辺境伯領開発記②
今日も寒い!
ズンベンマンションさんの『気温-7度の雪の中。 段ボールで人は快眠できるのか!?』を見ているので、余計に寒く感じます。 工作は楽しそうです。
開発は順調に進んだ。
機械を使用したことと、工芸品の生産で旧アバロン領の数倍の生産力を手に入れた。
「この度は自領の生産品を持って来てくれたそうじゃの。 すまんの。」
「いえいえ、ご笑納下さい。」
マサルの後ろには、漆漆器や香り付きの石鹸、シャンプーやリンスを12本・12個単位で5セット持ってきた。 生産は始まっていたが、やはり質の高さはアバロン領には勝てない。 その為、献上品としては人気が高かった。
「それで開発は順調かの?近隣の領地からスラムの民が減ったとの、報告があるが行き先はお主か?」
「御意に。 いらないと言われた民を労働力に変えております。 中には違う者もおりますが、そちらは取り締まっております。」
「・・・。 まあよい。 さらなる我に対する忠義に期待する・・・。」
「ははっ!」
「下がるがよい。」
「はっ!失礼します。」
御前より下がると、待機室でお茶を出してくれたメイドさんに差し入れのお菓子を持たせると、踊りだしそうなくらいの勢いで、下がっていった。
マサルの個人的に食べたいお菓子。 『オリジナルセレクション』。
当然、生産数は限りなく少なく、一般売りもされない。 そのお菓子の一欠けらでも価値がある。
メイドさんは、そのお菓子の大箱をカートの下に隠し、自分らのエリアへ持ち込めた。
彼女はまるで英雄かのようにメイドの中で光を浴びた。
「辺境伯様個人が食すために限定生産された至高の菓子。 これを食べられる日が来るなんて・・・。 王宮に仕える事が出来て良かった!本当に!」
「うんうん!」
こうして、食す幸運を手に入れた者達は、その至高の味を一口、一口を味わって食べた。
貴族の者達もまさか使用人の物を王宮で、奪うという事は出来るはずもなく、アバロン領に仕えている身内に調達を依頼する者が増えた。 しかし、その殆どが徒労に終わる。 そこはマサルの個人で楽しむ菓子だから。 中にはマリア以外の妾の女性陣に依頼する者もいたが、そちらは成功する。 やはりマサルは、妻には弱いから。 それが妻を出した家の価値を大幅に上げた。 女性がその至高を手にすることに夫の力を使ったからだ。 強引なものはマサルに目を付けられる危険があるから正攻法な依頼で。 当然のようにその菓子の獲得が、嫁入りの条件にする女性も出て、王都では静かで、苛烈な女性の戦争となっていた。
エピソードとして、こんな話が出た。 マサルが物乞いの少女に自身の菓子を与えた。 少女は幼い弟妹に食べさせようと、家路を急いでいると、突然貴族の馬車が止まった。 中から出てきたのは30代前半の夫人が出てきた。 少女に「そのお菓子を売ってください」と、伝えた。 少女が弟妹に食べさせたいと、伝えると、対価に金貨数枚を提示した。 お金の価値があまり分かっていなかった少女は、これを拒否した。 普通はそこで怒るが、彼女は少女を含めての弟妹を使用人として、引き取ることを掲示したのだ。 菓子一つの為に4人の子供を引き取ったのだ。 少女は夫人に菓子を渡し、弟妹を含めて屋敷に向かえた。 4人の子供は努力し、一人前のメイドや使用人になり、彼女に仕えた。と、いう話まで出た。
菓子や石鹸のさらなる質の向上は、新アバロン領の資金源となり、様々な施策や政策の下支えになった。
新しい農業施策で、生産量は倍になり、山などの手を入れる事で山の幸や恵みが増え、安定が増した。 トールハンマーが訓練と称して、魔物退治を行ってることで民が襲われることも減った。 生産・製造・輸送が安定したことで、安定的に利益が出て、発展が早足に進んだ。
「順調だね。 流石としか言いようがないよ。 ジョアンナ。」
「ありがとうございます。」
「元帝国民の頑張りも無視が出来ない。 マリアの説得に感謝する。」
「無論だ!夫の為に役に立つ!妻の務めだ!」
「航空写真や偵察での地図の製作協力や危険の察知の貢献、 嬉しく思う。 ユリ。」
「お褒めの言葉、嬉しいです。」
「継続的な魔物や野党の捕縛、地味ではあるが重要な事を継続的に行う、大変な事だ。 やはりユリーダに任せて良かった。」
「ふん、当然だ。 この程度でしくじる私じゃないぞ。」
「医療面での民をはじめとしたサポートは、継続でしてくれていることに感謝する。 エリザ。」
「勿論です! 頑張りましたぁ!」
マサカツの前に集まった才女達。
アバロン領を支える屋台骨だった。
「しかし、君らも母になる。 引継ぎや継続的に行える体制は、作ってくれ。 今後の為に。」
「それは平気です。 我らの下にそれぞれ組織が出来ておりますので、我らが抜けても体制は変わりませんので。」
ジョアンナが答える。
彼女らは、マサルとの夜の生活をしている。
当然、性も受けているのでいつかは子を孕む事は確定している。
妻になった事によりより一層にマサルの性を受けた。 その為に彼女たちは前以上に女性らしい体になった事で、さらに引継ぎが必要になった。
「まあ、こればかりは授かりものなので分からないが、万全は期したい。」
「そこはありがとうございます。 妊娠をしたら仕事量は減らして、対応しますので大丈夫です。」
「こればかりは私がどうにかは出来ない。 体制を整えるだけだ。 無理はしないように。」
「「「「「はっ!」」」」」
「ありがとう。 下がってくれ。」
彼女らは下がった部屋で、マサルは考えた。
あった時より彼女らの顔が、柔らかくなっていることに。
ユリーダ・ユリ・エリザは、性奴隷になる所を。 ジョアンナは男性の中で生き残るためにかなりキツイ顔をしていた。 マリアは権力闘争に疲れ切った事と自身の身を守るために厳しい顔をしていた。
それが今は多少の差はあるが、穏やかな顔をしていた。 女性として差別をされないが、それでいて女として新たな生を受ける準備を出来る事に自然と穏やかな顔をしていた。
街を歩いても子供の手を引く母親の顔も穏やかだし、子供達の顔も日々が楽しそうだった。 理想とする街だった。 中には暇すぎて、あくびをしている者もいたが、あえて咎めなかった。 平和な証だから
『平穏』。 今のアバロンの状況だった。
当然、それをよく思わない者もいた。
棄民を多く出した領地だ。 領地内の運営をするために税を取るが、うまく行かずに土地を捨てる者が多く出たとこは、払うものが減った事で収入が減った。 マサルから一人頭で、一時的に大金が手に入ったが、借金や自身の贅沢の為に使い、空にしてしまった者達は、マサルの領地が欲しくなった。
元々、黒字のアバロン領は小さくても数倍の利益を上げていた。 経費も多いが、それすら賄えていたほどだ。 それが大きな領地を手に入れたことで、より莫大な利益を上げた。 石鹸等も今では、貴族でもっていない者はいない。 シャンプーもリンスもだ。 貴族用は高いが、それに見合った効果はあると女性たちが、言うので削れない。 削ったがために妻から離縁をされる夫まで出た事で、手が出せない。 結婚は家同士の関わりになるから離縁となると、妻からの実家から夫の家がケチであることが伝わる事で、再婚が難しくなる。 それほどの事態にアバロンの生産品が影響が出た。
「ウチの製品はそこまで影響出るものなの?」
「ここの製品は、総じて品質が良いので、仕方がないかと。」
「ウチの実家から石鹸が欲しいと、いうので送ったら実家の家は、弟が継ぐことで再興が決まったんだ。 没落寸前だったが、下級貴族として戻れたよ。」
「うちは大きくは変わらないですね。 ですが、付き合いのなかった近隣の貴族の方が、協力をしてくれるようになったそうです。」
「うちは、法衣貴族の家なのであまり変化はないですが、アバロン領に仕官を進める人が増えたと、パパが言ってたです!」
「ジョアンナは?」
「うちは上位貴族でしたからやはり勧誘の話どころか、自分の家に管理をさせてくれないか?と、言う家もありましたよ。 もっと言えば、自分の家が共同経営やアドバイスをするから上前をくれと、言っている方もいましたよ。」
「そうなんだ・・・。 ありがとうね。」
「仕方がありません。 お金の匂いは貴族にとっては、大好きなものですから。」
貴族が考えるのは、どう自分の利益を確保できるか、もしくは可能かを考える人種との事だ。
実際に棄民したくせに貸出だと言い張り、返還を言ってくる貴族家もあった。 当然、その領地から来た民は帰郷を望んでおらず、拒否された。それが望めないと分かると、マサルにレンタル代を多額に要求したのだった。 その引き渡しと監視のための人出をマサルに負担させようともしていた。
「私見だけど、今後はその領地の対応は、関与せずで良いかな?」
「そのように王宮に伝えますか?」
「あまりにしつこいから仕方がない。」
「分かりました。 グラミリアム男爵家の件は王宮にお願いしましょう。」
「ああ、そのように取り計らってくれ。」
その後に王宮に呼び出された男爵家の一同は、王宮からの査察官が領内全てを捜査され、使い込みが判明したことで、その金額を国の監視の下で、返済させられることになり、その間は爵位の停止という処罰を受けた。
この判決が、周りの貴族には大きなみせしめになった。
民も新しい土地での生活は、充実した生活をしていた事で、貴族側が無理な主張を出来なくなった。
王宮側と処罰を受けた男爵家のようにならないように願いながら。
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