商人の独り言
体調不良のため、更新の手が遅いです
本当に大変です。
自分は商人のセサム。
元帝国南部の商人だ。 今ではアバロン辺境伯領だが。
元々、妻の実家がこの地にあり、若いときにお世話になっていたからそのまま、住居を構えて商いを続けていた。 それも数件しかない商い屋として。
「はぁ、今日も大した売上無いな・・・。」
「あなた、今月の税は払えそう?」
「ギリギリだ。 また芋の生活になりそうだ。 すまない。」
「いえ、そこは仕方がないわ。 頑張りましょう。」
「そうだな。 アバロン領から来た人が来るはずだからそれに期待しよう・・・。」
「そうね。」
正直、期待は出来なかった。
なぜなら彼らは征服者なので、奪われる事もあるからだ。 こちらの話を聞いてくれるかもわからないからだ。 どんなことがあっても妻と子供だけは守ろうと、決意した。
アバロン領からの住人と思われる獣人が来た。
初めての来訪者は女の子だった。 10歳くらいの。
「いらっしゃいませ。 何をお探しですか?」
「あっ、あの!縫い糸、ありますか?」
「はい。 ございます。 こちらへ。」
糸の場所へ案内し、何種類か見た後で、いくつかの糸を持ってきて代金を支払った。 こちらの合計額は銅貨3枚。 その子は自分の財布の袋から一枚ずつ出して支払った。
「ありがとうございます。 またお越しください。」
「はい。 ありがとうございました。」
その子は深々と頭を下げると、商品を入れた手提げを大事そうに持ち帰っていった。
その光景はここいらの子供と変わらなかった。
「なんだ、気にするほどではなかったな。 まあ、警戒はしないとだが。」
「かわいいお客でしたね。 あなた。」
「うむ、ああいう客なら大歓迎だ。」
「うふふ、そうね。」
そんなことを考えていた自分がいたのを今は後悔してます。
先の小さなお客さんが、呼び水に数名程度だったお客さんは、あっという間にごった返すほどになりました。 食材以外は大抵揃うように仕入れていたので、欲しいものは多岐にわたりますが、何とか捌くことが出来ました。 そうしている日が数日もすると、倉庫に死蔵されていた物も捌けてしまい、不良在庫化した金属類も捌けてしまい、嗜好品の煙草も追加購入に行くことになり、久しぶりに居を構えて、商いをしている友人たちと、酒を飲んだ。
「セサム。 最近はお前の店は忙しそうだな。」
「それはお前もだろ?食材、大丈夫か?」
「いや、持たん。 明日から仕入れに行かないと、持たん。 お前の店は?」
「そうだね。 まずは肌着類が足りなくなってきたよ。 セサムに生地の買い付けをお願いしたい所だったんだよ。 頼めるかい?」
「それは受けよう。 長い付き合いだしな。」
「ありがとう。 助かるよ。」
一緒に飲んでいたのは服屋と食料品を取り扱っている商人で、互いに長い付き合いのある仲間だ。
食料品を扱う商人は、近隣の村々を回り、商品を仕入れてきて帰還する。 一方、自分は大変で織物や生糸を生産していた村が、戦争でやられてしまったために遠くまで買い付けに行かねばならず、危険が多いために護衛の兵を貸し出す制度を試しで使用することにした。
「すいません。 護衛を頼みたいのですが。」
「はい。 承ります。 どれくらいですか?」
「20日前後を予定してます。」
「そうですか。 そうなると、兵の必要物資の輸送量が増えるので、車両付きをお勧めします。」
「商人なので、仕入れ品があるので積み荷があるのですが・・・。」
「でしたら幌付きトラックをお勧めします。 護衛も6名付きます。」
「分かりました。 それでお願いします。」
「かしこまりました。 では、明日の朝にまたお越しください。 それまでに出発の手はずを整えますので宜しいですか?」
「分かりました。」
商人優遇政策の一つである護衛の派遣。 車両まで貸してくれるのかと、思ったらお金は取られた。
優遇政策ではないのか?と、思いながら帰宅した。
お金を払ったのだから多く仕入れてやると、意気込んで仕入れ用の資金の殆どを持って行くことにした。
翌朝、官舎に向かうと、すでにトラックと護衛の兵士と思われる獣人兵6人がすでに待機していた。
「失礼。 護衛依頼のセサム殿ですか?」
「はい。 そうです。 護衛の方ですか?」
「はい。 トールハンマー所属ガランです。 以下男性隊員2名、女性隊員3名でお供します。 よろしくお願いします。」
「こちらこそ」
各隊員の自己紹介の後で、男女二人の隊員が運転席と助手席に向かい、残りは自分と同じ荷台の方に向かった。
「すいませんが、クッションは用意をしていますが、元々輸送用なのでよろしくお願いします。」
「いえ、大丈夫です。 馬車でもそうなので。 平気です。」
「では向かいます。」
彼等の長と思われるガランさんが、荷台から運転席側をノックすると、音と共に車両が動き出した。
買い付けの旅は馬車より大幅に早い乗り物で、進んだ。
「皆さんは訓練の一環でこの依頼を?」
「はい。 流通の安定は国の安定につながります。 無視は出来ません。 犯罪者の排除も目的です。」
「そうですか・・・。 今回はよろしくお願いします。」
「こちらこそ。 あと、食事もこちらが用意した物がありますので、そちらを食べてください。」
「食事も頂けるんですか?」
「そちらも野戦訓練の一環ですので、ご協力ください。」
流石に驚いた。
買い付け時、一番大きな荷物は食料だ。 野営も含むと、大きなものがある。
それが必要ないとなれば、利が多い。
「そうですか・・・。 ありがとうございます。」
それしか言えなかった。
その後は特に何事もなく、野営地での停車を迎えた。
「今日はこちらで夜営をします。 セサム殿はゆっくりしてください。 我らが準備しますので。」
「はい。 ありがとうございます。」
「夜営準備!かまどの設営とトイレの設営も忘れるな!かかれ!」
「「「「「サー、イエッサー!!」」」」」
号令と共にトラックに積まれていたテントやその他の物品が出され、すごいスピードで出来上がっていく光景は凄かった。 ものの一時間ほどでほぼすべてのものが立ち上がり、女性隊員の方たちは食事の準備を始めていた。 男性の隊員は周囲の警戒に入っていた。
「すごいですね・・・。 これも訓練の一環ですか?」
「そうです。 彼らはこの訓練も必須となっております。 なので、必死なのです。」
「そうですか・・・。」
そうしているうちに食事の準備が終わったらしく、呼ばれたそれで私は最初に食事をした。
夜営ではありえないような温かい食事だ。 ありがたく頂戴した。
当然、トイレも使用したが、とても夜営で使用するものに見えない程に清潔な物だった。
夜の交代の見張りもなしで、朝まで寝る事が出来た。 これは良い物を利用できたと、思っていた。
あの時までは・・・。
「へへへっ、命が惜しければ、金だしな。 女は置いて行けよ?楽しむからよ。」
「そんな・・・。 ここで盗賊に会うなんて・・・。」
「どうしますか?排除しますか?」
明らかに大勢に囲まれているのにガランさんは、平然と聞いてきた。
お金で解決できるならとも思っていたのだが、護衛の獣人兵さんは犠牲に出来ない。
どうしたらと、思っていたらガランさんが聞いてきた。
「出来ますか?」
「無論です。」
「おい!あいつら俺らを倒せるってよ!笑えるなぁ!」
盗賊たちはゲラゲラ笑う。 彼らは護衛の隊員の数倍の人数がいる。
その為に有利だと笑った。
パン!
たったそれだけの音の後で、先頭の男が後ろに倒れて動かなくなった。
額の間に穴が開き、そこから血が出ていた。 そこから沈黙が出来た。
「一々、五月蝿いんだよ。 そっちがその気ならこっちもやるぞ。」
「ぶっ、ぶっ殺せ!」
「「「「「うおおおおおっーーーー!!!」」」」
「命令!自衛戦闘開始!排除せよ!」
「「「「「サー・イエッサー」」」」」
その後は断続的に銃と思われる隊員の持っている射撃音が響いた。
自分は恐怖から伏せてしまった。 とてもじゃないが、頭を上げれなかった。
発射音が収まると、静かになった。
「大丈夫ですか?頭を上げても?」
「はい。 平気ですよ。」
そこには死体が倒れている。 盗賊の。
それで護衛サイドは誰も倒れていないし、無傷だった。
明らかに劣勢だったはずが、圧倒的な勝利で終わっていた。 これも護衛の範疇とはいえ、強すぎた。
「とりあえずこの場所から離れます。 トラックに乗ってください。」
「わっ、分かりました。 よろしく」
「はい。 全員乗車!移動する!」
「「「「「サー・イエッサー!!」」」」」
自分をトラックに乗せた後で、周囲警戒をしていた護衛さんも乗り込んできて、トラックが出発する。
ガランさんはどこかに連絡をしているらしく、箱型の機械に話しかけていた。
そして、2時間ほど走った所で停車し、そこで夜営となった。
あっという間に設営が終わり、食事も提供されて朝まで休めるが、その夜は寝れなかった。
頭の中で処理が出来ない事が多かった。 それで寝れなかった。
「おはようございます。 食事の準備が出来ていますので、こちらへ。」
「ありがとう。」
少し寝不足気味の顔を顔を洗う事で、覚醒されてテント前に行くと、女性隊員さんに声を掛けられる。
そのまま、食事を頂き、車内へ。
その後は襲われることはなく、予算一杯まで買い付けを行った。
いくつもの場所を巡ったが、そこで討伐した魔物の肉は彼らは、その村や街に無償で渡した。 それもあり得ない事だ。 普通は対価を求めるが、、彼らは求めなかった。
ガランさんに聞くと、荷物が増えるからとの事。 それもあり得ない。
しかし、彼らはそうした。
「食料品の店を営んでいるあいつが聞いたら、飛びつきそうだ。」
「ああ、食材店の方ですか?あの方も同じ制度を使ってますよ。 向こうは倍の車両と人数ですが。」
「やっぱり。」
彼も抜け目はないようだ。
一気に仕入れようとしているようだ。 そして、同じことをしている商人仲間の図太さを感心した。
帰路も何もなく、自宅まで帰ってきた。 多分、今までの状態では帰る事は出来なかっただろうから。
「明日からも頑張ろう!」
トラック一杯に仕入れた品物を前に誓った。
そして、明日の繁盛も願って。
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