幕間・報われなかった者たちの死出の旅路
今回は死出の旅を表現しました。
今回の戦闘に対して、セットにしたかったので、頑張りました。
少しでも上手く伝わってくれたら嬉しいです。
彼はふと目を覚ます。
自分の格好は軍服ではなく、国にいた時に着ていた普段着だった。
ふと見えるのは見たことのない草原。 気持ち良い風が吹き抜けていた。
「あれ?おれは一体・・・。」
「目が覚めたか?」
「ん?」
顔を声のする方に向けると白のワンピースに身を包んだ愛すべき獣人女性が、自分に優しい笑顔とまでは言えないが、照れ臭そうにしていた顔をしていた。
彼女はエレシア。 自身と共にアバロン軍陣地に殴り込み、あえなく共に倒れた戦友でもあり、思い人なのだ。
「ああ、最高の目覚めだ・・・。」
「!!・・・恥ずかしい事を言うな!顔から火が出る!」
彼女は文字通りの赤い顔で視線を逸らした。 しかし、本当には嫌ではないことは言うまでもなさそうな感じがした。
「照れないでおくれ・・・。 またしてくれるか?」
「・・・気が向いたらな・・・。」
「ありがとう。」
彼女の膝から起き上がると、立ち上がり軽く背伸びをする。
死んだはずなのに寂しくないのは、彼女がいるからだろうか・・・?
彼女の狐耳も少し揺れていた。
ピッ、ピーーー!
少し間の抜けたクラクションの音に振り返ると、普段着とワンピースにそれぞれ身を包んだ二人の部下やその関係者がいた。
部下たちはすでにトラックやジープ、オートバイやサイドカーに馬車も数台来た。
それぞれに部下たちが相乗りしていた。
「隊長!ここにいたんですか?探しましたよ!」
「分隊長も熱いですねぇ~。」
装甲車の操縦手だった兵士と装甲車の37ミリ砲の砲手をしていた獣人女性兵士が、降りてきた。
彼ら運転するトラックにも多くの部下や獣人が乗り込んでいた。 共に兵士の格好ではなく、普段着や村娘の様な恰好をしている。
「ばっ!馬鹿者!これは!その・・・予行演習だ!」
「それはなんのです?」
「それは・・・その、家族になるのだから・・・うまく行くよな・・練習を・・・。」
「で、うまく行ったんですか?」
「・・・多分・・・。」
分隊長も女性らしいことは、縁遠い事であったらしく、部下の指摘にモジモジしただけで、固まってしまうのだった。
そんな光景に笑ってしまうと、連れて周りも笑っていた。
周りから笑われた事でいたたまれなったのか、ぽかぽかと痛くもない攻撃を受ける羽目に。
そんな彼女を抱きしめると、彼女の耳と尻尾は嬉しそうに振られた。
「隊長!そろそろ行きましょう!待ちくたびれました!」
「おう!待ってろ!今行く!」
「準備は良いかい?」
「君が居れば、大丈夫さ。」
「!!・・・ありがとう・・・。」
部下に急かされ、先頭にいるトラックの荷台に乗る。
すでに乗っている部下が手を貸してくれる。 遠慮なくその手を借り、乗り込む。
彼女の方は、バイク兵の2人の兵士にお尻を押し上げて貰い、荷台へと乗せてもらう。
「すまんな。」
「いえいえ、隊長の奥方のお手伝いを出来て、良かったですよ。」
「馬鹿が。」
バイク兵の二人は、自分に敬礼すると、それぞれのパートナーの居るバイクに再び跨った。
それぞれ兎耳と狸耳の女性が後部座席に乗っていた。
周りを見渡し、全員がいる事を確認した隊長は、前を向き、運転席の天井を叩く。
「よし!出してくれ!」
「了解!」
アイドリング状態の車が、運転手のギヤチェンジの音で前に進んでいく。
後続もそれに続く。 その横をバイクとサイドカーがすり抜ける。 先頭に立つようだ。
すれ違う際も彼らは敬礼をして、前に行く。
馬車組が遅れないように少し遅めに進む車列。
乗っている全員が笑顔で互いに笑い合って、和やかに進んでいく。
トラックの荷台で酒をひっかける者。 煙草を吸おうとして、パートナーに叱られる者。 それを見て笑う者など様々だが、一応に楽しいひと時だ。
途中で休憩という名の食事をした。 赤い色の敷きものに女性達が、持ち寄ったと思われるバスケットから食べ物や飲み物を貰う。
ここでも隣の食べ物を味見しようと、手を伸ばした食いしん坊の男性兵士の手の甲を摘まみ上げ、泣かされた者がいたが、すべてが楽しい時間だ。
気が許せる部下と愛すべき思い人。 それがなにより大切だ。
「いてぇよ!そんなに強く摘ままなくても良いじゃないか!」
「あんたはほっといたら、皆の全部食べちゃうでしょ?」
「おれはそこまでじゃないよ!」
「じゃあ、皆に聞く?答えは出ているとは思うけど。」
「そんな事ねぇ!なあ皆!?」
二人が皆に声を掛けた後で顔を上げた。
同僚たちは一斉に横を向いた。 視線を逸らした。
その光景に彼のパートナーの女性兵士は、ほら見たことかと、どや顔で言う。
「皆、分かってるのよ。 日頃の行いの差ね。」
「ぐぐぐっ!隊長!何か言ってください!」
「知らん!食べたいなら素直に頼め。」
「隊長!!!」
上官にも見放された彼は敷物の上で黄昏た・・・。
その光景を全員が、笑い合う・・・。
ああ、素晴らしい・・・。 なんて楽しいんだ・・・。 こんな楽しい時はいつぶりだろうか?
楽しい昼食を楽しんだ一行は、再びそれぞれの車両や馬車に乗り込み、先へと進む。
そうしているうちに目的地である川にかかる橋に来た。 あとはこの橋を渡れば、ほぼ着いたも同じ。
他にも荷物を担いで橋を渡っていく者や家族で手をつないで渡っていく一家。 老夫婦が杖を突きながらゆっくりと橋を渡っていた。
「・・・不安かい?」
「最初は怖かった・・・。 でも、今は怖くないよ。 君のお陰だ。」
「そう・・それは良かったよ・・・。」
「隊長、うちらも行きますぜ?」
「ああ、周りに気を付けて進めよ?」
「勿論でさ!」
互いのパートナーと手を繋ぎながら、車列が進む。
幅のある橋は、車列が乗っても問題ないかのように軋む音もなく、進める。
通り過ぎる人も皆笑顔で見送ってくれる。 子供は嬉しいらしく、飛び跳ねて見送る。 こちらも手を振ったりして、答えた。
「今度はあんたはどうしたい?」
「何だ?突然?」
「聞いてみたいんだよ!答えて!」
「そうだな・・・。 君と所帯を持ちたい。 小さい家で良い・・朝起きて、食事をして、狩りや採集をして・・・夜になったら寝る。 そんな当たり前に生活を君としたいな。」
「・・・ありがとう・・・本当に・・本当に嬉しいよ・・・。」
「おう。」
彼らは橋を渡り切り、先にある光の中へと入っていく・・・。
彼らを追うように部下たちも続く。
彼らは旅立った。
次の輪廻転生へと。
様々な不幸と苦難の先に得た『安らぎ』を噛み締めながら次の旅路の入り口に向かうために・・・。
報われないでいた愛と果たされなかった悲哀を。
彼らは・・・旅立てた(成仏)。
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ここ最近、暑さと疲労からメンタルが、低迷してる自分がいます。 かなり綺麗な表現では、センチメンタルになってます。
少しずつ調子を整える様に努力をしていきたいと思います。




