉えました!」


「こちらがバレたか?!」


「いえ!それはありません。 こちらが電波の上を飛んでおります!」


「だが、勢力圏に来たことは事実だ。 総員起こし!配置に就け!」


機長の指示で全員が配置に付いた。

全員が配置に付いたことで、緊張が増した。

そこからは目的地まで航法で進む。


「あと10分ほどで目的地に着きます。」


「了解。 偵察員、警戒を厳にせよ。」


各偵察員たちは外を双眼鏡で覗く。 

そのうちに遠方に目標近くの行政府に近づいた。

流石にそこまで近づくと、下の方で高射砲の砲火がある。 しかし、下過ぎた為に爆発の被害は出なかったのだが、破片が機体を叩いたが、被害はなかった。


「目標上空だ。 爆弾倉を開け。 操縦を渡すぞ。」


「了解。 このまま・・・このまま。 投下用意・・・てっ!」


爆撃手が投下レバーを倒すと、機体が急に浮き上がる。

投下される20発の一トン爆弾がなくなり、軽くなったためだ。


「投下確認。」


「了解。 爆弾層内、残弾なし。」


「爆撃手より機長へ。 操縦を返します。」


「了解。 ご苦労。」


「はっ!」


20発の一トン爆弾は通常の数倍の破壊力で、目標を破壊した。

政庁舎は無事だが、街と行政を始め、実行を請け負う施設や拠点を粉々に吹き飛ばし、破壊した。

今までここまで攻撃をされることがなかった公国政府陣は、心理的に大きなダメージを受けた。 それもこれから始まるものは、純粋な無に向かう物だ。

そこで一呼吸おいて、考える時間を与えた。 政府中心陣が残したことで決断を待った。


<暫定政府庁舎地下司令部>


贅沢とは程遠い必要な物のみの司令部内部は、少し薄暗い。

当たり前だが、電源は外からだから 色々と分岐をした為に電圧も電流も不安定になり、切れる事もあるのだ。 そんな中についに来た報告が来る。


「正体不明機がこちらに向かってきております!」


「またビラまきではないのか?!」


「明らかに爆撃目標に向かっているようです!」


「高射砲はどうした?!戦闘機は?!」


「ともに攻撃をすべく、対処中ですが、共に届いておりません!」


「・・・打つ手なしか・・・。」


そんな不毛な事を考えているうちに大きな風切り音を響かせながら、不明機の投下した物がこの地に落ちるのだ。 合計で20発の大型爆弾。 

被害は街が一発で4区画が瓦礫の山になり、その瓦礫でさらに12区画が被害を出した。 軽い被害を入れれば、数十区画にもなる。 対空砲を固めた高射砲と避難施設を兼務したタワーという建物は、一発で下まで貫通し、根こそぎもぎ取った。 直撃しないとこもあったが、それでも被害が大きく、高射砲や高射機銃が撃てなくなったとこもある。 他にも変電設備や街の命綱ともいえる配電や治水や浄水場などが甚大な被害を受けた。 防空の要を一回で奪われた。 修理は数か月は必要と判断された。

この報告に彼らに決断を迫った。

しかし、彼らは愚かにも航空隊がわざと外した目標にしたとは思わず、技能が低いと判断し、継戦を決断してしまう。


「彼らは技能不足でここを狙うはずが、他の場所に当たってしまった!馬鹿者が!」


「そうだ!そうに違いない!」


「高射砲の弾幕が、障害になって見えなかったんだ!」


一人が発言すると、他の者も同様の事を話す。

それが司令部全体に広がるのに時間がかからなかった。

確かに戦略価値の低い場所や拠点としては高いが、その時にしか使われない場所が狙われた。 その為、政府の庁舎や各機関の本部、軍の基地や空港は外された。 それが彼らの誤った判断をさせた。

ひとまず必要な設備の整備と修理を指示を出すだけに終わった・・・。

これが彼らの地獄が始まる事にまだ考えつきながらも背けた。


<アバロン・総司令部>


「閣下、攻撃は成功であります!」


「うむ、後はどう出てくるかだな・・・。 理性的な判断をしてくれればいいが・・・。」


「念のために第一爆撃集団は待機中です。」


「編成は?」


「戦闘機が200機が出撃します。 爆撃機は大型が30機、中型が120機が出ます。 偵察機も15機が帯同し、正確さを期します。」


「そうか・・・。 あと一時間待とう・・・。 その後は・・・頼む。」


「はっ!」


攻撃終了からすぐに決断すれば、被害は初撃のみだったが、公国は違う決断をした。

一時間の時は無常に過ぎ、複数に別れて駐機していた大部隊が時間を合わせて地面を蹴っていく・・・。


「賽が・・・賽が投げられてしまった・・・。 もう戻れない・・・。」


「閣下・・・。」


「彼らはすべてを失う・・・。 傀儡政権が吹き飛ぶな。」


こうして、窓の外を大型の爆撃機が群れを成し、飛んでいく。 彼らを中心に大航空団を構成し、公国のありとあらゆるものを破壊する。

すべてを。


「公国は・・・地図から消える・・・。 流民となった者達はどうするかな・・・。」


一人の施政者の独語も窓の外を横切っていく大型爆撃機の爆音で消えていく・・・。


<第一爆撃集団・隊長機>


総勢365機の航空機が参加する大航空攻撃に司令官として任官したのは、ありえないことに少将だ。

獣人貴族で戦闘が常の地を治めていた家の三男。 ガリル少将。

貴族でありながら平民と飯を食い、共に寝て、泥まみれになる事も厭わない。 『常在戦場』の信念である生粋の叩き上げ軍人家の息子だった。

訓練初日から訓練に兵と共に参加し、共に同じ飯を食べ、共に過ごした。

立場の関係で気楽に話せないが、年も27歳とそれほど離れていない為か、兄貴として慕われた。


「この戦いは公国に誰に喧嘩を吹っ掛けたかを解らせる戦だ・・・。 それを一発叩かれたのに分からないと言いやがる。 今度は俺らがぶん殴る!吹き飛びゃあ、わかんだろ?」


「だと良いですがね。」


「そうですね。」


「まあ、わからなかったらまた来れば、良いさ。 プレゼントは多い方が良いだろ?」


その冗談に機内が笑う。

隊長機用の旧海軍の連山爆撃機は、爆弾と共に機長席の他に司令官席を付けていたが、彼が贅沢は要らんと、機長席と同じものに戻すことを指示。 その分、乗組員の物や食い物等を積めと言ったことで、同機の乗組員の持ち物と食べ物が増えた。

司令官の金属鎧ではなく、皮鎧に変更したため、さらに軽くなった。


「司令官、大型爆撃機隊の集合は終わりました。 中型及び戦闘機隊の集合もあと20分で始まりますのでよろしくお願いします。」


「あいよ。 しっかし、お前も固いなぁ。 ここから緊張してると、持たんぞ?」


「私は司令官とは違います。 平気です。」


「あっ、そう。」


この連山爆撃機・司令官搭乗機機長は女性獣人が、指揮を執っていた。

平民出身で、ウランダ大尉。 元々は中型爆撃中隊の指揮をしていたが、今作戦に際して昇格と共に当機の機長として、着任した。 しかも彼女も司令官と同じで、最初から訓練に参加していた。

共に前線に身を置く軍人気質である共通点もあり、上官と部下というより恋女房的なものになっていた。

勿論、彼女も姉御として慕われていた。


「姉御、九時方向より第322爆撃隊が合流します。」


「機長と呼べって、言っておるだろうが!馬鹿もん!」


「すっ、すいません!姉御!・・・あっ!」


「貴様・・・覚えておけ・・・。」


「はい・・・。」


「合流の爆撃隊より発行信号!『姉御、お世話になります』です!」


「貴様ら・・・向こうにも言っとけ!基地に帰ったら覚えていろと!」


「はっ!」


信号手が大慌てで、返信を打つと遠目でも向こうが慌てている様子が見えた。

向こうも何人もの搭乗員が、窓を右往左往して頭を抱えていたようで自分も同じ事になる仲間を同情したとは言えなかった。


「機長!護衛の戦闘機部隊も合流しました!」


「よし!そのまま、目的地に向かう!」


「「「「了解!!!!」」」」


「それ、俺が言う所じゃないの?いや、良いけどさ・・・。」


こうして全機合流した航空団は、一路公国へ向かう。

当然、公国は前回の様に探知できないというわけでは無かった。


<公国暫定政府>


「?!・・・対空電探に感!我が国に大航空団が接近中!警報!!」


公国防空圏内に空襲警報が鳴り響いた。

今回は戦闘機隊が全力出撃すべく、戦闘機110機が空に羽ばたいた。


「今度は逃さねぇ!戦闘機隊は全力を持って当たれ!政庁府に爆弾を落とさすなよ!」


「「「「了解!!!!」」」」


「よし!いけぇ!」


バタバタと、パイロットが乗機に乗り込んで行く。

準備の出来た機体から滑走路に向かっていく・・・。

単発機の発動機音が、基地にいる兵士を元気づけた。 そして、願う今迫る恐怖を取り除いてくれる事を願った。

飛び立つと、110機の猛禽はそれぞれに編隊を組み、飛行した。 目標は電探基地から通報のあった座標に向けて。


「これから我が国初の大航空戦が起きる!各機、単機で当たるな!必ず複数機で当たれ!」


「「「「「了解」」」」」


彼らの隊長である大尉章を付けた指揮官が、訓示を述べた。

110機の戦闘機はその威容に少し酔っていた。 しかし、彼らを待ち受ける敵はさらに強力な火力と機数がいる部隊が待ち構えている事にまだ知らなかった。


<爆撃隊サイド>


大航空団と化した爆撃隊の大型機には、電探は搭載されていた。

電探から公国の航空戦力投入が確認された。


「機長!電探に敵航空隊を発見!」


「来たか・・・。 戦闘機隊に発行信号!モールスで偵察機に先行を頼め!」


「はっ!」


隊長機から信号弾が上がり、モールス信号から情報を得た偵察機2機が、戦闘機隊の前と後ろに発って、敵航空隊の位置へと誘導していく。 護衛に50機を残し、150機が先行の偵察機について進んでいく戦闘機部隊。 そして、すぐに会敵の時が来る。


<公国航空隊サイド>


公国航空隊も進んでいた。

110機の編隊も鼻息荒く、進んだ。

ただ、こちらは先行の偵察機はいない。 純粋に航法で隊長の経験でここまで進んできている。


「全機に戦場が近い。 信号弾を上げて気合をいれるか。」


信号弾を上げるために風防を少し開けて信号銃を撃ちだす。

信号が上がると、戦場が近い事を示していた。

隊長機のバンクでさらに緊張が増した。


「あとは接敵を待つのみだ。 ん?ガンツの奴がバンクしている?あっ!敵機!」


「戦闘開始!」


最初に発見した機が先頭に隊長機もそれに続く。

そこに僚機達も続いていく。

回転を上げて上昇して行き、一気に距離が詰まる。


「よし!初撃で鼻を折る!」


互いの戦闘機が射撃可能距離に近づく。

アバロン戦闘機隊150機対公国戦闘機隊110機が、公国上空で衝突した。

初撃は当たり前だが、火力の差でアバロン軍が高かった。

最初の会敵で、味方機が40機が火を吹き、落ちていく。 アバロン側も5機が落ちたが、その8倍が落ちた。


「おい!なんだ?あの機体は?!」


「ありえないだろ?!こっちの弾も当たっているのに!当たっているのにぃぃ!!!!」


「最初の作戦を忘れるな!複数機で当たれ!単機になるな!」


「これじゃあ、無理だ!向こうの方が数も質も上だぁぁ!ぎゃぁぁぁ!!!!」


「3番機!後ろに2機ついてる!逃げろ!」


「振り切れない!速度差がありすぎる!」


次々と落ちていく僚機を見ながら、自身も必死に逃げる。

彼らの猛攻を脱出し、爆撃隊に辿り着いた機もあった。 その数10数機。

しかし、彼らにも50機が襲い掛かり、攻撃態勢になる前に彼らも散った。

彼らもまだ一矢報いるために政庁舎の周りには、ハリネズミの様に高射砲や高射機銃が天を睨んでいた。

彼らもここに来たことで航空隊が全滅したことを察した。


「航空隊は駄目だったか・・・。 高射砲、準備しろ!」


「「「「はっ!!」」」」


対空陣地内は各々の火砲に弾薬や砲弾を装填していく。

徐々に近づく黒い点は徐々に大きなモノになる。

射撃の命令が出される寸前に戦闘機隊が襲い掛かり、機銃掃射をした。


「ぎゃぁぁぁ!!!!戦闘機が襲ってきた!」


「くそう!撃ち返せ!」


「了解!」


公国の対空陣地が火を吹いた。

高射砲と対空機関砲は上空の爆撃隊へ。 対空機銃は今も陣地攻撃や集積地攻撃をしている戦闘機を撃ち捲った。 互いに出せる牙をむいた。


<アバロン・爆撃隊>


政庁舎と使用している中心街に近づくと、対空砲火がきつくなった。 爆撃隊の進路に対空弾の網があるからだ。


「くっ!流石にキツイな!戦闘機隊が露払いをしてくれてあってもこれか・・・!」


「いやぁ、これはこたえるねぇ。」


「指令!ふざけてる「第二中隊3番機!被弾!」何?!」


搭乗員の報告に外を見ると、隣に陣取っている中型爆撃隊第二中隊の一機である3番機が、右翼を根本付近に被弾していた。


「脱出しろ!・・・ああっ!」


「翼が!おい!応答しろ!おい!」


「こちら・・・番機・・・任務・・願う!・・・さようなら・・・。 万歳!」


「おい!脱出だ!おい!聞いているのか!」


「・・・・・」


通信が途絶えた。

彼の機は、錐もみを始めてしまっており、もはや脱出も出来ない状態になった。

彼らは街の郊外に機体と共に散った・・・。 搭乗員たちと共に。


「ちきしょう!目的地まであとどれくらいだ!」


「あと3分です!」


「全機に通達!踏ん張れ!帰ってうまい酒を飲むんだ!」


「「「「了解!!!!」」」」


爆撃隊は数機の脱落機を出しながら目標に来た。

すでに市民の居ないが、綺麗な街並みはこれから焦土と化す。

悪魔の使者がやってきたのだ。


「爆弾層開きます!」


「全機!もう少しだ!気張れよぉぉぉ!」


「目標確認!爆弾投下!!」


指揮官機の爆撃手が投下レバーを操作した。

爆弾が一発落ちるたびに機体が微妙に上昇して行く感覚になる。 爆弾が落ちる事で自重が軽くなる。 それは後続機も同様で、次々と落ちていく焼夷弾・滑走路破壊弾・通常弾・地下壕攻撃弾などの爆弾が次から次へと、落ちていく。

150機もの爆撃機が落とす爆弾の雨に眼下の都市はあちらこちらで破壊と崩壊を繰り返す。

投下はものの数分で終わる。 その惨状は上空からは分からなかった。


「おし!投下は終わったな?!ズらかるぞ!」


「せめて帰投命令としてください!ずらかるとかは駄目です!」


「構うか!帰るぞ!」


「了解!」


「もう!」


司令官命令で帰投進路取る司令官機に後続も続いた。

公国の対空砲火は時限信管のない砲弾の為、命中しなければ落ちないが、それでも安全圏に退避出来た頃には7機の爆撃機と70名近い隊員が空に散った・・・。


「通信手、被害と作戦成功の無電を打て。」


「分かりました。」


「結果は後続の偵察機部隊次第か・・・。」


「そうですね。 それまでは休息を交代で取りましょう。」


「分かった。 俺が残るから君から休んでくれ。」


「よろしいのですか?」


「ああ、構わない。」


「では、お言葉に甘えて。」


機長の彼女は数名の女性隊員と共に休息スペースに入る。

操縦手の一人も休息に入り、後に続く。 他の部署も一人または二人で引っ込んでいく。


「司令官。 少し食事を取りますか?」


「すまない。 少し祈らせてくれ・・・。」


「はっ、失礼しました。」


声を掛けた隊員が下がると、彼は椅子を降り、膝まづいてお祈りを始めた。

彼は散って行った隊員達に冥福と多幸を祈った。

彼も教会の信徒である以上、使者に対しての祈りは忘れなかった。


「司令官、機長がいる時でも良かったのでは?」


「馬鹿!・・・流石にそれは照れるから・・・。」


「左様ですか・・・。」


「お前!今、笑っただろ?!」


「その様な事はありません。」


少しほっこりとした空気を持ちながら、爆撃隊は帰還して行った。

戦闘機隊50機と偵察機5機を伴って。

ちなみに偵察機3機は戦果確認のために残っています。

戦闘機150機はすでに帰還済み。


「基地のビール、今日も旨いぞぉぉぉ!!!」


「まだ、着いてもいないのに・・・。」


「良いんだよ!楽しみは声に出した方が良いんだ!」


「分かりました・・・。」


彼らは楽しみを口にしながら、帰還して行った。

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