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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY
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現状

さむい日は辛いですよね?

まあ、雪国ではないのですが、やはり寒さは辛いです。

アバロン領で、本格的に活動を始めた事により、生産力は増えた。

まず、今まで一か所で行っていた梱包や仕分け作業を周りの村に分業させたことで、いままで当てていた場所を他の工程の場所として、使用することが出来た。 その他に石鹸の製造を村や街にも増やすことで生産数が増した。 不良品も増えたが、それは村や街の市民に安全が確認できたものから格安で売った。 これで領内の衛生環境は向上した。 農地改革を行い、高熱処理をした堆肥を無料で配布したことで、寄生虫予防に努めて、生産力を落とさないように努め、トイレの設置で環境衛生を強化した。 他にも千歯扱きやのうみを導入をして、前年度と同じかそれ以上になる様に下地を作った。 道具や肥料の導入は、隊員の交代時に行い、隊員が管理した。 肥料は村長に丸投げして、均等に配らせた。


「民生はこれで様子を見ていくとして、軍事はまだ課題があります。 きな臭い物もありますので。」


「帝国だな・・・。 現状はどうなっているか、報告は来ているか?」


「それは今日の午後にトールハンマーの副長殿が、直接報告に来ると連絡が・・・。」


「分かった。 ありがとう。 軍事面はユリーダやジョアンナとも相談をしないといけない。 少し詰めてから二人を呼ぼう。 まずはユリに現状を聞いてから考えよう。 その際の連絡は頼む。」


「かしこまりました。 では、書類の目通しよろしくお願いします。」


「分かった。」 


役人が退室後、執務机に積まれた書類に目を通し、承認や実行の指令のサインをしたり、足りない物のある書類や資料を再提出の箱に入れたりと、忙しい時を過ぎたころに来客を伝えるメイドの声に顔を上げると、ユリが制服姿で立っていた。


「傭兵団トールハンマー副長、ユリ!入ります!」


「よく来たね。 ユリ。 すまんが、少し待っていてくれ。 もう少しでキリがつくから。」


「はっ、失礼します。」


「ああ、そうだ。 君、お茶と軽食を用意してもらえるか?」


「かしこまりました。 少々、お待ちください。」


ユリは応接用のソファーに座り、メイドはお茶や軽食の準備のために退室した。 マサルも再び書類の山と格闘した。 20分ほどして、メイドがお茶と軽食を持ってきたことで、一区切りをつけ、呼び鈴を鳴らし、役人たちが決済済みと再提出の書類や資料を抱え、退室していった。 ソファーに座り、メイドがお茶を置いていくと退室していき、退室の確認が済むと、話を始めた。


「最近はどうだい?あちらの動きは?」


「はい。 動きは最近まで帝国工作兵と思われる集団が、領内に入ろうとしている事が多く、射殺された帝国兵だけでも150人を超えました。 ここ数か月です。 それと、捕虜に出来た者からの情報は、すべてが断片的な物でしかなく、要領を得ません。」


「なるほど。 すべての情報を与えずに各自の役割の所だけ管理する。 漏洩予防には最適だね。」


「ただ、この街というよりこの領地を手中にしようとしている事はわかりました。」


「やはりか。 獣王国の消費する物資の何割かはうちだから仕方がないか。」


「あちらも度重なる敗戦と物資不足で、喘いでいるとの報告もありますので、ここの生産力は魅力ですからね。」


「なら、交渉して平和的に行えばいいのにね。 ホント。」


「まあ、それが出来れば、苦労をしないでしょうし、あちらもメンツがあるので、無理でしょう。」


「民の為にどうして動けんのかね。 全く」


「そうですね。 すべての領主が、領主様と同じように動けたら苦労をしないですよ。」


微笑みながら答えるユリ。

彼女から他の軍事に関することを聞き、今後の対策と方針のたたき台の様な物を作り、報告を終えた。


「今日はユリがサポートをしてくれるんだろう?よろしく頼むね。」


「はい。 微力ながら務めさせて頂きます。 よろしくお願いします。」


挨拶をした彼女もまた、期待しているのか尻尾は大きく振られていた。

当然、執務のサポートと共に入浴の世話もお願いし、ベッドでもお世話をお願いした。

そして、清々しい朝を迎える手伝いをしてもらった。


「今日も頑張るぞ。」

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