帝国動く
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帝国・宮殿
「戦争の準備は出来たか?」
「・・・はっ、ですが協力国の一部が、丸裸になり、我が国内残存防衛兵力の六割が引き抜かれました。その上、義勇兵も招集したために国庫が少なくないダメージです・・・。 陛下、侵攻作戦はやめ、港湾関連の整備に彼らを使いませんか?今は国を安定させる時です。」
「何を言う!アバロンとかいう領地を征服すれば、資金も資材も奴隷も手に入るではないか!違うか!」
「陛下。 その為には傭兵団に勝たないといけません。 たとえ勝っても工場を破壊され、獣人が他領地に逃げられたら追えません。 そこまでお考えか?」
「他領地に逃げたら、良いではないか!何を当たり前な事を!」
「ですからそこまでの余力がないと、申し上げておるのです。 ご理解ください。」
「うるさい!豊かな生活を得るには、苦労も必要だ!今はその過程だ!」
「陛下・・・。 分かりました。 今日を持ちまして、宰相の職を辞退したいと思います。」
「勝手にしろ!」
「お世話になりました。」
こうして、長きにわたり帝国を支えた男が、表舞台から去った。 これにより帝国の栄光はガラガラと、崩れていくのだが、それに気づくものは元宰相だった彼しか知らなかった。
「帝国は終わった・・・。 願わくは、国がなくなっても民が幸せであることを願う・・・。」
彼の独り言は、帝国の空に消えていき、さらなる損耗を出す遠征軍2万が編成された。 これには先の戦いで、兵力を出さなかった貴族軍は、強制的に出させられての編成の為に貴族からも不平が出た。 その不満を避けるために実験部隊の全部隊投入と近衛隊の半数の出兵、皇族の継承順位8位の姫騎士が、据えられた。 完全にエスケイプゴートにされた姫騎士は文句も言わずに2万の兵を率い、アバロンへと向かうのであった。
「姫様が出征とは、何を考えておられるのでしょうか?民の心を支えたのは、姫様なのに。」
「まあ、そういうな。 父上も皇太子の兄上や次兄は出せない。 3番目の兄から4人は戦死している上に7番目の弟はまだ10歳だ。 戦いにも出せん。 ふたりの姉上は嫁がれているし、私の下はいないから仕方がないさ。」
「ですが、納得できません!おかしいです!」
「ありがとう。 君だけがそう言ってくれて助かっているよ。」
こうして、様々な不満が渦巻く帝国軍は、帝国領内からアバロンを目指すのであった。
「最近、何やら鳥ではない鳥が、わが軍の周りを飛んでいるとの報告があります。」
「鳥?なんだそれは?」
「それが不明で実験部隊の兵器で、応戦するように指令を出したのですが、断られました。」
「何?それでは対応できぬではないか?分かった。 私が行こう」
姫騎士は、従者の女性を連れて実験部隊の陣幕に向かった。
やはり大将である人間の言も実験部隊特有の特権を盾に承服することを無視された。
「作戦の為に必要なのだ。 了承して頂きたい。」
「我らは決戦部隊です。 そう易々と、部隊の者を晒せません。 お引き取りを。」
「ちょっと待て!おい!」
副官と思われる男は、扉を閉めてしまい、取り合わなかった。
決戦場では聞くが、それ以外は自分で対応しろと、言っている声が扉の向こうからせせら笑いと共に聞こえた。
「くそ!私には味方がいないのか!」
「姫様・・・。」
「行こう。 彼らを使わなくても何か対策があるはずだ。」
「そうです!姫様!考えましょう!」
彼女と従者のふたりは、元の陣幕に戻った。
そして、対応策を考えるために招集したが、数名しか人が集まらなかった。
それも貴族軍からも実験部隊からも来ず、来たのは衛兵隊の隊長が一人と近衛の隊長のみだった。
「私は・・・そんなに人望がなかったのか・・・。」
「姫様・・・。」
「「・・・。」」」
従者の女性も慰めの言葉が出なかった。 衛兵隊も近衛隊も声が出なかった。
話し合いをするために招集したときに貴族軍は一塊になり、どうこの戦争を被害なく、乗り切るかを会議を行い、実験隊はどう自分の良いようにするには、どう周りを動かすかを考えており、近衛と衛兵隊の大半もいつ撤退するかを考えていた。 もはや軍としての形は、なっていなかった。
「ここまで崩れてしまっているのでは、戦う前から負けている。」
そうして、なおも進軍を続ける軍団にとうとう洗礼が受ける決定がなされた。
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