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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY


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アバロン潜入作戦

少し帝国側の作戦もかいてみました。

帝国領・某所


「隊長。 我々がなぜここに集められたのですか?」


「分からない。 ただ、秘匿作戦があるらしいしか知らない。」


「秘匿作戦?」


「ああ。 詳しくはここに来る伝令役から聞けと言われた。」


廃屋に近いような場所に集められた男たち。

格好もバラバラで、冒険者、行商人、市民に浮浪者と様々な職種が集められていた。

帝国軍の特殊作戦群の部隊で少数精鋭の潜入部隊だ。

そうしていると、一人の男が入ってきた。


「こちらは満員ですかな?」


「いや、そうでもないさ。 奥なら空いてるぜ。」


「そうですか。 『明日の予定でも立てるかな』」


「そうかい?じゃあ、出ていた方が良いかな?『明日の予定を聞かないように』さ。」


「お待たせしました。 指令をお伝えします。」


「よろしく頼む」


入ってきた市民風の男は、帝国の伝令だった。

そして、彼から口頭で指令が伝わると、隊長と思われる男はあるドリンクを渡しながら言った。


「指令の伝達ご苦労。 あとは俺らに任せて、休んでくれ。」


「!!・・・。 ありがとうございます・・・。 ご武運を。」


そして、隊長が伝令役の肩を叩いた後、出ていく。

隊員と思われる男たちも出ていく。

少し離れた所で木製タンブラーの地面に落ちる音がした。

伝令役が秘密保持のために自決をした音だった。


「俺らも戻ることの出来ないとこに来たんですね。」


「ああ。 我らの功績は書かれることはない。 名も残らない。 残るのは、名のない躯だけだ。 やがてそれすらなくなり、何もない。 それが俺らだ。 あの男も。」


「そうすね・・・。」


「目的地は領地アバロン。 行くぞ」


こうして、彼ら名もない兵士達が、ひたすら歩いて向かう一団。 狩人と冒険者の姿に変装した彼らは、ひたすら死出の片道切符を手に歩いた。 

10数日歩くと、アバロン領地の村の一つが見えてきたが、そこには獣人主体の実質私兵団の傭兵団『トールハンマー』が、目を光らせていた。


「隊長。 どうしますか?」


「大丈夫だ。 冒険者証もあるし、偽造のクエスト表もある。 平気なはずだ。」


「分かりました。」


派遣されている兵士は、10名。 帝国兵士でも装備をしていないような武器を携帯しているが、撃破できれば、その武器を持ち帰ることも指令に入っていた。 当然、帰還する者は一名だが、数によっては複数名になる。 こちらは15名。 出来れば、それを達成して数名でも良いから帰還させたいのが、隊長としての親心だった。


頼むから殺されてくれよ。 若い者の為に・・・。


しかし、発見はあっけないほどに早かった。 森を出てすぐに獣人兵士に声を掛けられてしまう。

隊長は内心、舌打ちをしたが、冒険者として兵士に声を掛けた。


「すまない。 うちらは害獣駆除の依頼を受けて山に入っていたんだが、ここはどこなんだ?迷ってしまい、やっと出れたんだよ。」


「そうかい?その割には葉っぱや土に汚れていないようだが?」


「結構迷っていたから気にしてなかったな。 無事に出ることが第一だったからよ。」


声を掛けた獣人兵の後ろには、複数の視線がある上に尋問をしている兵士の周りにはエルフと獣人の兵士が、銃と思われるものに指をかけている。 他の者も同様だろうと判断した。


「とりあえずギルド員章を見せてくれ。」


「ああ、そうだな。 皆、ギルド証を貸してくれ」


警戒を解くべく、一人一人から偽のギルド証を受け取り、クエスト表と共に渡した。

兵士はそれを受け取ると、確認するそぶりを見せた。

しかし、複数の警戒は取れていない。 このまま、油断をして通過を許可されれば、つけ入る隙もあるはずだと、目算してその時を待った。

しかし、それは訪れなかった。

兵士はそのギルド証を地面に投げ捨てた。


「何をする!ぐはっ!」


次に自分が見たのは、横にいたエルフの兵士がナイフを俺の横腹に突き立てた所だった。

それが合図だったらしく、後ろにいた部下も複数のリズミカルな音と共にバタバタと倒れていった。


「なっ、何で?」


「俺ら獣人を舐めるなよ?使い込まれた様なギルド証だったが、人の汗が沁み込んでいない。 お前の物もあいつらの物も。 その持ち主の匂いが沁みついていないという事は、不審者としかありえない。」


「くっ、くっそ・・・。 最後の・・・最後で・・・しくじった・・・ぜ」


隊長として率いてきた15名の特殊部隊も獣人の臭覚には、誤魔化しが効かなかった。

横腹を刺されながら部下の方へ這って行き、そこで息絶えた。

隊員達も十字砲火を受け、一人も生き残れなかった。 作戦が実行する前に種族差から失敗を招いた。


「こちらアバロン第23地区担当第1127小隊。 帝国の工作兵と思われる一団16名を捕捉・射殺しました。 回収依頼願います。」


『了解。 今、回収部隊が立て込んでいる。 証拠品と思われるものは、先に回収しておけ。 通信終わる。』


「了解しました。 通信終わり。」


「なんだって?」


「証拠になりそうな物は別で回収しておけと。 やろうか」


「わかった。」


帝国軍特殊作戦群の精鋭たちは、工作破壊活動を行う前に各地で発見・捕捉されてしまい、全滅した。

アバロンの駐屯兵からの回収依頼にトラック部隊が、大忙しになった程度の混乱しか生むことが、出来なかった。 これによりさらに情報が入らなくなってしまう事になる。 それに気づいたのは、後の方になってからとなる。




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