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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
72/109

押し入り調査

夜分に失礼します。

投稿が遅れましたが、させて頂きます。

「行け!行け!GO!GO!GO!」


「扉は破れ!発破!」


ボウン!


「うわっ!貴方方はなんですか!」


「容疑者を捕らえよ!行け!」


エリザの関連で関りがある商家や中小の貴族家を容疑者の拘束や証拠品の押収の為に人手を繰り出しているのが、今の状態だ。

そうしているうちに当主と跡取りが引き出されてきた。

彼らは件の誘拐犯集団に、資金と証拠隠滅に手を貸し、貴族側得られる情報を渡して対価を得ていた。 今回の事態になる事は、分かっていたような行動とも取れる行動をしていた。


「貴様!これはどういうことだ!伯爵家に押し込むとはどういう了見だ!」


「そうだぞ!私は貴族家の跡取りだぞ!丁寧に扱え!」


「あなたが当家の妻の襲撃に関わる情報を流した事は分かっています。 再三の要請に応じてくれないから仕方なくですよ。 ご自身の不徳からです。」


「ふざけるな!辺境伯になったといっても捜査拒否権はあるだろう!」


「捜査協力は確かに任意ですが、容疑があるのであれば、その限りではないですよ?そこも伝えたのに無視をしたのはそちらです。」


「こちらにも事情がある!受けれないときもあろう?!」


「それは容疑の場合は、最優先事項になります。 なので、拘束容疑者は関係ありません。」


「なんだとぉぉぉ!」


「閣下!伯爵様の執務室からこんなものが!」


「どれ?ほう・・・。 お二人は即時拘束。 屋敷の人間も容疑が晴れるまで軟禁とします。 異論は認めません。 以上。」


誘拐犯集団から得たと思われる証拠品共に容疑者を拘束した。

他にも何人もの拘束者が多く出た。 エリザというきっかけで、辺境伯領に反感を感じている者が、次々と拘束された。 身分も貴族は勿論、商人や平民までいた。 流石に平民では所帯持ちではなく、流民のみだが、貴族や商人は所帯持ちが多く、愛人や妾もいた。 

当主と跡取りは勿論、関わっていれば、兄弟も拘束された。 中には家の男性陣すべてが拘束対象となった家もあり、その後も拘束者が増え、貴族家がさらに数家が処罰対象となった。  処罰対象者も100人以上になり、それらもマサル達もトールハンマーの憲兵隊と共に逮捕者の護送していった。


「逮捕者が多いな・・・。」


「仕方がありません。 エリザ様の誘拐が自身の保身に利があると考えたんでしょう。」


「エリザや他の皆の為に手を抜くな!」


「はっ!尽力いたします!」


マサルに指示を受けた隊員がマサルに答礼して、駆け足で去っていく。

前を大型トラックが走り、その中には拘束された人が乗せられた状態で進んでいく。

辺境伯になった事で、王族以外での貴族の拘束が出来るようになり、捜査権も得ているために容疑者の拘束に奔走した。

当然、領地内に拘置出来る場所を作った事で、さらなる容疑者が増えた。

こうして最終的に200人はいる状態になった。 処罰も厳しく、主犯格グループの中でも積極参加した者は全員が、処刑された。 消極的な者はそれに応じた罰を与えた。 


「辺境伯様に出張っていただき、ありがとうございます。 お陰様で無事に済みました。」


「ああ、気にするな。 妻たちや君らの為でもある。」


「ありがとうございます。 ですが、よろしいでしょうか?エリザ様は?」


「ああ、今はその・・・領主様がお忙しいのでな・・・。 そのうちな。」


「?」


少し歯切れの悪い事を言っている上司に疑問が浮かべながらも、あえて口にしなかった。

マサルも歯切れの悪い事を言っているのには、理由がある。


あの場所にいたら、何を言われるか・・・。 逃げてきたとは言えない・・・。


そうマサルは逃げて来ていたからだ。

エリザはそのまま両親の元に居るが、帰還した日の飲み会で父親が深酒した事を責められていたからだ。  

「エルザ~。 マリン、ヒルダ。 ワシが悪かった!許してくれぇぇ!」


「お父様!あれだけ深酒をしないで下さいと、申しておりましたよね!?自覚はおありですか!」


「そうです!姉様の言う通りです!叔父上も兄上もですよ!」


「すっ、すまん・・・。」


「悪かった・・・。」


「ヒルダ、お前の方から娘を止めてくれぇぇ!」


「旦那様。 ですが、したことは事実ですので、素直に受けてください。」


「そんな・・・。」


娘二人に攻め立てられ、弟や息子は役立たず。 頼みの綱である妻に冷たくあしらわれた事で、地面に手をつき、絶望した。


「聞いておられるのですか!父上!」


「はい!聞いてます!」


エリザの家での男性陣の立場の低さが出ていた。

マサルはエリザや妹さん、義母の気配を感じ取り、帰還する隊員の車両に飛び乗り、逃げ出した。

エリザの男性陣が引き留めようとしたが、マサルは逃げた。

犯人の確保に行くと、逃げた。 


「閣下、実は耳に入れておきたいことが・・・。」


「・・・。 聞こう。」


少し暗い顔をしてきた役人が声を掛けてきた。

話によると、容疑者の一人でもある領主様の次男の逮捕に向かった隊員が、領兵により追い返されたらしくて、対応を相談された。


「そうか。 容疑は?」


「エリザ様が誘拐計画を立てられた際に資金提供と物資調達の際に商人に働きかけたことです。 不確定ですが、誘拐の実行犯の容疑もあります。」


「そうか・・・。 強硬手段しかないか・・・。」


「部隊の編成をしますか?」


「仕方がない・・・。 それも並行して進めていこう。 説得も続けてくれ。」


「分かりました。 準備します。」  


「また、血をみるのか・・・。 くそっ!」


マサルの憤りは誰にも聞かれなかったが、独り言を言った。

自身の兵は領兵を一蹴する事は容易い。 しかし、容疑者は数名でそれ以外は無関係な人達だ。 部隊が行けば、必ず衝突が起きる。 そうならば、非殺傷弾を使っても当たり所が悪ければ、死ぬ。 当然、領兵の武器が当たれば、隊員も死ぬ。 その対応はしなくてはならない状態になった。

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