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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY


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防衛戦③

こちらでも雨が降り、寒くなった事が身に沁みます。 皆様も寒さ対策と温まり方を研究しませんか?

『帝国軍、増援来る』


この事実は、両軍とも受け入れた。

帝国側の残党は歓喜したが、獣王国側は半分が蒼白となり、半分は予想通りと感じていた。


「貴殿らはどうするのじゃ?このままでは蹂躙されるぞ!」


「また傭兵団の連中に先頭を歩かせれば、良いじゃろ?」


「そんなことをしても手柄は変わらんじゃろが!」


「どちらにしても手柄を立てる事より、どう乗り切るかを考えねばならんな。」


貴族達は、やはり自分がどう手柄を立てるかしか考えていなかった。

その手段として、トールハンマーを使う事を考えていた。

しかし、どの方法もやはりトールハンマーに一番槍を譲ることになる。 やはりそこは許せなかったらしく、貴族軍だけは独断専行で進軍してしまった。 

当然のごとく、数回の戦闘での勝利に酔いしれてしまい、思いあがってしまい、それから間もなく帝国軍の攻撃で、3方を囲まれてしまい、これにより壊滅。

撤退の最中に自軍の有力な部隊を壊滅に追いやる失態も重ねた。 そして、様々な獣王国軍の戦力を小出し殲滅を受ける羽目になったが、彼らは生き残った兵や有能士官を犠牲にして。

こうして、2万はいた兵士は、貴族軍の壊滅と逃走被害により、数千人までに落ち込んだ。 一方、帝国軍は5万はいる。 完全に貴族軍の独断専行からの失態であることは、拭いようはないようで犯人である貴族軍残余のおとなしかった。


「あれだけの失態をしたら、無理ないか・・・。」


「そうですね。 過去で言うならここで、手柄を立てなければ、一族連座になります。」


「やはり厳しいね。」


「これで敗れれば、もはや申し開きも出来ません。 必死になるしかないです。」


こうして、貴族軍残余と獣王国軍残余を統合し、トールハンマーと共に抵抗することが、決まった。 しかし、貴族残余のみがトールハンマーと組むことを拒否した。 数にして200。

それ以外は同意した。 


「わかりました。 それでは貴族軍の残りの方は、独自路線で戦略を立てる旨を王様にお伝えしますね」

これにより貴族軍は僅か2百で、手柄を立てなくてはいけなくなった。 一方、統合に同意した国軍側はトールハンマーとの協調をするために行動に入った。 彼ら自身が多くが、民の階級であるからこのような変化も受け入れやすかったのが、良かった。


「まずはどう対応するかを考えましょう」


「はい。 ですが、戦況は最悪です。 有力部隊がほぼ壊滅した状態で5倍以上の敵を対応するのは、厳しいですね・・・。」


「ですが、我らの後ろには、何もありません。 ここで我らが諦めれば、後方の民達が理不尽な目にあいます。 頑張らねば。」


「わかりました。 ではどのように?」


それからの話し合いは、建設的だった。 元々叩き上げの士官や下士官しかいない事で、身分の違いはない上での話し合いは、互いの誤解や知っている事の確認と進め方についての話し合いで、相互理解の様な物で、出来る事と出来ない事の洗い出しなどで忙しかったが、紛糾したが進展のある会議になった。


「やはり一部の兵器は、下げ渡す必要がありますね。」


「そうだね。 どのあたりが良いかな?」


「我々の使っているような自動小銃ではなく、単発銃または操作の簡単な銃が必要ですね。」


「手榴弾も必要だね。 今から大砲は無理だから、最低でも手榴弾やパンツァーファウスト位は操作が出来ようにしないとだね。」


それからは訓練が行われたが、比較的あっけなく動かし方を覚えてくれたために習熟訓練が主となった。

しかし、訓練の途中に貴族軍残余が押しかけてきて騒動になった。


「おい!平民ども!ここにある武器は貴族軍がすべて貰っていくらな!文句ないな!」


「いや、これはトールハンマーの方々から頂いたもので、勝手には出来ません。 まずは向こうにお伺いを立てないと・・・。」


「うるさい!貴様らが断っておけ!貰っていくぞ!」


そして、そこにあった小銃を奪おうとしたときに銃の装填音が辺りにこだました。

音が何の音か知っている国軍側は、身を低くしたが、知らない貴族側は呆然と立っていた。

軽快な機械音を響かせると、貴族軍の面々がバタバタと倒れていった。 死んではいないようだが、舌を出して伸びていた。


「麻酔弾?」


「泥棒は、地下室にでも入れておきますか。 頼んで良いですか?」


「勿論です!」


こうして貴族軍の一団20名は、地下の竪穴内に放置されることになった。 縦にしかあいておらず、横は掴む所のない岩壁という縦10メーターはあろうかいう穴に入れられた。 食料や水は上から落す形で供給された。 他の貴族軍は、彼らの事を問う事もなかった。 持ってきたら厚遇で、ダメなら見捨てる算段になっていたらしく、こちらも半分放置した。

 しかし、それ以降はちょっかいしてくることなく、大人していた。

そうして、作戦としてはゲリラ戦や奇襲や後方錯乱も取り入れた作戦を行うことにした。 そして、作戦決行時、6万人はいるという帝国軍に7500で挑むことになった。 結局、最後まで貴族軍は参加せずだった。 後方の集積地で、トールハンマー側の補給所に食料の供出を強要し、格闘術と麻酔弾で黙らされた。 結局、彼らにしてもおいしい所だけ欲しいらしく、こちらが畳み込む際に攻撃をするつもりの様で、付けず離れず付いてきている。 その数は減ったが。


「かれらはどうするつもりなのでしょうか?」


「分かりやすい予想だと、うちらが作戦時に戦死者が出たとしたらその遺体から銃やその他の装備を回収するつもりじゃないかな。 きっと。」


「中々にゲスいですね。 まあ、そうしても操作がうまくいかないとは思うけどね。」


こうして、国軍側も貴族軍を撒き餌に帝国軍を呼び込んでいく。

貴族軍は暗い所が嫌なのか、必要以上に焚火を炊いたことで、より一層光で帝国軍を呼び込んだ。

その貴族軍を誘導するふりをして、死間やトラップゾーンに連れて行き、次々と各個撃破していったが、徐々に彼らが、撒き餌であることに気付き、後半は無視された。 国軍とトールハンマー側は、貴族軍とは強調していないために、貴族軍はバラバラで行動していた。 貴族軍自体は一つだが、国軍に良いように利用されて150名はすでに80名は切っていた。 しかし、戦利品は確保したらしく、銃と帝国騎士から失敬したと思われる貴金属を持っていた。


「彼らはやはりクズですね。 まあ、分かっていた事ですが。」


「まあ、それでもこちらの良いようにするには、もう少し利用したいとね。」


その後、少し貴族側の指示で動いているような形にして、一つの盆地の誘導した。 当然、誘導された貴族軍と帝国軍に対して、トールハンマー側は復帰した大砲群や迫撃砲、ロケット弾や新兵器カチューシャもどきが、狙いを定めていた。 こうして誘導された帝国軍と貴族軍は、こちらも思惑とは別に攻撃を互いに始めた。 


「戦いを始めたか・・・。 逃げてくれれば、良かったのに・・・。」


「どうしますか?彼らも範囲内になりますが・・・。」


「仕方ない。 人柱なって頂こう」


少し驚いている国軍側に対して、トールハンマー側は何の躊躇もなく、射撃命令をだして、帝国軍につるべ打ちを行った。 榴弾砲・野砲・迫撃砲・ロケット砲などを射界が少しずつ重なる様に砲撃を指示、攻撃を開始した。 吹き上がる砂煙で貴族軍も帝国軍も混乱し、帝国軍も同士討ちが起きる事態になった。 帝国軍もロケット弾の嵐と砲弾の散弾で、吹き飛ばされるものや体の一部をもぎ取られる兵士が続出した。 弾切れで撃ち尽くしたり、砲身が焼き付いて撃てなくなった事で、視界が晴れるとそこには綺麗な緑の景色などなく、ひたすらに土の色と焦げたような何かの焼けた匂いだった。 当然、人も馬も何もかもが被害にあった。 帝国軍も全体の6割は巻き込んだ。 退避に間に合わなかった人は等しく、被害を受けた。 もはや継戦能力がなくなった帝国軍は、なし崩し的に撤退を開始した。 

 貴族軍は数名の怪我人を残し、全滅。 国でもお荷物になっていた貴族は、大部分が整理された。 これにより平民へ落とされる者が出たことで、国の負担も減った。 取り潰しや配置換えされる者も多く出た事で、貴族の派閥は力を大幅に削られた。


「この戦いは、貴族を潰す機会としていたようです。」


「こちらは必至で、あのまま攻められたら玉砕かもしれんのに・・・。 これは高く査定して、請求してくれ。 王宮に。」


「分かっております。 ユリーダたちに伝えて、帰還の準備をしてくれと」


「かしこまりました。」


こうして、防衛戦は獣王国側の戦略的辛勝という形で、決着した。

しかし、傷は大きく、多くの人員と貴族を失い、国王を中心とした王政を行う事で落ち着いた。

戦費の支払いも多くあり、完全に負けたわけでは無い為、帝国側は賠償金の支払いも拒否しているために捕虜交換の際の身代金を当てにしている国の首脳部もいる。 トールハンマー側の請求も払えるかも疑問が残る現状だ。

 しかし、終戦は祝わなければならない。 死んでいった者たちへの手向けになるのだから。

アバロンへ向け、進軍を開始するトールハンマーの一団だった。


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